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#10 味噌汁が飲みたい
10-4 味噌汁が飲みたい
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エントランスで出迎えられたネオンイエローの看板ロゴは、記憶にもまだ新しい。
頭上のビジョンに映し出された出演者一覧を見て、直矢は安堵の溜息を小さく吐いた。どうやら、今朝ホテルを飛び出して失踪したわけではないらしい。事故にも巻き込まれず、寮に無事に帰宅して、ライブに出演できるコンディションということも一つの安心材料だった。
二人はマコと会場前で落ち合った後、比較的前列の整理券を手に入れることができた。
リーダーによる直矢への出禁通達はあくまで一個人の主張であり、会場スタッフにまで行き渡っていないようだ。つまり、ブラックリストに載ったわけではなかった。
それよりも、困惑しているのは人目を憚らない恋人たちだ。
二人は直矢の目の前で愛を囁き合い、盛んにバードキスを交わしていた。目のやり場に困った直矢は、またしてもタブレットの資料に目を落とした。時折の呼び掛けに適当に応じながら、待機列を進む。ふと、周囲を見渡したが、ペンライトを貸してくれた女性の姿はなかった。暑苦しいキモオタデブ眼鏡も後方の列なのか。そんな風に考えていると、ホール入口に辿り着いた。
応援方法の動画もすべてチェックして、ペンライトの振り方と掛け声の予習は万全だった。
握手会のルールやマナーも履修してある。激しい動作でパンツを入れた袋が飛び出さないよう、表参道で30万で買ったバッグを床に直置きした。
幸いにも、席は三列目の右寄り中央付近。唯一の懸念は、体調を崩した天使がステージの上で倒れてしまわないかどうかだ。隣を盗み見ると、バックハグで寄り添う恋人たちがペンライトをスタンバイさせている。直矢もまた、応援の態勢を整えた。
――――――♪
空舞台で近未来的なライティングが弾ける。
通勤の合間に聴き流した全ての楽曲には無いメロディ。優しげなイントロはまだ耳にしたことがない、動画チャンネルでも未公開の新曲だった。
観衆は緊張と期待で静まり返る。現れた五人のシルエットに、直矢の胸は高鳴った。
『鮮明には思い出せない』
『そう 走馬灯のように』
フォーメーションを組んでいた後ろ姿が、次々と振り返る。
二番目のソロパートで穏やかな微笑を見せたのが、紫音だった。
『きらめいて 視界が眩む』
『目覚めた先には』
マリンブルーの光に包まれ、天使は夢心地の表情をしている。
神秘的な世界観を前に、直矢は世の憂いをすべて忘れることができた。Aメロの締めに、リーダーのハスキーな歌声が反響する。
『夢にまで見た景色』
最後列の時とは、まったく違う光景が広がっていた。
全員の呼吸や体温まで感じられる。瞬きの回数まで判別できる距離で、ステージに引き込まれていく。
『君と』
『お前と』
『あなたと』
『一歩ずつ上っていく』
サビの直前、五色の音域が心地よいハーモニーが奏で合った。
『夢の階段を』
興奮で湧き上がっていく会場を、七色の照明が浸していく。レーザーが交差して万華鏡の中に入り込んだよう。満天の星空より眩しかった。
『Chasing, Chasing, Chasing dreams with you』
『重なり合う手と手』
『不安を搔き消す温もり』
『ずっと忘れないよ』
『Chasing, Chasing, Chasing dreams with you』
『体裁なんて関係ない』
『どれだけ些細な願いも』
『宝石のように輝く』
サビパートで宙を掴む仕草が美しい。
指先で捉えた光は、彼らの夢を表現しているようだ。腕を組んだまま、直矢は目を細めて聴き入った。
『穏やかな歩調で』
『理想を追い求めるのに』
『疲れたら 今夜は』
『一人で眠らなくていい』
『僕/私/俺がいるから』
一人で眠らなくていい――。
孤高を貫き通してきた独身男にとって、そのメッセージは荒んだ心を癒していく。常に勝者であるべく、全力疾走で人生の階段を駆け上がり続けた中で、初めて救いの手を差し伸べられた気がしたのだ。
アウトロのピアノの旋律が幻想的で、本当に夢の世界へと誘われそうだった。
膝立ちのラストポーズから立ち上がった五人は、大きな拍手と歓声を受けた。その雑音で直矢は現実に引き戻される。
「皆さん、こんばんは!SPLASHの緑担当・奏多です」
明るく照らし出されたステージで、最年長の奏多が挨拶を始める。グリーンのペンライトが一斉に揺れた。
「一曲目に新曲≪Dream Chaser≫をお届けしました。最近の楽曲と比べて、久しぶりにセンチメンタルな印象かもしれません」
作詞作曲を担当する彼の言葉通り、近頃はアップテンポな楽曲やヒップホップ系が多数を占めていた。
五人を取り巻く状況や心境の変化のせいか、と直矢は邪推してしまう。
「どんな小さな夢でも大切にしてほしい。そんな願いを込めて作りました」
だが、ステージ上の彼らは、そんな苦悩を少しも感じさせない。
続いて佑真と櫂人の二人が、ヘッドセットマイク越しに聴衆に語り掛けた。
「いつも支えてもらってる分、俺たちもお花ちゃんたちの夢を応援してるからね」
「無理は禁物だ。自分自身のペースで、夢に向かって歩み続けてほしい」
片や歌舞伎町女子たちが鼻血を噴き上げ、片や着物姿の淑女たちが悲鳴を上げる。
混沌の中で、舞台の上の紫音は前列でパープルに輝くライトに気付いたようだ。まろい瞳は困惑に揺れるが、直矢は宥めるように微笑む。次第に表情に明るさが戻っていく。
「あ……健康第一で頑張ってください」
控えめにはにかんだ笑顔と、飾らないコメント。
圧倒的なパフォーマンスの後で、直矢の心は温かく満たされた。その瞬間、後方の列から咆哮が上がる。
「ピギャアアアアアア!紫音のおかげで生きてる―――ッ!!」
「紫音きゅん、死ぬまで愛してるぞぉぉぉぉぉえ!!!」
狂信的な声援に、直矢は不思議と連帯感を感じていた。
ロングヘアを振り乱す彼女にも、後でペンライトを返さなければならない。直矢がそう考えていると、今度は罵声が降って来た。
「お前ら、シンミリしてんじゃねえ!」
大地はステージの縁に足を掛け、オーディエンスを煽り立てる。レッドのペンライトが煌々と燃え盛った。
「今からバチクソに盛り上げていくからな!覚悟しとけ、メス豚オス豚ども!」
*
「次は50番から60番の方、整列お願いしまーす!」
終演後の案内で、直矢が目指す列はもう決まっている。
恋人と推しに貢ぎに行った同僚と別れ、直矢は一番隅のテーブルでトレーディングカードの山を積み上げた。
驚いたスタッフは、在庫補充のために関係者室へと駆け込んだ。代わりに残されたストップウォッチを、紫音自ら操作し始める。
パイプ椅子に座った直矢は、まずバッグから例の紙袋を差し出した。中身を覗いた紫音は耳まで赤くして、しおらしく項垂れる。
「今朝は申し訳ありませんでした」
紫音は失意に暮れた顔で、直矢の両手を包み込んだ。今朝よりも顔色が良いのは、何よりの救いだ。
「勝手に動揺して……突然、出て行ってしまって」
「良いんだ。事情を何も知らなかったからね」
「そんな……!」
むしろ追い詰めてしまったのは自分の方だと、直矢は罪悪感に苛まれていた。
まだ関係を築いて間もないのに、気安く立ち入るべきではなかったのだ。
「困った時はいつでも頼ってほしい。新曲を聴いて……君の夢を応援したいと思い直したよ」
一方、公演後の高揚も相俟って、直矢は正義感に駆られていた。
事情を知ったからには、潰えようとしている光を守らなければならない。一会社員として、散々考え抜いた打開策はこうだった。
「良ければ、俺の家にバイトに来ないか」
「え……?」
ストップウォッチに示された時間は、残り30秒。
思いもよらない提案に、紫音は瞬きを繰り返した。
「給料は弾む。完全自由出勤で、掃除や簡単な食事を任せたいと思う」
芸能活動との兼業には、これ以上のない好条件。
先日の青年の働きぶりを思い返して、直矢は解雇した家政婦の後任にふさわしいと踏んだのだ。それに決め手は十分だった。
「君の……味噌汁がまた飲みたいんだ」
頭上のビジョンに映し出された出演者一覧を見て、直矢は安堵の溜息を小さく吐いた。どうやら、今朝ホテルを飛び出して失踪したわけではないらしい。事故にも巻き込まれず、寮に無事に帰宅して、ライブに出演できるコンディションということも一つの安心材料だった。
二人はマコと会場前で落ち合った後、比較的前列の整理券を手に入れることができた。
リーダーによる直矢への出禁通達はあくまで一個人の主張であり、会場スタッフにまで行き渡っていないようだ。つまり、ブラックリストに載ったわけではなかった。
それよりも、困惑しているのは人目を憚らない恋人たちだ。
二人は直矢の目の前で愛を囁き合い、盛んにバードキスを交わしていた。目のやり場に困った直矢は、またしてもタブレットの資料に目を落とした。時折の呼び掛けに適当に応じながら、待機列を進む。ふと、周囲を見渡したが、ペンライトを貸してくれた女性の姿はなかった。暑苦しいキモオタデブ眼鏡も後方の列なのか。そんな風に考えていると、ホール入口に辿り着いた。
応援方法の動画もすべてチェックして、ペンライトの振り方と掛け声の予習は万全だった。
握手会のルールやマナーも履修してある。激しい動作でパンツを入れた袋が飛び出さないよう、表参道で30万で買ったバッグを床に直置きした。
幸いにも、席は三列目の右寄り中央付近。唯一の懸念は、体調を崩した天使がステージの上で倒れてしまわないかどうかだ。隣を盗み見ると、バックハグで寄り添う恋人たちがペンライトをスタンバイさせている。直矢もまた、応援の態勢を整えた。
――――――♪
空舞台で近未来的なライティングが弾ける。
通勤の合間に聴き流した全ての楽曲には無いメロディ。優しげなイントロはまだ耳にしたことがない、動画チャンネルでも未公開の新曲だった。
観衆は緊張と期待で静まり返る。現れた五人のシルエットに、直矢の胸は高鳴った。
『鮮明には思い出せない』
『そう 走馬灯のように』
フォーメーションを組んでいた後ろ姿が、次々と振り返る。
二番目のソロパートで穏やかな微笑を見せたのが、紫音だった。
『きらめいて 視界が眩む』
『目覚めた先には』
マリンブルーの光に包まれ、天使は夢心地の表情をしている。
神秘的な世界観を前に、直矢は世の憂いをすべて忘れることができた。Aメロの締めに、リーダーのハスキーな歌声が反響する。
『夢にまで見た景色』
最後列の時とは、まったく違う光景が広がっていた。
全員の呼吸や体温まで感じられる。瞬きの回数まで判別できる距離で、ステージに引き込まれていく。
『君と』
『お前と』
『あなたと』
『一歩ずつ上っていく』
サビの直前、五色の音域が心地よいハーモニーが奏で合った。
『夢の階段を』
興奮で湧き上がっていく会場を、七色の照明が浸していく。レーザーが交差して万華鏡の中に入り込んだよう。満天の星空より眩しかった。
『Chasing, Chasing, Chasing dreams with you』
『重なり合う手と手』
『不安を搔き消す温もり』
『ずっと忘れないよ』
『Chasing, Chasing, Chasing dreams with you』
『体裁なんて関係ない』
『どれだけ些細な願いも』
『宝石のように輝く』
サビパートで宙を掴む仕草が美しい。
指先で捉えた光は、彼らの夢を表現しているようだ。腕を組んだまま、直矢は目を細めて聴き入った。
『穏やかな歩調で』
『理想を追い求めるのに』
『疲れたら 今夜は』
『一人で眠らなくていい』
『僕/私/俺がいるから』
一人で眠らなくていい――。
孤高を貫き通してきた独身男にとって、そのメッセージは荒んだ心を癒していく。常に勝者であるべく、全力疾走で人生の階段を駆け上がり続けた中で、初めて救いの手を差し伸べられた気がしたのだ。
アウトロのピアノの旋律が幻想的で、本当に夢の世界へと誘われそうだった。
膝立ちのラストポーズから立ち上がった五人は、大きな拍手と歓声を受けた。その雑音で直矢は現実に引き戻される。
「皆さん、こんばんは!SPLASHの緑担当・奏多です」
明るく照らし出されたステージで、最年長の奏多が挨拶を始める。グリーンのペンライトが一斉に揺れた。
「一曲目に新曲≪Dream Chaser≫をお届けしました。最近の楽曲と比べて、久しぶりにセンチメンタルな印象かもしれません」
作詞作曲を担当する彼の言葉通り、近頃はアップテンポな楽曲やヒップホップ系が多数を占めていた。
五人を取り巻く状況や心境の変化のせいか、と直矢は邪推してしまう。
「どんな小さな夢でも大切にしてほしい。そんな願いを込めて作りました」
だが、ステージ上の彼らは、そんな苦悩を少しも感じさせない。
続いて佑真と櫂人の二人が、ヘッドセットマイク越しに聴衆に語り掛けた。
「いつも支えてもらってる分、俺たちもお花ちゃんたちの夢を応援してるからね」
「無理は禁物だ。自分自身のペースで、夢に向かって歩み続けてほしい」
片や歌舞伎町女子たちが鼻血を噴き上げ、片や着物姿の淑女たちが悲鳴を上げる。
混沌の中で、舞台の上の紫音は前列でパープルに輝くライトに気付いたようだ。まろい瞳は困惑に揺れるが、直矢は宥めるように微笑む。次第に表情に明るさが戻っていく。
「あ……健康第一で頑張ってください」
控えめにはにかんだ笑顔と、飾らないコメント。
圧倒的なパフォーマンスの後で、直矢の心は温かく満たされた。その瞬間、後方の列から咆哮が上がる。
「ピギャアアアアアア!紫音のおかげで生きてる―――ッ!!」
「紫音きゅん、死ぬまで愛してるぞぉぉぉぉぉえ!!!」
狂信的な声援に、直矢は不思議と連帯感を感じていた。
ロングヘアを振り乱す彼女にも、後でペンライトを返さなければならない。直矢がそう考えていると、今度は罵声が降って来た。
「お前ら、シンミリしてんじゃねえ!」
大地はステージの縁に足を掛け、オーディエンスを煽り立てる。レッドのペンライトが煌々と燃え盛った。
「今からバチクソに盛り上げていくからな!覚悟しとけ、メス豚オス豚ども!」
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終演後の案内で、直矢が目指す列はもう決まっている。
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驚いたスタッフは、在庫補充のために関係者室へと駆け込んだ。代わりに残されたストップウォッチを、紫音自ら操作し始める。
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「今朝は申し訳ありませんでした」
紫音は失意に暮れた顔で、直矢の両手を包み込んだ。今朝よりも顔色が良いのは、何よりの救いだ。
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「そんな……!」
むしろ追い詰めてしまったのは自分の方だと、直矢は罪悪感に苛まれていた。
まだ関係を築いて間もないのに、気安く立ち入るべきではなかったのだ。
「困った時はいつでも頼ってほしい。新曲を聴いて……君の夢を応援したいと思い直したよ」
一方、公演後の高揚も相俟って、直矢は正義感に駆られていた。
事情を知ったからには、潰えようとしている光を守らなければならない。一会社員として、散々考え抜いた打開策はこうだった。
「良ければ、俺の家にバイトに来ないか」
「え……?」
ストップウォッチに示された時間は、残り30秒。
思いもよらない提案に、紫音は瞬きを繰り返した。
「給料は弾む。完全自由出勤で、掃除や簡単な食事を任せたいと思う」
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