ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第三章:『闇乃宮弐ノ闘戯場/水獣アオネコ』

【第15話】

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「フレンドリーファイアって大事なんやね、リーダー」
『大槍滞空旋回乱爆撃』とでも称すべきタケルの新技で黒焦げた大岩で埋め崩され、氷洞の痕跡も残っていない第二闘戯場を見下ろす英里子。
「ああ、僕もそう思う」
「私も同感だ、しかし……」
「なんや、デカボ院?」
 あんな無差別デイザスター級攻撃の渦中にあって無傷で済んだタケルと須田丸、ゴブガミの無事を確認しつつも歯切れの悪い茜に問う英里子。
「倒すべき敵とはいえ……あんな倒され方をしたとあっては少し可愛そうになってきたな」
「このバカボ院!! それは立てちゃああかんフラグってもんや!! ダースベイダー、早う判定頼むで!!」
『うむ……魔力・生体反応共にアオネコ消滅確認完了、闇乃宮第二闘戯……勝者、タメシヤノミコトチーム!!』
 ヤミネコが指を鳴らすと第二闘戯場の壁に観客席まで登れる梯子が出現する。
「ナイスやベイダー!! 須田丸君に皆、早う上がってく……」
 次の瞬間、第二闘戯場の空間そのものを揺さぶるような震度5強クラスの地震。
 闇乃宮討伐隊は地面に押し付けられるようにうつぶせに倒れてしまう。
「だからウチ言うたんや、このクソバカボ院!!」
「ヤミネコ、お前のしわざか!?」
『違う、これは私の力ではない!! 我が主が時空の狭間に造られし空間が耐久値想定以上の魔カダメージで崩壊消滅しかけている!! 早く第三闘戯場へ避難するのだ!!』
 闇乃宮討伐隊この激震の中どうにか立ち膝で耐えているヤミネコはすぐに闇渦を生成し『第三闘戯場』の黒鳥居を召喚する。
「サンキューやけど……どないしてそこ行けっちゅうねん!?」
『帯磁:正(たいじ:せい)』
『帯磁:負(たいじ:ふ)』
 詠唱と共に反重力化したかのようにふわりと浮き上がる13人。
「これなら水を泳ぐようなイメージで進める!! 急げ!!」
 同じ雷マヨイガエレメント使いとして須田丸の特殊エレメントプラス技『マグネットプラス・ポジ&ネガ』と同じ技をこっそり使えるようになっていた少年五武神・ナルカミノミヤノミコト。
 地面に『正』、仲間&ヤミネコに『負』の磁力を付与したナルカミノミヤは皆に叫ぶ。
「いやここはムカデ人間作戦や!! 全員だれでもええから近いもんの足掴んで繋がるんじゃ!! リーダーはブクウジュツで飛んでそれを引っ張るんや!!」
 英里子の追加指示を受けた反重力浮遊状態のヤミネコ含む12人はすぐに近くの仲間の足を掴んで総連結。
 たまたま先頭になったシルバーデストロイメンの腕を掴んだ探は十八番のフアイアージェットで黒鳥居まで誘導し、鳥居をしっかりと掴ませる。
「よしっ、あとは任せたぞナルカミノミヤ!! 僕はタケル達を!!」
 ところてん式に第二闘戯場から避難していく仲間をナルカミノミヤノミコトに任せた探は第二闘戯場の3人の元へ向かう。

「父さん!!」
「タケル、よくやったぞ!! ゴブガミ先生に須田丸君も早く」
 フアイアージェットで浮遊したまま槍を回収したタケルを背負い、火塊を消した両手を2人に差し出す探。
「雲隠のアニキ、気持ちは嬉しいんだけどさ……タケルを背負ったままデカい俺とゴブガミを持ち上げて飛ぶのは無茶だぜ!!」
「ははっ、悪いね探君。ボクみたいな神様でも限界ってもんがあってねえ……マジで一歩も動けないんだよ」
 いつものようにニヤニヤしながらも全身から大汗をかき、呼吸を荒くするゴブガミが嘘をついていないのは明らか……雲隠父子は言葉を失う。
「これを師匠の要領で使えば…… とにかくやってみてください!!」
 ウェストポーチからマヨイガ探索アイテム『シノビマント』2枚を取り出すタケル。
「ありがとな、タケル。簑田おじさんの最期は立派だったって呉井姉さんに伝えてくれ……」
 気持ちは嬉しいが無理だ……と敢えてストレートに言わず、歯を見せて笑いマッスルポーズ&サムズアップする須田丸。
「あとお前の爪の垢を煎じて飲ませるのも忘れるなよ!! おじさんとの約束だからな!!」
『バインドパペット』
「えっ、ええっ? うわぁぁぁぁ!?」
「んっ、んんっ? えっ?」
 全身がビリっとした次の瞬間、自分の意志に関係なく体が動き出した探と金縛りにあったかのように父の背中にがっちりとしがみついてしまうタケル。
 そのままバランスをくずしかけたきりもみファイアージェット飛行し始めた探は黒鳥居ヘー直線に向かい、だしそのままくぐり抜けて第三闘技戯場に消えてしまう。
「ゴブガミ、てめぇ!! なっ……おい、やめろ馬鹿!!」
 相手の動きを魔力で束縛しつつ、操り人形のようの操作するサポートスキル『バインドパペット』をゴブガミにかけられたと気づいた時にはすでに遅し。
 須田丸も自分の意志に関係なくタケルが落としたシノビマントを拾って頭上で両端をパラシュート持ちしてしまう。
「悪いね、須田丸君……これがボクなりの嘘のつきおさめって事だよ!! 当事者のボクが言うのも変だけどマヨイガ五武神の加護があらん事を!!」
『ラージドウエポン!!』『帯風!!』
「てめええ、許さねえからなあ!!……この大馬鹿やろおおおお!!」
 大型パラシュートに変化して風をはらんだシノビマントは須田丸の巨躯を難なく浮遊させ、そのまま同時発生した風圧は黒鳥居まで一気に押し流してしまう。

「ふふっ、オオバカヤロウか……ボクにとっては最高の誉め言葉だよ」
 壁にボコボコと穴が開き始め、その向こうにある黒い何もない空間に取り込まれて消え始めた第二闘戯場。
「ありが…… とう、須田……丸……君にみ……ん……な……ばいばいきぃん」
 膨大な魔力を最後の一滴まで絞り切って勝利するのみならず仲間も助けたゴブガミは達成感と安堵感と共に意識を失って闇の中に倒れるのであった。

【第16話に続く】
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