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死に戻り編
あまりにも幸せな日々①
しおりを挟む顔がくすぐったい。
これは巻き戻って来たことで、初めて味わった感触だ。
セレスティアが僕の胸に抱きついて眠っていると、その美しい髪が跳ねて、僕の顔にまで届く。
ああ、素肌の感触が心地よくて、嬉しい。
(君が今日もいる)
目覚めが最高の朝だというのに、君の姿を見るまでは、朝の光に少しの恐怖を感じているのだ。
『すべては都合のいい夢だった』
と突然取り上げられてしまうのではないかと、身構えてしまうほどの幸せを僕は浴びている。
髪を整える様に撫でて、眠っている君の額にキスを落とす。
「ん…」
昨日も深く繋がって、疲れているだろう君を起こしてしまったかもしれない。
あんな風に、心をも預け合うような、想いを溶かし込む様な、交わり方はしたことが無かったからだろうか…うまく制御できない。
末っ子である長女を授かるまでは、という言い訳が通用しない程、幾夜も深夜まで触れ合っている。
「ウィル…」
目を少し開けた眠そうなセレスティアが、僕を完全な愛称で呼ぶ。
それにまだ慣れない胸が高鳴るのを鎮める間もなく、君から顎へのキスをもらう。
どうやら寝起きの髭の感触がお気に召しているようで、セレスは何度も唇を当ててくる。
少しいたずら好きな君が垣間見えて、とても愛しくて笑い声が漏れる。
僕がくすぐったがっていると思っているのかもしれない、侍従が朝の支度時に剃ってくれるまで、この髭に度々絡んでくるのが可笑しい。
だが、朝だからと油断してはいけないことを君は毎朝忘れるんだろうか。
「セレス…」
は、と熱い息が漏れるのを隠さぬままに、セレスの唇を食べてしまう。
「ふ、あ…っ」
セレスの何も纏わぬままの腰をこちらへ寄せて、朝だけではない原因で元気な自身を秘処へと擦り付ける。
そのまま少し下に身体を下げて、入口に宛がう。
「あっまって、ウィル…ッ」
「…どうして?君のここは歓迎してくれそうだが…?」
キスから逃れるように顔をシーツの方へ隠すセレスティアの、丸見えの耳へと舌を這わせる。
途端に甘い吐息と共に、入口からは愛液が更に零れてくる。
(耳への愛撫にで君がこんなに、乱れるなんて…知らなかった…)
耳だけではない、同じ箇所でも少し触り方が違うだけで、身体の跳ね方が違う。
安心しきって、身体を預けてくれた状態での挿入では、中の感触や動きが、あれ程に気持ちいいのだと初めて、知った。
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