美しいツノ

あずき

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あなたのことは、きらいです。

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悪いことをしていた。

そう感じてから私は、ユニコーン男に対して持っていた、とても怖いツノというイメージから少しだけ可哀想なツノ、というイメージに脳内ですっかり書き換えられていた。

「あっ、あの、なにかあったら言ってくださいね。その、な、悩みとか、あったら……」

話しかけた後に、もしや迷惑かも。と思い、出そうと思っていた声量よりも、小さな声が出てしまった。

私は気づかぬ内に、こんな偉そうなことを言っていたんだ。

そう思うと出しゃばってしまった恥ずかしさと、なんてことを言いだす奴なんだという、自己否定感でいっぱいだった。

「ごめんなさい。出しゃばりました。忘れてください、今の言葉。出会って直ぐの奴が何言ってるんだって感じですよね。恥ずかしい。すみません」

早口で言い、この感情をごまかした。

「…………」

ほらみろ私、あのユニコーン男が目を大きくして、
困っているではないか。

あぁ、嫌だ。この空気。
穴があったら入りたいってこういう状況のことなのかな……。

「ゆずみちゃん」

――ごめんなさい。迷惑でしたよね。忘れてください。

私は、早口で自分の中に話しかけた。


「ゆずみちゃん、ありがとう。本当に、ありがとう」

ユニコーン男が本当に嬉しそうな、まるで神様に救われたような顔で、私を見る。

「僕、凄く嬉しいよ」

太陽の光に優しく照らされた白くて長いまつげが、宝石の瞳に優しく影を乗せていた。


「ゆずみちゃんのその気持ちだけで、僕はとっても嬉しい」

あの後、彼はそう言って、少し恥ずかしそうな顔をした後に嬉しそうに笑っていた。

「ゆずみちゃんは優しくて、綺麗な子だね」

そう言われたけど、私は素直にその言葉を聞いて、喜ぶことが出来なかった。

だって、私は。
私たち人間が勝手にこの森の噂を広め、そして何も考えずにこの森へ入り、知らぬうちに森の静寂を止めてしまっていたんだから。

噂が広まる前は、この森のことなんて皆なんとも思っていなかったし、森へ遊びに行ったと言う話も聞いたことがなかった。

それなのに今は、ユニコーンが出ると噂をし、皆が好き勝手に自然を荒らしていた。

そして、私もその一人。

悪気はなかったとはいえ、このユニコーン男に悪いことをしていたんだ。
そう思うと自分のことが化け物に思えた気がした。

「この森ね、もともと本当に静かで、ゴミなんて一つも落ちていなくて、綺麗で自然がいっぱいで、美しかったんだ。水も透き通っていたから、お魚も沢山住んでいたんだよ……流石に森の奥はとっても複雑な道で危ないだろうし、暗くなると何にも見えなくなって、帰ってこられなくなるから、僕のお家の辺りまで来る人は少なかったんだけどね……」

人間の、私たちのせいだ。

私が、自然を壊していたんだ。

「ごめんなさい」

やっぱり、私が悪かったんだ。

「ううん、気にしないで」

そう言いながらも彼の碧い瞳はまだ、
哀しそうに、辛そうに揺れていた。

「僕は、大丈夫だから」


人間なんてすぐに騙される生き物。

出会って数日しか経っていないのに、彼に対する警戒心が少しずつ、本当に少しずつ、解かれていく。



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