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過去編
独占欲③
しおりを挟む…どうして、大丈夫だと思った?
だけど、君は僕との閨では、こんなにも乱れ切って、甘える様子なんて見せたこともなかった。
身体を重ねたところで、君が心を全て預けてくれる訳ではなかった。
僕との夜は、…互いの家の血を引く子どもを残すという責務、だったのか?
――それでは今は?
君が自ら望んだ。最も叶えたい願いとして、あの男と逢いたいと。
(…君は初めて、心から望んだ男と夜を共に過ごすのか。)
奪いに行く勇気を亡くした脚は震え、頬を伝うのは何の涙か。
ただ顔を覆って、圧し潰されそうな程どす黒い感情に耐え続けた。
――この夜を境に、僕は君を離せなくなる。
二度と君の希望なんて聞かなかったし、毎晩自分の部屋に無理やり呼びつけた。
二度と屋敷から出すものか。
だからどうか諦めて君の…一番好きな男に。
◇◆◇◆
「ん…ッだん、な、さま…まっ…て」
濡れていない君の奥に、互いの性器へ潤滑油を塗って強引に入り込んだ。
それでも乾ききって引き攣った場所が痛むのだろう、セレスティアの顔が歪む。
(そんな表情すらも美しいのか、君は。)
こんな下衆な男がする様な行為を、止められない。
ここまで、拒絶反応を返されて初めて知った。
君は僕を、あの日まではきちんと迎えてくれていたんだと。
潤滑油など初夜以降は使ったことがなかった。
乱れきることはなくても、君の腕は僕の背に回っていたし、口づけに何度だって応えて、返してくれた。
名前も呼んでもらえて、堪えきれない快感の声を漏らして。
思い出せば、目頭が熱くなるが、彼女に苦痛を強いている自分が涙を流すわけにはいかない。
「は、く…ッ」
君は快感だけでなく、苦痛の声も堪えるのか。
「今日は、いいものを用意させた。さあ、これを飲んでくれ」
自分でビンを煽って、セレスに口づけて飲み込ませる。
「ん…っ!?これ、は…?」
そういったセレスの息は段々と整わなくなっていく。
身体の奥からは、潤滑油とは違うぬめりが溢れてくる。
「…媚薬だよ」
虚ろな目をしたセレスに、暗く笑って告げた。
あの会合を調査した際にあった情報を覚えていた。
会場で男性側にだけ「媚薬」が販売されている。
それを家来に買ってこさせた。
潤滑油、…媚薬、君と交わるために、死に物狂いだ。
異常に滴る愛液に、蠢く中に、響く嬌声に、自身の興奮も高まっていく。
でも何より、君の腕が我武者羅に僕にしがみついてくれる事が、胸のほの暗さを少し晴らしてくれる。
「ああああッデイビッド…!」
例え、絶頂を迎える度に違う男の名前を呼ばれても。
「それでも、セレス、君は僕だけのものだ」
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