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準備期間です。
38.黒い男の人が来ました
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「……こんばんは?」
「……」
夜中にふと起きると、黒ずくめの男の人が枕元にいました。
「えっと……ご用件はなんでしょうか?」
「……」
正直、私が契約した精霊達の目をかいくぐり、ここまで来る人がいるとは思わなかった。
なので、瞬きの回数が多くなるのは仕方がないだろう。
《リア、わざとここまで通したのであって、そいつの実力ではないからな》
《そうよ、リアちゃん。私達がリアちゃんを危険な目に遭わせるわけないでしょう》
《何で追い出したら駄目なんだよ》
「とりあえず、行動は起こさないでくださいね。変な動きをするのでしたら、すぐに拘束しますからね」
精霊達がわざとこの男の人をここまで案内したようだ。
「で? どういうことなのかな?」
《その男、妙なんだよな~》
「妙?」
《邸に入る前、ウロウロとしていたんだ》
「中の様子を窺っていたんじゃないの?」
《いや、そういう感じじゃなくて、入ろうとしては止めて……みたいなことを繰り返していた》
「んん? ん~、迷っていた?」
《ああ、うん、そんな感じ》
ヒューリーの言い分に、私はもう一度黒ずくめの男の人を見る。
それはもう観察するようにまじまじと。
だが、口元が全体的に布で覆われているため、顔全体がよくわからない。
「ねぇ、ちょっとそのマスク取ってくれない?」
《俺がやる》
「ありがとう、ルーク」
ルークがマスクを外してくれたので、改めてまじまじと観察する。
男の人は黒髪で赤い目で、思った以上に若い人だった。
大きくなったルークくらいの少年と青年の間っていう感じだ。
そして、何よりイケメンだ。
「ん~?」
……どこかで見たことがある顔である。
赤い目って特徴的だから、会っていたら忘れないはずだ?
「あっ!」
あ、この人攻略対象者の一人だ!
暗殺者の青年!
まだ少年っぽさが残っているが、間違いない!
夢で見ただけで、直接会ったことはなかったから、思い出すのに時間がかかったよ。
「って、暗殺者!?」
「っ!」
そう、暗殺者だ。
確か名前は……ブラッド。
生まれてすぐに親に裏組織に売られたのだ。
血のような赤い目だったからという理由でね。
「ん~? 血の色?」
「っ!」
「血の色って言うよりは、夕焼け色じゃないかな?」
「っ!」
「あ、キラキラしているからルビーっぽいかも!」
「っ!」
赤い目を眺めて正直に思ったことを口に出すと、ブラッドがビクッと震える。
あれ、怯えている?
《リアちゃんは本当に可愛いわね~》
《いやいや、暢気過ぎじゃないか? だって、暗殺者ってことは、リアのことを殺しに来たってことだろう?》
《リアを殺す? ルーク、何を言っているの? 僕が傍にいて、そんなこと許すわけがないだろう?》
《いや、そういうことじゃなく、驚くとか、怯えるとか……リアが何かしらの反応を示すところだろう? それがないのが不思議でさ~》
「危険がなければ驚くことも、怯える必要もないということではないですか?」
ブラッドが枕元にいたのに気づいた時、びっくりしたよ?
ただ、みんなも一緒にいて、ブラッドが変な動きをしないように常に警戒しているからね。
ああ、ブラッドが怯えているのは、精霊達に見張られているからかな?
「ねぇ、みんな、ブラッドは何もする気はなさそうだし、怯えているから警戒を解いてあげて?」
《「……」》
ヒューリー、ミリア、ルーク、ジルベールが黙り込んでしまった。
何でだろう?
《あの男が反応しているのはリアの言葉にだよね?》
《だよな~。間違っても俺達の存在のせいじゃないよな~》
「そうですね」
《ふふふ、これがリアちゃんの可愛いところじゃない》
何だろう?
四人で内緒話を始めてしまって、仲間外れにされているよ~。
「……」
夜中にふと起きると、黒ずくめの男の人が枕元にいました。
「えっと……ご用件はなんでしょうか?」
「……」
正直、私が契約した精霊達の目をかいくぐり、ここまで来る人がいるとは思わなかった。
なので、瞬きの回数が多くなるのは仕方がないだろう。
《リア、わざとここまで通したのであって、そいつの実力ではないからな》
《そうよ、リアちゃん。私達がリアちゃんを危険な目に遭わせるわけないでしょう》
《何で追い出したら駄目なんだよ》
「とりあえず、行動は起こさないでくださいね。変な動きをするのでしたら、すぐに拘束しますからね」
精霊達がわざとこの男の人をここまで案内したようだ。
「で? どういうことなのかな?」
《その男、妙なんだよな~》
「妙?」
《邸に入る前、ウロウロとしていたんだ》
「中の様子を窺っていたんじゃないの?」
《いや、そういう感じじゃなくて、入ろうとしては止めて……みたいなことを繰り返していた》
「んん? ん~、迷っていた?」
《ああ、うん、そんな感じ》
ヒューリーの言い分に、私はもう一度黒ずくめの男の人を見る。
それはもう観察するようにまじまじと。
だが、口元が全体的に布で覆われているため、顔全体がよくわからない。
「ねぇ、ちょっとそのマスク取ってくれない?」
《俺がやる》
「ありがとう、ルーク」
ルークがマスクを外してくれたので、改めてまじまじと観察する。
男の人は黒髪で赤い目で、思った以上に若い人だった。
大きくなったルークくらいの少年と青年の間っていう感じだ。
そして、何よりイケメンだ。
「ん~?」
……どこかで見たことがある顔である。
赤い目って特徴的だから、会っていたら忘れないはずだ?
「あっ!」
あ、この人攻略対象者の一人だ!
暗殺者の青年!
まだ少年っぽさが残っているが、間違いない!
夢で見ただけで、直接会ったことはなかったから、思い出すのに時間がかかったよ。
「って、暗殺者!?」
「っ!」
そう、暗殺者だ。
確か名前は……ブラッド。
生まれてすぐに親に裏組織に売られたのだ。
血のような赤い目だったからという理由でね。
「ん~? 血の色?」
「っ!」
「血の色って言うよりは、夕焼け色じゃないかな?」
「っ!」
「あ、キラキラしているからルビーっぽいかも!」
「っ!」
赤い目を眺めて正直に思ったことを口に出すと、ブラッドがビクッと震える。
あれ、怯えている?
《リアちゃんは本当に可愛いわね~》
《いやいや、暢気過ぎじゃないか? だって、暗殺者ってことは、リアのことを殺しに来たってことだろう?》
《リアを殺す? ルーク、何を言っているの? 僕が傍にいて、そんなこと許すわけがないだろう?》
《いや、そういうことじゃなく、驚くとか、怯えるとか……リアが何かしらの反応を示すところだろう? それがないのが不思議でさ~》
「危険がなければ驚くことも、怯える必要もないということではないですか?」
ブラッドが枕元にいたのに気づいた時、びっくりしたよ?
ただ、みんなも一緒にいて、ブラッドが変な動きをしないように常に警戒しているからね。
ああ、ブラッドが怯えているのは、精霊達に見張られているからかな?
「ねぇ、みんな、ブラッドは何もする気はなさそうだし、怯えているから警戒を解いてあげて?」
《「……」》
ヒューリー、ミリア、ルーク、ジルベールが黙り込んでしまった。
何でだろう?
《あの男が反応しているのはリアの言葉にだよね?》
《だよな~。間違っても俺達の存在のせいじゃないよな~》
「そうですね」
《ふふふ、これがリアちゃんの可愛いところじゃない》
何だろう?
四人で内緒話を始めてしまって、仲間外れにされているよ~。
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