ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第四章:『闇乃宮参ノ闘戯場/地獣キネコ』

【第25話】

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「リーダー、須田丸君とデカボ院を頼むで」
「ライちゃんもパンツちゃんと履くんだぞ」
「部長!?」
「姉さま!?」
『ゴーレムアムド!!』
 四肢にエレメントプラス・アースをかけ、ゴーレム召喚装着した英里子は迷うことなく砂渦内でもみ合う大丈夫
 2人にスカイアタック。
 キトラの腰に足を回してしがみつき、顔面に滅茶苦茶なゴーレムパンチを喰らわせる。
「落ちろぉぉぉぉ!!」 
 同じくスカイアタックを仕掛けた式神フウはチノミヤノミコト様が押さえていない虎腕に飛びつき、ナマケモノのように逆さになりながらがっちりとつかまりぶら下がる。
『ウゴォォォ!?』
 動きの自由を奪ってくる背中の大男に、腕の重しとなる大鬼女、腹と腰を締め上げつつポコスカバンチを顔面に食らわせ続けるチビ。今すぐやるべきことはこいつらを振り払って落とし引きこまれたら一巻の終わりな砂渦に叩きこんで自分だけが安全地帯に逃れる事だ。
 ……そう分かりつつも岩パンチの滅茶苦茶パンチで頭上を旋回するピヨピヨ鳥が見え始めたキネコはその巨躯を倒れぬように必死で踏ん張る事しかできない。

「総大将殿、貴方様の御命に背き誠に申し訳ございません……ですが、これ以外にこやつを倒す策は無かったのです!!」
 眼前に迫る魔力で作られたアリジゴクを前に、最後の弁解をするチノミヤノミコト様。
「チノミヤさん!! 美香と共に必ず貴方も助けます……だからしばらくご辛抱ください!!」
 自分以外の誰も対抗できえぬ敵にヘッドロックをかけたまま自由を奪い、道連れにして砂渦に沈んでいくチノミヤノミコトの覚悟に総大将として応える探。
「お優しきお言葉ありがとうございます!! ミズノミヤ、ナルカミノミヤ!! 五武神として後の事は……任せたぞ!! 必ずやミズノモノ殿を雲隠殿の下へ…… !!」
「かしこまりました!!」
 最期の思いを託され、同時に答えるナルカミノミヤノミコトとミズノミヤノミコト。

「須田丸君に御鐵院!! ウチ、君らを信じとるから……先に美香ちゃんに会ってくるで!!」
 キネコの腰に足を回したまま沈みつつも恐怖を感じさせない気丈な言葉で仲間を気遣う英里子。
「……ああ、わかった!! 美香によろしく伝えてくれ」
「俺、ヤミノミヤの顔面に一発入れてやるから……絶対に見ててくれよ!!」
「ええで!! あたしが許す、本気で一撃いったれや!!」
 一番弟子、須田丸の頼もしく立派な言葉にサムズアップする。

「ライちゃん!! いままでワガママばっかりでごめん……そしてありがとな!!」
「フウ姉さま、そんな事を言わないでくださいませ!! 私、必ず……姉さまをお助けしますから」
 一時の別れであり、全滅を避けるためにはこうするしかなかったとは言え、砂に沈んでいく姉を見送りつつ涙ボロボロになる式神ライ。
「ありがとな……ライちゃん、アイルビーバアアアツク!!」
「アイルビーバック!!」
 チート蘇生ありなマヨイガ異世界では一時の別れとは言え、『必ず戻る』と言う力強いメッセージを込めた有名な映画ネタと共に砂渦で見えなくなっていく英里子達を闇乃宮討伐隊メンバーは最後まで見送る。

『うむ……魔力・生体反応共にキネコ消滅確認完了、そして五武神、地神紋のもののふ殿、式神殿も消滅確認!! 闇乃宮第三闘戯……両者相打ちにつき、引き分けとする!!』
 先ほどの大渦が嘘のように静まり返った第二闘戯場に響くヤミネコの声。
 英里子の生命力とアグレッシブさを考えれば彼女だけでも砂の中から這い出して来そうなものだが……その場の全員が一瞬、そのような奇跡を期待してしまう。
「皆様、念のため申し上げておきますが……私は案内人兼闘戯場審判としての職務を果たすべく主様より去りし者達の魂確保の連絡を受けるようにしております。
 つまり我が同士キネコと地の五武神長殿、チノモノ様と式神殿は我らが主の下へ到着済み、と言う事なのです」
「……」
 3人にあれだけの覚悟を見せつけられながら淡い期待をしてしまった事を恥じる討伐隊メンバー。
「とにかく進むぞ、みんな」
 雲隠総大将の言葉に黙ってうなずく11人。
 敵の能力であろう今の技を含めとにかく1人でも多く生き残ればならない……既に7人の仲間を失った闇乃宮討伐隊は覚悟と共に黒鳥居へ歩を進める。

【第26話につづく】
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