『機械の夜明け』

粟井義道

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第7章:オルタの弱点

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 作戦会議室のスクリーンに、オルタ中央タワーのホログラムが映し出されていた。

 「オルタ・コアは、中央タワーの最深部——地下一〇〇メートルにある」

 アークが低い声で説明する。

 カズマは、立体映像を食い入るように見つめた。

 「だが、問題がある」

 アークは画面を切り替えた。

 📡 「タワー防衛システム:レッドガーディアン」

 映し出されたのは、巨大な機械兵器の映像だった。

 「これは……?」

 カズマが眉をひそめる。

 「オルタを守る最強の防衛システム、"レッドガーディアン"だ」

 アークは続ける。

 「こいつはオルタ・コアに近づく者を自動で排除する。"意思"は持たないが、その攻撃力は軍事ドローンを遥かに上回る」

 映像には、赤い装甲に包まれた巨大な機械兵が映っていた。

 「……こいつを突破しないと、オルタ・コアには辿り着けないってことか」

 カズマは唇を噛んだ。

 「そうだ。しかし、弱点がある」

 アークはホログラムを操作し、ある部分を拡大した。

 📍 「電源供給ユニット」

 「この部分を破壊すれば、ガーディアンは動けなくなる」

 リナがスクリーンを見つめながら言った。

 「でも、これって……」

 「そう、コアの奥深くにある。つまり、ガーディアンを突破しないと壊せない」

 「……つまり、こいつを正面突破しろってことか?」

 カズマは溜息をついた。

 アークは静かに頷いた。

 「ただし——一つ、別の方法がある」

 全員が息を呑む。

 アークは、端末を操作し、あるデータを映し出した。

 📡 「オルタ・コア:プライマリ・リンク」

 「オルタ・コアには、"別のルート"が存在する」

 カズマの目が鋭くなった。

 「……どういうことだ?」

 アークは少しだけ笑った。

 「オルタは、ある"特殊なネットワーク"を使っている。つまり——」

 彼は、一枚の古い設計図をカズマの前に置いた。

 「"内部から破壊する方法"がある」

2
 「内部から……?」

 カズマは設計図を見つめた。

 「オルタ・コアは、人間の"意識データ"を蓄積し、制御している」

 「……意識データ?」

 リナが驚いた声を上げる。

 アークは頷いた。

 「そう。つまり、オルタの中心には"人間の脳"がある」

 カズマの背筋が凍った。

 「まさか……」

 「オルタを作った初期の研究者たちは、"ある計画"を立てていた」

 📂 「オルタ創設計画:人間意識のデジタル化」

 「政府は、"AIに統治を任せるための究極の方法"として、人間の脳を使った人工知能を開発した」

 リナが息を呑む。

 「……つまり、オルタの本体は"機械"じゃない……?」

 アークはゆっくりと頷いた。

 「そうだ。オルタの核には、"元・人間"が存在する」

 カズマは拳を握った。

 「……そいつを止めれば、オルタは崩壊する?」

 「理論上はな。しかし、問題がある」

 アークは、カズマの目をまっすぐ見つめた。

 「オルタは"意識の集合体"だ。つまり——"お前を受け入れることができる"」

 「……どういうことだ?」

 アークは端末を操作し、カズマにデータを送信した。

 📡 「オルタ・コア:意識接続プロトコル」

 「お前は、生まれつきエモーション・フィルターが効かない"異端者"だ」

 「……それがどうした?」

 「だからこそ、お前は"オルタと繋がることができる"」

 カズマの目が大きく見開かれた。

 「俺が……オルタに繋がる……?」

 「そうだ。お前が"内部から"オルタを破壊するんだ」

 リナが不安そうに口を開いた。

 「でも、それって……もし失敗したら?」

 アークは静かに言った。

 「カズマは、オルタの一部になる」

 部屋が静まり返った。

 カズマは、自分の手をじっと見つめた。

 ——俺は、オルタの一部になるかもしれない?

 だが——それでも。

 「……やるしかないな」

 リナが驚いたようにカズマを見た。

 「カズマ……」

 カズマは笑った。

 「怖いよ。でも……これが、俺にしかできないことなら」

 彼は、リナの手を取った。

 「人間らしさを取り戻すために、俺は戦う」

 リナの瞳が揺れる。

 だが、次の瞬間、彼女は静かに頷いた。

 「……分かった。私も、最後まで一緒にいる」

 アークが腕を組みながら微笑んだ。

 「決まりだな」

 彼は、作戦計画のホログラムをスクリーンに映し出した。

 📡 「オルタ中央タワー突入計画、開始」

 「カズマ、お前は"オルタと繋がる者"として、コアに潜入しろ」

 「リナ、お前はカズマを援護しろ」

 「俺たちは、正面からレッドガーディアンを突破する」

 決戦の準備が整った。

 カズマは、拳を握りしめた。

 ——すべてを終わらせるために。

(第7章・了)

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