美しいツノ

あずき

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こんにちは、はじめまして。

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「ねぇ、またアレ見たって噂だよ!」

「マジ!?私も見に行こうかな~」

「アレは処女じゃないと危ないよ」

「噂よ噂。実際、非処女がアレを見たけど、無事に帰ってきて全然大丈夫だったって話もあるわよ」

「あと、アレって気に入った子は森から出さないらしいじゃん!マジ怖いんだけど!」

「その話、本当!?」

……こわいな。
本当にアレがいたら、どうしよう。

クラスメイトの話声を聞いて、私はそう思った。


「ゆずみ!」

「うわっ!びっくりした!!」

友達の美優みゆがいきなり私に話しかけてきた。

「ゆずみ~あのさ、アレ……見に行こうよ!」

「えぇ!?嫌だよ、怖いし……」

――私はビビリだ。
なので、もし見に行ってアレが居たらと思うと、怖い。

「大丈夫だって!ただの噂だし…でもさ、ちょっと面白そうじゃん!行こうよ!」

「……居たらどうするの……怖いし嫌だよ……」

アレも怖いが、友達の美優もいきなり凄いことを言い出すので怖い。

「いや、居ない可能性の方が大きいし、大丈夫だって!なんかあったら私が守るし!はい!ということで、決定~!」

「えぇ……」

――なんでこうなった?


これは噂で聞いた話だか、
アレは処女が好き。
アレは処女しか守らない。
アレは処女しか愛さない。

……アレは処女しか近付いては駄目。


美優そもそも、処女だったっけ?


「美優って、その……しょ……処女だった……?」

女同士でも、聞きづらいな。

「ううん、違うよ。でも大丈夫でしょ!大丈夫だった話もあるし!」



……不安しかない。


「大丈夫……なのかな?」

「大丈夫、大丈夫!」

なんて話を少しして、
次の休み2人でアレが出ると噂の森へ行く約束になった。



「美優!ちょっとまって!」

「はーやーくー」

そして約束通り、
土曜日アレが出ると噂の森へ2人で行った。


「早く帰りたいよ」

少し泣きそうになりながらも進んだ。

「いないな~、やっぱり噂かな。オーイ!ユニコーン!出てこーい!」

「ユニコーン居たらどうしよう……こわいなぁ」

アレとはユニコーンのこと。

本当にいるんだろうか?そんな生物。
頭からツノが生えている馬なんて怖すぎる。

お願いだから出ませんように、と祈りながら美優と共に森の奥へと進んだ。


奥へ奥へと進んでいく。
足が疲れてきたから休もう。そう言おうとした時だった。

「ん?なんか今、聞こえなかった?」

休もう。そう言おうとした私より先に、美優がそんなことを言った。

やめてよ。変なこと言うの。

美優の一言に私の心臓はバクバクとうるさい音を立て始める。

「気のせいかな~」

そう言って美優がこちらに振り向いて、「驚かしてごめんね」と言った。

いいよ。とそう言おうとした、
その時だった。

カサカサと木々が揺れ、葉の重なる音がした。
そして同時に何かが、こちらにゆっくりと近付いているのが分かった。

「ほら!やっぱり!」

そう言って美優は私を置いて更に森の奥へと、走って行った。

「美優!」

置いていかれる。追いかけないと。
でも怖くて足が竦む。上手く歩くことができない。

早く追いかけないと。
その一心で私は上手く動かない足を無理矢理動かした。

「美優!」
やっと追いついた、そう思った。

あの時、約束なんてしなければと思った。
行くのやめようと、一言えたなら。

――後悔しても遅いのだけれど。


私の目の前には、白く綺麗な大きな馬と、
血だらけの美優がいた。





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