底辺地下アイドルの僕がスパダリ様に推されてます!?

皇 いちこ

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#11 胃袋ごと愛して

11-4 胃袋ごと愛して

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お粥を食べ終えると、二人は入浴の支度を始めた。
バスルームに行く途中で通り抜けたリビングはひっそりと静まり返っていて、メンバーたちはそれぞれの自室に戻ったようだった。

皺にならないよう、あらかじめジャケットとネクタイだけはクローゼットに吊るしてある。
紫音はおずおずと手を伸ばし、滑らかなシルクシャツのボタンに手を掛けた。

「いい……自分で脱ぐよ」

直矢の一言で、俄かにぎこちない空気が流れる。
それ以上の行為を経験しているのに、二人の関係性は振り出しに戻ったようだ。その間にもボタンが次々に外され、筋骨隆々とした肉体が現れる。
その妖艶な肢体に、紫音はまたしても視線を奪われた。

「じゃあ……お背中だけ流しますね」

小さく息を呑む音がする。
出過ぎた真似かと紫音は懸念したが、返ってきた返答に安堵した。

「……それなら、お願いしようか」

弾む水音の中、湯煙に隠れて新婚初夜のような恥じらいが満ち溢れていた。
見慣れたはずの肌も、純白のタイルに相反してありありと浮かび上がる。二つの裸体は、桜色に上気していた。

泡立ったボディタオルが、遠慮がちに滑り出す。
規則的なリズムで、穏やかな抑揚をつけて、クラシックピアノの調べのように。素晴らしい背筋が見えなくなるまで、紫音は無心で洗い続けた。
そのうち、バスチェアに滴り落ちるほど、泡は増殖していた。

「……せっかくなので、前も洗います」

紫音は泡を有効活用しようと試みると、躊躇の溜息が漏れる。
広い肩口、そして誇らしげな胸筋にタオルを滑らせた時、ある変化に気付かされた。腰に巻いていたタオルの中心が、盛り上がっていることに。

「ッ……後は、自分でやるから……」

直矢は平静を装っているが、紫音は見過ごすことができなかった。
今夜は彼自身の体調の波が大きく、混乱をきたしているのだろう。理性では制御不能なデリケートな場所だ。だが、平滑筋の弛緩と血流の増加は、リラックスしている証拠だった。

「直矢さんの大切な場所も……綺麗にしますから」

これも快適な生活支援の一環である。
大人の男性を喜ばせるための動画で、予習は完璧だった。紫音はマットレスの上で四つん這いになり、腰巻きの結び目を解いていく。

「紫音……?やめなさい、一体何を……ッ……!」

そっと根本を握り込み、稚拙な愛撫でさらに刺激を与えていく。
姿を現したマグマは、途端に強靭な鋼鉄の硬さを帯びていった。

「はあ……んむっ……♡」

ちろりと出した赤い舌で、怒張した先端に口づけた。
自身の下腹部にも熱を感じ始めたが、手の中のモノとは大きさと質量も比べ物にならない。壮健な生命力を持つ雄の塊を、紫音は意を決して加え込んだ。

「んん……っ!ふう……はあっ♡♡」

あまりの圧迫感に、涙が溢れてしまいそうだった。
こんなモノが一度は腹の中に挿入ったかと思うと、次第に興奮が高まってくる。愛おしい男の分身。紫音は夢中でむしゃぶりつくした。

「ンッ……ううっ……!」

――じゅぷっ……ぬぷっ……じゅぷぷぷっ!!
端正な眉を顰めた表情も、荒々しい吐息も、紫音をこの上なく奮い立たせた。
もっと求めてほしい。その一心で肉厚の竿をジュッと舌で吸い上げ、喉奥へと誘う。
すでに限界が近いのか、後ろ髪を撫でていた手は小刻みに震え始めた。

「くっ……ハァッ、もう出すぞ……!」

くぐもった艶声が浴室に反響する。ふわふわとした頭の中で、紫音は頷いた。
剛直は脈打ち、豊かな奔流が放たれる。紫音は喉を上下させ、懸命にミルクを飲み干した。

「ッ――ん……ぅっ♡ふぁあ――……っ♡♡」

収まりきれなかった白濁が、口端から溢れる。
紫音の腰元を隠していたタオルもまた、しとどに濡れていた。吐精だけでなく、潮を吹いてしまったのだ。
二人して寮の浴室で発情してしまったという事実が、今になって思い起こされる。羞恥に襲われて座り込んだ紫音を、直矢は優しく抱き留めた。

「すまない……無理をさせてしまったな」

跪いた直矢は、労わるように背中を擦ってくれる。真綿にくるまれたような温もりが、早鐘を打つ心をようやく落ち着かせた。

「――久しぶりに満たされた気分だった」
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