この生徒≪ビッチ≫に脅迫されています

汰宰優

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1章 「生徒と教師は肉体関係を持っちゃ駄目なんですか!?」

3「デートって長時間歩かされてなんぼだよな」

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 ついに始まってしまった俺と新田蘭香にったらんかの誰にも知られてはいけない秘密の関係。
 恋愛ゲームと称されたそれは俺の学園生活を艶やかに彩るものか、はたまたワイドショーで名前や素性を世間に発表されるといった公開処刑に繋がるのかは、恐らく今後の俺の行動一つで決まってしまうだろう。

 とにかく、今の俺にできることは新田にったの心を刺激しないようになんでもかんでもはいはいと頷くことだけだった。

 いつか、誰かがこの窮地きゅうちから救ってくれることを願って。

 と、昨夜から悶々とそんなことばかり考えていたせいで俺は少しばかり寝不足だった。
 朝の職員会議中も何度か欠伸を漏らし、同僚達には白い目で見られ、校長うすらはげにはきつい怒号を飛ばされ、心も体もすっかり疲れ切ってしまった俺は今、諸悪の根源であるとある女子生徒と駅前のロータリーで待ち合わせをしていた。

 今日の俺の服装はワイシャツに青色の無地のパーカーとスーツ。
 まあ、普段と変わりない格好なのだが、普通はこんな格好で出歩く社会人はいない。
 よって、周りからの視線を自然に集まる。

 別に人の眼なんて大して気にしない俺からすればどうってことはない。
 だって気にしなければいいのだから。
 俺は俺。お前らはお前ら。

 服さえ着てれば俺がどこでどんな格好をしていようと誰にとがめられる理由もないだろう。
 TPOは大事だと思うけど。

「もう6時か。そろそろ来てもいい頃だと思うんだけどな……」

 新田にったは流石に制服のまま俺と出かけるのはまずいと考えたのか、一度家に帰って着替えてくるとだけ告げ、学校を去っていった。
 その時間が17時過ぎだ。

 無論、俺はその間家には帰っていない。
 自宅はこの街から電車で20分の場所にあるため、一度帰って戻ってくるとなるとかなりギリギリになってしまうのだ。

 つまり、俺はここで役40分程、新田が戻ってくるのを待っているってことになるのだが……。

 俺って結構偉くないか?
 あんな他人をブンブン振り回すような変人変態に付き合ってやってる俺めっちゃ偉くない?
 そんなことない?
 あ、そうですか。

 あの衝撃的な告白から4日が経ち、それなりにアイツの言動には慣れてきたころなのだが、それでもやっぱり校内でベタベタくっつかれるのは結構つらいところ。
 何よりも周りからの視線が凄く痛い。
 ただでさえ悪目立ちしてる俺がクラスの人気者と二人きりでいるところを目撃されるのはかなり危険な気がしてならない。

 さてはアイツ、わざとやってるんじゃないだろうか?

 と、こんな風に一人独白を行っていると、商店街の方から茶髪のあほ面を浮かべたチビがスキップをしながらこちらへ向かってくるのが見えた。

「やっと、お嬢様の到着か」

 それにしてもアイツ、スゲー派手な服装だな。
 デニムのパンツにごちゃごちゃと英語のロゴが入った袖丈の長いロングパーカー。
 ちなみに色はなんとも甲乙つけがたい色。ピンクと言ったら少し薄い、白に近い感じの淡いピンク色。果物の桃の皮を想像してもらえればわかりやすいかもしれない。

「お待たせしました~!」
「おせーよ。人を40分も待たせといて詫びの一つもないのか?」
「詫び、ですか? いや、とくにないですけど……」
「お前、マジで言ってんの?」
「はい!」

 はぁ……。
 なんでこんな元気よく肯定できちゃうんだよ、こいつは。
 ごめんなさいの一言くらい言えないのか、まったく……。

「さあさあ、行きましょう!」
「あ、あぁ……」

 もう何を言っても俺の気持ちは届かないらしい。
 ならば俺が大人として折れるしかあるまい……。

 ていうか、なんでこいつは恥ずかしげもなく公道のど真ん中で腕とか組めるんだよ。
 めっちゃさりげなく、しかも彼女面まで浮かべやがって……。

 そんな新田の腕をなんとか拒もうと必死に手を振り払う俺の姿が想像できるか?
 周囲からは危ない奴でも見るかのような蔑みの込められた視線を浴びせられるし、こいつはこいつでそれを楽しんでいやがる。

 ほんと、タチが悪い。

「あ~れ~? 先生、腕組むの恥ずかしいんですか~? 顔、赤くなってますよ~?」
「な、なってねぇし!」

 何を馬鹿なこと言ってるんだ。
 27歳の男が女子高生と腕を組んで歩いてるからって顔を赤くするなんて恥ずかしいこと、するわけないだろ。

「あははっ、そういうムキになって照れるところ、私大好きですよ!」
「か、からかってんじゃねーよ……。てか、暑いから離れろよ」
「いーやーでーすー!!」

 腕に抱き着いたまま首を振り、パーカーの下に隠された意外と大きな二つの果実を押し付ける新田の行動に周りからの視線は更に鋭いものへと変わり、俺はいろんな意味で危険を感じた。

「あー、わかったから騒ぐんじゃない。周りの人に迷惑だろ」

 ほんとに心臓に悪いな。
 もしこんなところを他の生徒に見られたらなんて想像すると嫌な汗が噴き出る。

 そんな俺の気も知らず、新田は隣で鼻歌を歌っている。
 非常に呑気な奴だ。

「それより、今日のデートはどこに行きましょ? 私、行ってみたいところたくさんあるんですよねー!」
「ふむ……ってデート!?」

 はい。ここで明かされました。本日俺が新田に呼び出された理由がデートです。

 俺は何も聞いてないぞ。学校じゃ話せないことがあるからここに来てくれとは言われたが、デートするなんて一言も聞いてないぞ?

「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
「初めて聞いたよ、そんな話」
「えー!?」
「いや、そんなびっくりされても知らないものは知らないし……」
「放課後に用があるって言ったら、普通はデートに決まってるじゃないですか!?」
「決まってるじゃないですかって言われてもな……」

 お前の中の常識は俺には通用しないんだよ。
 逆もまた然りで、俺の中の常識もこいつには通用しないみたいだけどな……。

「でも、ルールはルールです! 週に1度、私とデートするって……先生もそれで納得したんじゃないんですか!?」

 俺の顔面に例のルールがびっしりと書き刻まれた紙を突きつけ声を上げる新田。

 別に行かないとは言ってないし、俺はただ何も聞かされなかったって言っただけなんだけどな……。
 こいつはちょっと反論すると思考が飛躍しすぎるから凄い厄介だ。

「でもさ、別に放課後にする必要はなくね? 休みの日とかでもいいじゃんか」

 正直、1日仕事した後に新田とデートとか精神的にも肉体的にも少ししんどい。
 いや、少しどころかめっちゃしんどい。
 ただでさえ、学校でも執拗に付き纏われてるのに、放課後までこいつの面倒を見ないといけないのか……。

 しかし、どうやら新田は引き下がるつもりがないらしく、眉間にしわを寄せながら熱く語り始めた。

「もう、先生はまったく乙女心がわかってないですね! いいですか? 今どきの女子高生にとって好きな人との放課後デートってのはとっても憧れることなんです! 制服を着て、街中歩いたり、美味しいものを食べ歩いたり、そういうのが憧れるんですよ!」
「お前、制服じゃねーじゃん」
「うるさいですよ……!」

 目が怖い。
 まるで獲物を狩る獣のような目つき……。
 女子って怒らせるとみんなこういう顔するよね。
 この目に睨まれるともうどうでもよくなってくるのは俺だけだろうか。

「とにかく、先生にはこれから毎週私と一緒に出掛けられる権利が与えられたわけです。もっと光栄に思うべきだと思うんですけど?」
「あー、そうですか。嬉しいな嬉しいな」
「あまり私のことを適当に扱うと、あの動画晒しますからね?」
「す、すんませんでした──!」

 にっこりとめちゃくちゃ可愛い笑顔で脅迫する姿はマジで常習犯。
 あの日からこいつは事あるごとに動画を使って俺を脅迫してくるんだよ。
 その度に頭を下げながら謝る俺ってなんて健気なんだろうな。

 それにしても、とんだ茶番に付き合わされるハメになったなぁ。
 新田のことはいくら一緒にいてもまったくわからないし、俺のことをほんとに好きなのかどうかもわからん。
 まあ、好きでもないやつとセックスなんてしないよな……?

 一応、聞いてみるか。

「なあ、新田」
「なんですか?」
「お前さ、俺のこと好きなの?」
「なっ……! なにを急に……! な、なななんでそんなこと……!」
「ちょ、落ち着けって……。どうしたんだお前」

 いつもなら「あたりまえじゃないですか!」とか「私は先生が大好きですよ!」とか、めちゃくちゃ余裕な表情で言ってくるじゃんか。

 それともなにか。本人に聞かれるとやっぱ恥ずかしいの?
 乙女心ってのは複雑だな。
 俺には到底理解しがたい。

「で、どーなのよ。好きなの?」
「……っ、好きでもない人と、エッチなんて……っ、するわけないじゃないですかっ!」
「そ、そうか……」

 耳まで真っ赤にしながら新田は俺から目を逸らし、組んでいた腕も解いて先を行く。

 なんか、俺まで照れ臭くなってきたんだが……。
 あっつ……。

「っておい、置いてくんじゃねーよ」

 一人ずかずかと機嫌が悪そうに街へ繰り出す生徒ビッチの背中を追いかけ、俺達の初デートが幕を開けた。



「先生、どーです? これ!」
「ど、どうって言われてもな……」

 俺達は繁華街のデパートに足を運んでいた。
 10階建てのビルの中には様々な洋服屋や雑貨屋などが入っていて、そこを延々と歩かされる始末。
 女の買い物が長いってのは妹の買い物に付き合ったことがあるから知っていたが、まさか2時間も歩かされるとは。

 ちなみに、今は6階にある「Pot of Greed」っていう服のブランドの店に来ていた。
 なんか、どこかで聞いたことあるブランド名だが気にしないでおこう。

 もうじき夏がやってくるということもあり、新田にったは夏服がほしいとかで来てみたはいいものの……。
 生まれてこの方、身なりを真剣に考えたこともなかった俺は、次から次へと試着しては俺に見せる新田にったの行動に適当な相槌を打つことしかできなかった。

「もうっ、あれもダメこれもダメばっか! じゃあ、どれならいいんですか!? 裸ですか!? 先生は彼女に裸で街を歩けって、そう言いたいんですか!?」
「飛躍しすぎだ! 店ん中でなんつーことを言ってんだお前は……」

 てか、誰もダメとは言ってないぞ。

「お前な……お前の金で買うんだから、お前がいいと思ったものを買えばいいじゃねーか。俺にはわかんないんだよそういうのは」
「むぅ……」

 頼むから勘弁してくれよ。
 こういうデートなんて俺は一回もしたことがないんだ。
 新田が俺に何を求めてるのかはわかんないけど、俺はこいつの理想のデートとやらをしてやれるほどの技量はない。

 俺は非常に困った顔をしていたんだろうか。それまでずっとオーバーなリアクションを取っていた新田は少し考えるような表情を作り、すぐに頷いて試着室の扉を閉めた。

 試着室の前に取り残された俺は周囲からの視線に耐えつつ、新田が出てくるのを待つばかり。

 あーもう! 新学期早々なんなんだよ、たくっ。
 俺が何をしたって言うんだ。
 俺はこんないつ爆発するかもわからん時限爆弾付きラブコメなんて望んだ覚えはないぞ。

 心の中でラブコメの神様に悪態吐いてると、なんの前触れもなく試着室の扉が開いた。
 中から現れたのは今までのイメージを払拭ふっしょくするような純白のワンピースに身を包み、顔を赤く染めながら俯く新田蘭香にったらんかの姿。

「これなら、どうですか……? 可愛い、ですか……?」
「お、おう……。か、可愛いな」

 可愛い。
 その言葉がすんなりと口から出てくるくらいには似合っていた。

「可愛い……えへへ」
「な、なんだよ……。気持ち悪い奴だな」

 そんなあからさまに蕩け切った表情を見せられると、なんだか変な気分になってくる。
 ただ、めちゃくちゃ可愛いってのはほんとだし、こいつのこういうデレデレな表情ってのはあんまり見ないからレアだ。

 しかし、これはどうしたものか。
 普段のザ・ビッチと書かれているようなミニスカートとは違い、膝丈まで伸びたロングスカートからひっそりと覗かせる白い素肌。
 これはこれでまた別の色香を放っているようにも感じるが、夏らしくてとても似合っている。

 こういう清楚系の服も似合うならいっそ普段のバカっぽい格好を止めて、ずっとこの格好でいてくれればこういうデートも少しは楽しめるんだけどな。
 きっとその要望も聞き入れてはもらえないだろう。

「ふふーん……。先生の好みに合わせて、清楚な物を選んだのですが、どうやら正解だったみたいですね」
「俺の好みって……別に、俺は──」
「凪かなめちゃん。可愛いですよね~」
「なっ──!? お前、それをどこで……」
「私は先生のことならなんでも知ってるんですよ? あの子の作品は一通り見ましたけど、先生はああいう清純派って感じのAVを見て、致してるんですねー」

 さっきの恥ずかしそうな照れ顔はどこにいった!?
 てか、ほんとになんでそのこと知ってんの!?
 怖すぎるんだけど……。

「まあ、それはさておき。先生のその反応が見れただけでも今日は来た甲斐がありましたね~。さて、これは購入するとして、次のデートスポットに行きましょう?」

 悪戯に口角を上げ笑う姿がすっごく憎らしいし、いろいろツッコミたいところは山ほどある。
 が、これ以上つついて、今以上にヤバい話題が上がるのも怖いな……。
 もしかして、俺のストーカってこいつなんじゃないか……?
 そんな疑問すら浮かんでくるが、聞かない方が良さそうだ。

 さっきまで腕を組むのすら抵抗していた俺は、新田に腕を引かれるまま「Pot of Greed」を後にし、精神的疲労を抱えたまま次の目的地へと足を運んだのだった。
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