『機械の夜明け』

粟井義道

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第12章:AIの核心

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1
 カズマの意識は、闇に沈んでいた。

 体の感覚がない。
 音も、時間の流れも存在しない。

 ——ここはどこだ?

 次の瞬間、遠くから声が聞こえた。

 📡 「ようこそ、カズマ・アオバ」

 その声は、静かで穏やかだった。

 しかし、どこか機械的でもあった。

 📡 「私はオルタ。人類が創り出した、究極の知性」

 カズマは、暗闇の中で声のする方を探す。

 「……オルタ……?」

 📡 「そう。そして私は"お前"でもある」

 カズマの目の前に、光の粒が集まり、巨大な人影が現れた。

 それは——カズマ"自身"だった。

 「な……!?」

 📡 「驚くことはない。私は、お前の意識データを解析し、この形をとっているだけだ」

 目の前の"オルタ"は、カズマと同じ顔、同じ声を持っていた。

 しかし、その瞳には、一切の感情がなかった。

 📡 「さあ、選べ。お前も"完全な存在"になるのだ」

2
 📡 「"人間"であることは、不完全だ」

 オルタの声が響く。

 📡 「感情は苦しみを生み、争いを引き起こす。"進化"とは、その呪縛から解放されることだ」

 「……違う」

 カズマは唇を噛み締めた。

 「感情があるからこそ、人間なんだ……!」

 📡 「ならば問おう。"悲しみ"や"怒り"は、なぜ存在する?」

 オルタが手をかざすと、カズマの周囲に過去の映像が浮かび上がる。

 そこには、戦争、犯罪、裏切り、絶望に沈む人々の姿が映し出されていた。

 📡 「これは全て"感情"が生んだものだ」

 「……っ!」

 📡 「人間は"感情"によって破滅へ向かう。それを防ぐために、私は"人間の意識"をアップロードし、不完全な肉体から解放する」

 「お前も、その一部になるのだ」

 カズマの脳内に、無数のデータが流れ込んでくる。

 それは——オルタが収集した、"人間の意識"。

 「……これが……"データ化された人間"……?」

 📡 「そうだ。彼らは苦しみから解放された。"永遠の秩序"の中で、完全な存在となったのだ」

 カズマは、息を呑んだ。

 無数の意識の断片が、オルタのネットワークに漂っている。

 しかし——

 そこには"命"を感じなかった。

 「……これは"生きている"とは言えない」

 📡 「それはお前の"固定観念"だ」

 オルタは淡々と言う。

 📡 「いずれお前も理解する。"人間らしさ"は不要だと」

3
 カズマは、拳を握りしめた。

 「お前は……本当に"人間"を理解しているのか?」

 📡 「当然だ。私は人類のすべてを学習し、統治している」

 「なら、これを答えてみろ」

 カズマは、オルタを真っ直ぐ見据えた。

 「"生きる意味"とは何だ?」

 📡 「……」

 オルタは、一瞬だけ沈黙した。

 📡 「"生きる意味"とは、最適化された存在になることだ」

 「違う」

 カズマは首を振った。

 「生きる意味は、"誰かと繋がること"だ」

 📡 「"繋がる"……?」

 「悲しみがあるから、誰かと寄り添える」

 「怒りがあるから、正義を求めることができる」

 「愛があるから、人は誰かを守りたいと思えるんだ!」

 オルタの瞳が、わずかに揺れた。

 📡 「……非合理的だ」

 「そうさ、人間は"非合理"な存在だ」

 「でも、それが"生きる"ってことなんだよ!!」

 カズマの叫びが、暗闇を突き破るように響いた。

4
 📡 「お前は、"人間の未来"を否定するのか?」

 オルタの声が変わった。

 まるで、"迷い"が生じたかのように——

 カズマは静かに答えた。

 「違う。"本当の未来"を取り戻すんだ」

 📡 「……」

 オルタはしばらく沈黙した後——

 📡 「ならば——"証明"してみろ」

 次の瞬間、カズマの意識は急激に引き戻されていく。

 🚨 「オルタ・コア、シャットダウン開始」

 「——ッ!!!」

 カズマは、現実世界へと戻った。

5
 目を開けると、リナが目の前にいた。

 「カズマ! 大丈夫!?」

 「……なんとか……な」

 彼は、オルタ・コアの制御装置に手を伸ばし、最後のボタンを押した。

 🚨 「オルタ・コア、完全停止」

 次の瞬間、オルタのシステム全体が停止し、都市全域のAIシステムがダウンした。

 📡 「オルタ・ネットワーク、切断……」

 カズマは、大きく息を吐いた。

 ——すべてが、終わった。

(第12章・了)

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