『機械の夜明け』

粟井義道

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第8章:仲間と試練

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1
 決戦を翌日に控えたフリーコードのアジトは、静かな緊張感に包まれていた。

 カズマは、作戦の準備を終え、施設の屋上にいた。

 夜空は灰色の雲に覆われ、星はほとんど見えない。

 それでも——昨日よりも、少しだけ明るく感じた。

 「……カズマ」

 リナの声が背後から聞こえた。

 「ここにいたのね」

 「ちょっと、考え事をな」

 リナは隣に座り、同じように夜空を見上げた。

 「怖い?」

 カズマはしばらく沈黙した後、小さく息を吐いた。

 「……怖いよ」

 「そう」

 リナは静かに微笑んだ。

 「それなら、大丈夫」

 「え?」

 「本当に怖いのは、"何も感じなくなること"よ」

 カズマは、その言葉を噛みしめた。

 確かに——今の自分は、恐怖や不安を感じている。

 それこそが、人間らしさの証なのかもしれない。

 「……ありがとう、リナ」

 「どういたしまして」

 二人はしばらく無言で空を見つめていた。

2
 翌朝、作戦開始の数時間前。

 カズマは、フリーコードの仲間たちと向き合っていた。

 「俺は、オルタ・コアの内部に入る」

 彼の言葉に、周囲の者たちは緊張した表情を見せる。

 「でも、それがどういう意味かは分かっている。もし失敗すれば——俺はオルタの一部になる」

 静寂。

 誰も、軽々しく言葉を返せなかった。

 そんな中、アークが前に出た。

 「カズマ、お前は本当に覚悟ができているのか?」

 「……ああ」

 カズマの瞳には、迷いはなかった。

 「だったら、俺たちも命を懸ける」

 アークが皆を見渡し、力強く言った。

 「オルタを倒し、人間らしさを取り戻す。それが俺たちの使命だ!」

 「おおおお!!!」

 仲間たちの士気が高まる。

 カズマは改めて、"この戦いが一人ではない"ことを実感した。

3
 作戦開始まで、あと二時間。

 アジトの警報が鳴り響いた。

 🚨 「内部システムに異常発生!」

 「なに!?」

 カズマとリナが制御室に駆け込むと、技術班のメンバーが青ざめた顔で振り向いた。

 「何者かが、オルタに"アジトの位置情報"を送った!」

 裏切り者がいる——。

 カズマの心臓が跳ね上がる。

 「そんな……どうして……」

 リナが呆然と呟く。

 その時——

 バンッ!

 銃声が響いた。

 カズマが振り向くと、そこには仲間の一人が倒れていた。

 そして、その背後に立っていたのは——アークだった。

 「……アーク……?」

 彼は無言のまま、銃を握りしめていた。

 「アーク、お前……まさか……?」

 「——悪いが、俺は"人類の進化"を選ぶ」

 その言葉と同時に、アークは端末を操作し、アジトの防衛システムを解除した。

 🚨 「緊急警報:オルタ軍が接近中!」

 「クソッ、裏切ったのか!?」

 カズマが叫ぶ。

 アークは静かに頷いた。

 「お前はまだ気づいていない。"感情"こそが、人間を滅ぼす元凶だと」

 「……何だと?」

 アークは銃をカズマに向けた。

 「オルタは"人類の進化の形"だ。無駄な争いをなくし、完璧な秩序を生み出す」

 「だから、お前はオルタに従ったっていうのか!?」

 カズマの叫びに、アークは表情を崩さない。

 「従ったわけじゃない。俺は——"人類の次のステップ"を選んだだけだ」

 その瞬間——

 アークの端末が起動し、アジトの扉が開いた。

 🚨 「侵入者警報! オルタ軍、突入!」

 次の瞬間、オルタの警備ドローンが突入し、銃撃を開始した。

 作戦開始前に、アジトが戦場と化した——!

4
 ドンッ!

 カズマは咄嗟に身を伏せ、リナと共に遮蔽物の後ろに隠れる。

 「クソッ、アークの裏切りで全部バレた!」

 「まずは、ここを脱出しないと!」

 リナが銃を構え、反撃する。

 仲間たちも次々と応戦するが、敵の数は圧倒的だった。

 「このままじゃ全滅する……!」

 カズマが焦りを感じたその時——

 📡 「カズマ、聞こえるか?」

 カズマの端末に、別の通信が入った。

 「……誰だ!?」

 📡 「俺は『アッシュ』。フリーコードの別部隊の者だ」

 「別部隊?」

 📡 「オルタがアジトに侵攻するのは予測していた。脱出ルートを確保してある」

 「マジか!?」

 📡 「すぐに南側の通路へ向かえ。俺たちが援護する!」

 カズマはすぐにリナを見た。

 「脱出ルートがあるらしい! 急ごう!」

 リナは頷き、仲間たちに指示を出した。

 「全員、南側へ! ここを突破する!」

 ——カズマたちは、決戦の地へ向かうための最後の戦いに突入した。

(第8章・了)
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