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第三章:『闇乃宮弐ノ闘戯場/水獣アオネコ』
【第14話】
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「スカイフィッシュ!?」
「フウ姉さま、あれはどう見ても長柄物ですのよ!?」
第二闘戯場、観客席から眼下の闘戯場を見ていたカゼノミヤノミコト眷族式神のライ&フウ姉妹。
動く氷像による数の暴力の最中、突如垂直に投げ上げられた何かに気づいたフウにつっこむライ。
「あの武器は、見覚えがありますぞ!!」
「間違いなくあれはタタラ殿が作り、私が人魚族の加護を授けたタケルの槍だぞ!!」
それに続く式神小鬼タタラ&ゼド村長。
なぜこのタイミングでこのような事が起こったのか分からず戸惑う。
「オイオイ、マサカトハオモウガ…… クモガクレジュニアハブジナノカ?」
「シルバーデストロイメン!!」
眷族半機械魔物の発言を諫めるナルカミノミヤ。
この位置からは見えないがタケルはもう……シルバーデストロイメンの発言に関係なく闇乃宮討伐隊全員が思いかけたその時だった。
『エレメントプラス……クインテット!!』
「お兄ちゃん!!」
「タケル!!」
水を除く4つのマヨイガエレメントをプラスされた瞬間、追加『風』効果により空中で停止してヘリプロペラの如 く横回転を始める槍。
同時付与された『地』『火』『雷』マヨイガエレメント効果で槍表層に生成付着されていく帯電火炎岩はその高速回転のあまり引き剥がされて落下。
小粒ながらも強力なメテオとなってフレンドリーファイア不適用なアオネコ氷分体にガンガンと降り注ぎ破壊していく。
「発想の勝利とはこの事だよ!!」
「ナイス、タケル!! 見やがったかこのメスネコ野郎!!」
新技で敵の数の暴力を止めた後輩もののふを褒めつつ、地面の氷下でこの状況を見ているであろうアオネコを挑発する須田丸。
『流石はクモガクレのボーイだにゃ……まさか、そんなことが出来るなんて。
イケメンハーレム云々ではなくマジで敵として出会いたくなかったとはこの事かもしれんにゃぁ』
3人の予想に反して嘘偽りの無い素直な感想を述べるアオネコ。
『でもこんなスモールストーンでは分体達はとにかくアイスバーグ下のアタシに届かんにゃよ? アタシと違ってキミの魔力も無限じゃないにゃろうし……どうする気かにゃ』
「ゴブガミ先生、エレメントプラスは使えますか?」
アオネコの挑発返しを無視して横のゴブガミに聞くタケル。
「ああ、問題ない」
「簑田おじさんもエレメントプラス分の魔力はありますか?」
続いて横の須田丸に確認するタケル。
「ああ、問題ないぜタケル」
「若輩者の僕から2人にお願いするのも厚かましいのですが…… 2人がエレメントプラスをアレにかけると同時に僕はあるサポートスキルを使います。どうかご協力お願いできませんか?」
状況が状況とは言えサポートを頼む相手は偉大なる武神様と雷神紋持ちのもののふ……いくら何でも厚かましい提案だったのではと自省するあまリタケルは大先輩の表情を伺ってしまう。
「HAHAHA、実に謙虚な子じゃないか!! もちろんボクはOKだよ!!」
「流石はアニキと美香さんのお子さんだ、そのよく出来た爪の垢を煎じて英里子姉ちゃんに飲ませてやりてぇよ!!」
可愛い後輩もののふの申し出に大喜びのおっさん2人。
『アタシを無視するニャ!! この分厚い氷壁を相手に今更何をやる気かニャ!!』
「そうと決まればやるぞ、タケル君」
「おう、ゴブガミ!! 頼むぜ」
「……はいっ! !」
足下から響く魔力音声に戸惑うことなく立ち上がった3人は頭上でぐるぐる回っている槍に右腕を上げる。
「ライちゃん、主様のあの構えは……」
「間違いありませんわ姉さま、あれは五武神版エレメントプラス『帯風(たいふう)』の構えですわ!!」
眼下の第二闘戯場で立ち上がり、上空に腕を上げるゴブガミを見てすぐにその意図に気が付いた眷族式神姉妹。
「まさか主様はタケル君仕様のチンケな槍に御自身の帯風をかける気ですの?」
「ライちゃん、作った人達そこにいるから!! すぐにゴメンナサイしなさい!!」
いつもは姉妹漫才ボケ担当でありながら、妹の大問題発言に珍しくツッコミにポジションチェンジしてしまう式神フウ。
「いえいえ、フウ様お気になさらず……あれはお若きタケル殿の魔力とエレメントプラス能力に合わせた物。
チンケと言う表現はとにかく業物や逸品ではございませぬ事は私が一番存じ上げております。
おそらくカゼノミヤノミコト様級の魔力を流し込まれては……武器の破損どころかバラバラになって消滅は不可避でしょうな。」
「ゴメンナサイ……」
「妹が失礼しましたぁっ! !」
穏やかな口調のタタラを前にライの頭を下げさせつつ、自身も連帯責任で謝るライ。
「お前ら漫才やっとる場合ちゃうで!! そんなら早うあのアホ止めんと!!」
眷族式神達のコントに割入った英里子は眼下のゴブガミ達にボディサインでストップ指示を出そうとする。
『ラージドウエポン!!』
付与済みマヨイガ属性効果はそのままに数倍どころではない氷洞直径ギリギリの長さまで相似拡大する槍。
『帯風(たいふう)!!』
相似拡大により重量が増えてタケルのエレメントプラス・ウインドでは支えきれなくなったそれは当然の如く物理法則に基づいて3人の頭上に落ちて来るが、ゴブガミが付与した風エレメント魔力で空中停止。
『エレメントプラス・ヴォルト!!』
『エレメントプラス・ファイア!!』
3人分のマヨイガエレメントパワーを与えられたそれは轟音と共に横大回転を再開し、容赦なく巨岩サイズの帯電火炎岩を無限生成してガンガンと落としだす。
『ぐぁぁぁぁぁ!! きゃああああ!!』
氷洞窟底を満たすプールと一体化したアオネコ本体を守る氷壁を力任せにぶち破り、帯電焼石をその液体ボディ内に際限なく投げ込んでくると言う防ぎようのない一方的暴の極み戦法。
須田丸のビーム砲で蒸発消滅した後、ほぼ無敵の液体ボディで蘇生したアオネコは体内からの直接電撃痛と二度目の蒸発消滅の恐怖のあまり絹を裂くような悲鳴を上げ続ける。
【第15話に続く】
「フウ姉さま、あれはどう見ても長柄物ですのよ!?」
第二闘戯場、観客席から眼下の闘戯場を見ていたカゼノミヤノミコト眷族式神のライ&フウ姉妹。
動く氷像による数の暴力の最中、突如垂直に投げ上げられた何かに気づいたフウにつっこむライ。
「あの武器は、見覚えがありますぞ!!」
「間違いなくあれはタタラ殿が作り、私が人魚族の加護を授けたタケルの槍だぞ!!」
それに続く式神小鬼タタラ&ゼド村長。
なぜこのタイミングでこのような事が起こったのか分からず戸惑う。
「オイオイ、マサカトハオモウガ…… クモガクレジュニアハブジナノカ?」
「シルバーデストロイメン!!」
眷族半機械魔物の発言を諫めるナルカミノミヤ。
この位置からは見えないがタケルはもう……シルバーデストロイメンの発言に関係なく闇乃宮討伐隊全員が思いかけたその時だった。
『エレメントプラス……クインテット!!』
「お兄ちゃん!!」
「タケル!!」
水を除く4つのマヨイガエレメントをプラスされた瞬間、追加『風』効果により空中で停止してヘリプロペラの如 く横回転を始める槍。
同時付与された『地』『火』『雷』マヨイガエレメント効果で槍表層に生成付着されていく帯電火炎岩はその高速回転のあまり引き剥がされて落下。
小粒ながらも強力なメテオとなってフレンドリーファイア不適用なアオネコ氷分体にガンガンと降り注ぎ破壊していく。
「発想の勝利とはこの事だよ!!」
「ナイス、タケル!! 見やがったかこのメスネコ野郎!!」
新技で敵の数の暴力を止めた後輩もののふを褒めつつ、地面の氷下でこの状況を見ているであろうアオネコを挑発する須田丸。
『流石はクモガクレのボーイだにゃ……まさか、そんなことが出来るなんて。
イケメンハーレム云々ではなくマジで敵として出会いたくなかったとはこの事かもしれんにゃぁ』
3人の予想に反して嘘偽りの無い素直な感想を述べるアオネコ。
『でもこんなスモールストーンでは分体達はとにかくアイスバーグ下のアタシに届かんにゃよ? アタシと違ってキミの魔力も無限じゃないにゃろうし……どうする気かにゃ』
「ゴブガミ先生、エレメントプラスは使えますか?」
アオネコの挑発返しを無視して横のゴブガミに聞くタケル。
「ああ、問題ない」
「簑田おじさんもエレメントプラス分の魔力はありますか?」
続いて横の須田丸に確認するタケル。
「ああ、問題ないぜタケル」
「若輩者の僕から2人にお願いするのも厚かましいのですが…… 2人がエレメントプラスをアレにかけると同時に僕はあるサポートスキルを使います。どうかご協力お願いできませんか?」
状況が状況とは言えサポートを頼む相手は偉大なる武神様と雷神紋持ちのもののふ……いくら何でも厚かましい提案だったのではと自省するあまリタケルは大先輩の表情を伺ってしまう。
「HAHAHA、実に謙虚な子じゃないか!! もちろんボクはOKだよ!!」
「流石はアニキと美香さんのお子さんだ、そのよく出来た爪の垢を煎じて英里子姉ちゃんに飲ませてやりてぇよ!!」
可愛い後輩もののふの申し出に大喜びのおっさん2人。
『アタシを無視するニャ!! この分厚い氷壁を相手に今更何をやる気かニャ!!』
「そうと決まればやるぞ、タケル君」
「おう、ゴブガミ!! 頼むぜ」
「……はいっ! !」
足下から響く魔力音声に戸惑うことなく立ち上がった3人は頭上でぐるぐる回っている槍に右腕を上げる。
「ライちゃん、主様のあの構えは……」
「間違いありませんわ姉さま、あれは五武神版エレメントプラス『帯風(たいふう)』の構えですわ!!」
眼下の第二闘戯場で立ち上がり、上空に腕を上げるゴブガミを見てすぐにその意図に気が付いた眷族式神姉妹。
「まさか主様はタケル君仕様のチンケな槍に御自身の帯風をかける気ですの?」
「ライちゃん、作った人達そこにいるから!! すぐにゴメンナサイしなさい!!」
いつもは姉妹漫才ボケ担当でありながら、妹の大問題発言に珍しくツッコミにポジションチェンジしてしまう式神フウ。
「いえいえ、フウ様お気になさらず……あれはお若きタケル殿の魔力とエレメントプラス能力に合わせた物。
チンケと言う表現はとにかく業物や逸品ではございませぬ事は私が一番存じ上げております。
おそらくカゼノミヤノミコト様級の魔力を流し込まれては……武器の破損どころかバラバラになって消滅は不可避でしょうな。」
「ゴメンナサイ……」
「妹が失礼しましたぁっ! !」
穏やかな口調のタタラを前にライの頭を下げさせつつ、自身も連帯責任で謝るライ。
「お前ら漫才やっとる場合ちゃうで!! そんなら早うあのアホ止めんと!!」
眷族式神達のコントに割入った英里子は眼下のゴブガミ達にボディサインでストップ指示を出そうとする。
『ラージドウエポン!!』
付与済みマヨイガ属性効果はそのままに数倍どころではない氷洞直径ギリギリの長さまで相似拡大する槍。
『帯風(たいふう)!!』
相似拡大により重量が増えてタケルのエレメントプラス・ウインドでは支えきれなくなったそれは当然の如く物理法則に基づいて3人の頭上に落ちて来るが、ゴブガミが付与した風エレメント魔力で空中停止。
『エレメントプラス・ヴォルト!!』
『エレメントプラス・ファイア!!』
3人分のマヨイガエレメントパワーを与えられたそれは轟音と共に横大回転を再開し、容赦なく巨岩サイズの帯電火炎岩を無限生成してガンガンと落としだす。
『ぐぁぁぁぁぁ!! きゃああああ!!』
氷洞窟底を満たすプールと一体化したアオネコ本体を守る氷壁を力任せにぶち破り、帯電焼石をその液体ボディ内に際限なく投げ込んでくると言う防ぎようのない一方的暴の極み戦法。
須田丸のビーム砲で蒸発消滅した後、ほぼ無敵の液体ボディで蘇生したアオネコは体内からの直接電撃痛と二度目の蒸発消滅の恐怖のあまり絹を裂くような悲鳴を上げ続ける。
【第15話に続く】
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