異世界転移したのにテレパスしか使えない僕は、誰を信じればいいんだろう

ぐりとぐる

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突然

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雄二、エリナ、リィナの三人で楽しく話しているところに、オルゲンが顔を出した。

「あ、すみません」

と言ってオルゲンは部屋を出ようとする。
エリナが雄二やリィナと距離を置いていることを、カイウス様は心配していた。
だから、エリナの様子を見に来たのだ。

三人が一緒にいるのを見て、自分はお邪魔虫だとオルゲンは思って去ろうとした。
自分はこの人たちを傷つけた存在なのだからと。

だが、そんなオルゲンをリィナが引き止めた。

「ねえ、ちょっとお話ししていきなよ。これからここで働くんでしょ?だったら、ずっと私たちのこと避けてもいられないんだし」

そう言ってリィナは雄二にウインクをする。
さっき雄二が「普通に接することができるかなあ」と言っていたから、ここで関係を築けばいいと思ったのだ。

さらにリィナは、オルゲンを打ち解けやすくしようとする。

「エリナもね、あんたのこと『頼りになるお兄さまって感じ』と言ってたんだよ」

「ちょ、リィナ!そこまで私は……」

そう言いながら、エリナはオルゲンに視線を向ける。

「一応傷は治していただきましたし、魔法の腕が一流なのは確かですし……」

そういった後、さらに言葉を続ける。

「でも!まだ心から信じたわけじゃありませんわよ!」

そこでリィナが口を挟む。

「ねえ、あんた本当にカイウス様に仕えるつもりなの?寝首をかこうと思ってるんじゃないの?」

そんなリィナの率直な問いに、オルゲンは真っすぐ答える。

「カイウス様は、私の仇の子供です。ですが、あの方はグロウゼンとは違う。むしろクーデターでグロウゼンを倒してくれたのですから、仇を取ってくれたと言ってもいい。復讐で目が眩んでいた私には、それがわからなかった……」

そして、オルゲンはまた三人に向かって頭を下げる。

「本当に申し訳ないことをしました。許してもらえなくても仕方ありませんが、これから皆様のために尽くさせていただきたく思います」

「堅苦しいぞ、お兄ちゃん!」

リィナが明るく言い放つ。

「年齢的にも本当にお兄ちゃんって感じだし、これからよろしくね!」

「わ、私もあなた様ほどの治癒魔法を身につけたいと思いますの……で……ご教示願えると、助かりますわ」

雄二もおずおずと言葉を出す。

「僕のことは、もう操らないですよね?」

「そういえば、ユージ様の心を読むくらいはできると仰ってましたわよ」

エリナがからかい口調で言う。

「いえ、そんなことは致しませんよ。エリナ様がお望みにならない限りは……」

雄二は、自分の立場の弱さを思い知った。

「オルゲンさん……エリナに望まれても断って下さいよお……」

「私を不安にさせなければ良いのですわ」

エリナは、口に手を当てながらおどけたように雄二をからかう。
この場を、オルゲンはとても居心地がいいと思った。
三人がいるのを見た時は、「しまった」と思ったものだ。

エリナのところに来るのも、本当は気が重かった。
それでも自分の責任を果たすため、カイウス様の心配を解消するためと思って頑張ったのだ。

だが、リィナがそんな空気を打ち消した。
ここにいて本心を聞かせろ、とリィナは言ってくれた。

今の自分にはやましいことはない、とオルゲンは思っている。
それでも迷惑をかけたこの三人に受け入れられるのは難しい、と思っていた。

それなのに……。
ユージもエリナも、なんて心根が優しいんだろう。
そうしみじみ思っている時に、ふいに声をかけられる。

「オルゲンは後悔してない?」

「はい!父上!」

思わずそんな言葉を口から出してしまった。
父アステルが召喚したリィナには、父を感じさせる気があるのだ。

「誰が父上よ、謝罪に来た時も言ってたけど、うら若い乙女に向かって失礼よ!」

リィナが口をとがらせる。

「申し訳ありません。父の気配を感じて、つい嬉しくなって……」

「それなら、まあ仕方ないけど……って親父臭いとかじゃないわよね!?」

そう言ってリィナは自分の身体の匂いを嗅ぐ。
その姿を見て、みんなが噴き出した。

「ちち……リィナ様。ありがとうございます」

「また父上って言いそうになったでしょ!?それに何がありがとうなのよ!?」

「いえ、何でもありません」

そんなリィナとオルゲンのやり取りが、とても微笑ましいとエリナは思った。

***

「私を不安にさせなければ良いのですわ」

エリナのさっきの言葉が頭を駆け巡る。
僕の本心がわからなくて不安になる、ということだろうか。

エリナと会えない間、僕はずっと悶々としていた。
このまま二度と会えないんじゃないか、と考えると、胸が張り裂けそうになった。

「エリナに会いたい」とリィナと言い合っている間、僕は不安で仕方なかった。
嫌われても当然のことをしておきながら、それでも、どれだけ醜く言い訳をしても、エリナと会えなくなるのは嫌だった。

エリナを不安にさせたのは、僕の弱さだ。
召喚と言う魔法にどれだけの力があるのかわからない。
でも、僕がエリナに大怪我をさせたんだ。

僕の心を疑われても仕方がない。
僕は、エリナを守りたかったのに。

リィナのことも守りたかった。でも、会えなくなって自分の気持ちが分かった。
もちろんリィナのことも守りたいけど、妹みたいな気持ちだな。
そして、エリナは……。

***

リィナがオルゲンに「だからありがとうって何よ?」と追求し、それをエリナが微笑まし気に見ている時、雄二が突然声を発した。

「僕は、エリナが好きだ!」
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