【完結】死に戻り伯爵の妻への懺悔

死に戻り編

最悪の日の１年前①

「ウィル様…！お加減が悪いんですか？どうか、答えてくださいませ…ッ」


ヒヤリとした気持ちのいい感触が、額に当たって僕は目を開いた。


「ふふ…今度はまた、いい夢だ…」
「ひゃ！？」


腕に抱きこんだセレスティアの髪に頬ずりをし、キスをする。

君が弱っていったあの日から、君と想いのまま触れ合えるのは夢の中だけだった。


ふ、と視線を向けるとセレスティアの顔が真っ赤に染まっていた。

夢の中でのいつもの反応とは違って、とても初心な様子だ。



「セレス…？そんなに可愛い顔を向けて…、堪らないな…」



そう言って顎を掬い上げて、唇を触れ合わせる。

何度合わせても唇を開けて迎え入れてくれなくて、焦れた僕はセレスの唇を舌でなぞった。


「…ンッだめ…、だめです！ウィル様…これから御仕度を…！」


今日の夢の中のセレスティアは珍しく抵抗してくる。それもずっと真っ赤な潤んだ瞳で。

あまりにも可愛くて、起ちあがった下半身をグリ、と押し付けながらのしかかろうとした時。






「ははうえ～！」




と勢いよく扉が開いた。




セレスが慌てて僕を押しのける。

今日の夢はここで終わりか…。懐かしい、けれど新鮮な夢だった。

いつも扉が開いたり、馬車へ乗ったりと変化が加わると夢は儚く終わってしまう。




――そう思ったが、今日は中々終わりがやって来ないようだ。



「ル、ルイス…！起きたのね、お利口さんね」

駆け寄ってきた子を胸へと抱き上げる。
その後ろから赤子を抱いた乳母も入ってきた。


（？ルイスの下の子か…？違う、セレスティアがこの年齢なら…、セレスも呼んでいたし、ルイス本人か…懐かしいな。）


今はもう立派な領主となって妻と子を守っているルイスが無防備に母に甘える姿に微笑ましくなる。


「おりこう！」


ふくふくとした頬を揺らしながら、愛らしい声で繰り返すルイス。


「どれ、ルイス。父様のところへもおいで」



つい孫を呼ぶ様な口調になった気がするが、気にせずセレスの腕の中のルイスを抱き上げる。

少しジタバタともがいたが、ネイサンのところの下の子で慣れているので、問題ない。


その内に大人しくなったルイスの頬にキスをする。幼児の可愛い匂いが堪らない。