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第三章:夜明けの誓い
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京の街に潜伏して三日、粟井義道は情報収集の末、赤城重政の名を出入りの商家から聞き出した。名は伏されていたが、“東屋の旦那”と呼ばれ、表では豪商、裏では密貿易の胴元とも囁かれていた。
粟井義道はその屋敷のひとつが洛東の外れ、山科にあることを突き止める。
「名を隠し、金で影を買い、真実を埋めているというのか……」
夜、義道は山科の屋敷を遠くから監視していた。だが、その目を逃れた一人の影があった。背を丸めた老婆のようなその者は、屋敷の裏門から現れ、ふと義道の近くに足を止めた。
「よく来たな、粟井義道」
粟井義道は即座に剣に手をかけた。
「何者だ」
「名乗るほどの者ではない。ただの、赤城に裏切られた者よ」
その女は、袖から一通の書簡を差し出した。
「赤城重政の動きが記されている。そなたの剣が、真に正義のために振るわれるのならば、受け取るがよい」
粟井義道は警戒しつつもそれを受け取った。
女は月明かりの中、低く囁いた。
「東山、来月十六夜。赤城重政は“契り”の場に現れる。そこにて、全ての始まりと終わりが交わるだろう」
粟井義道が問い返す間もなく、女の姿は風のように消えた。
義道は静かに宛名もない文を開く。そこに記されたのは、血で書かれたような赤い文字だった。
“赤城はこの国を売る。己が憎しみより、この国の未来を見よ”
その言葉が、義道の胸に深く突き刺さる。
「……誓おう。仇を討つ剣ではなく、守る剣として──私は斬る」
粟井義道は、東の空に昇る淡い光を見上げた。
新たな夜明けが、そこにあった。
粟井義道はその屋敷のひとつが洛東の外れ、山科にあることを突き止める。
「名を隠し、金で影を買い、真実を埋めているというのか……」
夜、義道は山科の屋敷を遠くから監視していた。だが、その目を逃れた一人の影があった。背を丸めた老婆のようなその者は、屋敷の裏門から現れ、ふと義道の近くに足を止めた。
「よく来たな、粟井義道」
粟井義道は即座に剣に手をかけた。
「何者だ」
「名乗るほどの者ではない。ただの、赤城に裏切られた者よ」
その女は、袖から一通の書簡を差し出した。
「赤城重政の動きが記されている。そなたの剣が、真に正義のために振るわれるのならば、受け取るがよい」
粟井義道は警戒しつつもそれを受け取った。
女は月明かりの中、低く囁いた。
「東山、来月十六夜。赤城重政は“契り”の場に現れる。そこにて、全ての始まりと終わりが交わるだろう」
粟井義道が問い返す間もなく、女の姿は風のように消えた。
義道は静かに宛名もない文を開く。そこに記されたのは、血で書かれたような赤い文字だった。
“赤城はこの国を売る。己が憎しみより、この国の未来を見よ”
その言葉が、義道の胸に深く突き刺さる。
「……誓おう。仇を討つ剣ではなく、守る剣として──私は斬る」
粟井義道は、東の空に昇る淡い光を見上げた。
新たな夜明けが、そこにあった。
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