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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』
【第29話】
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(くそっ、こいつ……いつまで続ける気だにや!?)
加速状態を維持したまま壁を垂直疾走するエミの動向注視し続けるシネコ。
一撃で終わらせる気MAXのその走りっぷりに怯えつつも、いざ突っ込んで来たら火炎放射を瞬間的に解除してかわそうと身構えていたシネコ。
『トジロ!!』
『はいっ!?』
火炎放射の壁となっていたシルバーデストロイメンの声に思わずビビるシネコ。
『デストロイフラッシュ!!』
『ギニャァァァァ!!』
瞬時に大盾背後から顔を出し、ガイコツロを開けたシルバーデストロイメンは強烈な閃光を射出し、シネコの目を一時的に封じる。
『ヒキニゲアタック!!』
『にゃぁぁぁぁ!!』
そこに左から叩きこまれるエミの扇タックルによる追撃。
遠心力による最大加速状態を維持したまま絶妙な位置取りで滑り込んで来たそれのえぐり上げるような直撃に耐え切れず、シネコは吹っ飛ばされてステージ壁に激突する。
「うっわ……あれは痛い、敵ながら同情しちゃうわぁ……」
観客席でこの様子を見ていて我が妹の所業だとわかりつつも思わず引いてしまうタケル。
「……インパクトの瞬間に戦扇を全開にするのはあの子のアイデイアなのか?」
物理学で言う所の運動エネルギーを得るために速度を最大化させるための滑走路のような加速距離が必要でしかもその間敵の動きを封じ続けなくてはならないと言う場所を選ぶマヨイガ体技を難しい垂直壁ニンジャダッシュで成功させたエミの度胸と身体能力に茜は驚くばかりだ。
「エミ殿ナイスですぞ!!」
「ゼド、マダダ!! ヤツハアノブキフテバナシテイネェゾ!!」
エミの大戦扇タックル直撃を横っ腹に受けてもなお愛用のエレキギターを手放さずにこらえ切ったシネコ。
「ぐっ……にやっ…… !!」
衝撃で緩んだペグを瞬時にしめ直したシネコはギターの弦に手を乗せる。
『デストロイガトリング!!』
『水弾乱撃!!』
大技で失った分の魔力回復薬を飲むエミに代わって敵の反撃を阻止するべく、内蔵火器&エレメント技で攻撃する2人。
『音楽は死なねぇぞぉ!! タイフーン!!』
そんなデストロイメンの銃弾とゼド村長の水弾をシネコはエレキを鳴らして生成した風エレメント防壁で相殺する。
「ならば……クリエイト・アイス!!」
『デストロイヴォルトミサイル!!』
「うぎゃぁ!!」
水弾や機関銃はとにかく、ミサイルと氷柱は防ぎきれない。
そう判断したシネコはすぐに詠唱&演奏を中断し、右にドッジローリングしてステージ壁に突き立つ氷柱とミサイルがばら撒く帯電金属片&爆熱風から逃れる。
『アースクラッシャー!!』
詠唱&重低音と共に岩に覆われるギター。
それを振り上げて地面に叩きつけた衝撃波がゼド村長&シルバーデストロイメンに一直線に向かう。
『デストロイトランスフォーム!!』
ゼド村長を持ち上げるようにテーブル型に変形したシルバーデストロイメン。
その4本足の間を岩礫衝撃波はすり抜けて消滅する。
『くそっ!!』
戦闘能力特化型マヨイガエレメント・雷使いにして機関銃にミサイル、閃光弾と言った幾多の兵器を内蔵する戦闘力はもちろん変幻自在な液体金属ボディと言う厄介な特性を持つシルバーデストロイメンの面倒くささ。
見た目がロックだからと言う単純な理由で指名してしまった事を今更のように後悔するシネコ。
(でもここを任せてくれたのみならず、こんな最高の武器を与えてくれたママのためにも……ボクは負けるわけには行かないのだニャ!! かくなる上はあの大技を!!)
一瞬で風の防壁を再形成し、ものすごい速度と最大音量で破壊せんばかりにギターを鳴らし出すシネコ。
「ナッ、ナンナンダ!? アノガチヒキップリハ? アレハコレマデノコワザトハアキラカニチゲェゾ!!」
目の前で決死の表情でギターを鳴らし出すシネコに何かを感じ取ったシルバーデストロイメン。
「シルバー殿、いますぐミサイル一発ぶち込んでやりなされ!!」
「ムチャイウナ、ゼド!! オレ、ヘンケイチュウナンダゼ!?」
とっさの事とは言え、天丼近くまで手足を伸ばしてしまったシルバーデストロイメンはゼドを落とさないように慎重に降下しつつ言い返す。
(よしっ、敵がバカで勝てるにゃ!! これさえ発動させられれば……こいつら何てイチコロだニャ!!)
速弾きがヒートアップしていくにつれてジワジワと辺りに充満していく黒い瘴気。
それを止めようとするゼド村長がでたらめに撃ってくる氷柱が近くに刺さるのも気にせずシネコは熱情的な演奏を続ける。
【第30話につづく】
加速状態を維持したまま壁を垂直疾走するエミの動向注視し続けるシネコ。
一撃で終わらせる気MAXのその走りっぷりに怯えつつも、いざ突っ込んで来たら火炎放射を瞬間的に解除してかわそうと身構えていたシネコ。
『トジロ!!』
『はいっ!?』
火炎放射の壁となっていたシルバーデストロイメンの声に思わずビビるシネコ。
『デストロイフラッシュ!!』
『ギニャァァァァ!!』
瞬時に大盾背後から顔を出し、ガイコツロを開けたシルバーデストロイメンは強烈な閃光を射出し、シネコの目を一時的に封じる。
『ヒキニゲアタック!!』
『にゃぁぁぁぁ!!』
そこに左から叩きこまれるエミの扇タックルによる追撃。
遠心力による最大加速状態を維持したまま絶妙な位置取りで滑り込んで来たそれのえぐり上げるような直撃に耐え切れず、シネコは吹っ飛ばされてステージ壁に激突する。
「うっわ……あれは痛い、敵ながら同情しちゃうわぁ……」
観客席でこの様子を見ていて我が妹の所業だとわかりつつも思わず引いてしまうタケル。
「……インパクトの瞬間に戦扇を全開にするのはあの子のアイデイアなのか?」
物理学で言う所の運動エネルギーを得るために速度を最大化させるための滑走路のような加速距離が必要でしかもその間敵の動きを封じ続けなくてはならないと言う場所を選ぶマヨイガ体技を難しい垂直壁ニンジャダッシュで成功させたエミの度胸と身体能力に茜は驚くばかりだ。
「エミ殿ナイスですぞ!!」
「ゼド、マダダ!! ヤツハアノブキフテバナシテイネェゾ!!」
エミの大戦扇タックル直撃を横っ腹に受けてもなお愛用のエレキギターを手放さずにこらえ切ったシネコ。
「ぐっ……にやっ…… !!」
衝撃で緩んだペグを瞬時にしめ直したシネコはギターの弦に手を乗せる。
『デストロイガトリング!!』
『水弾乱撃!!』
大技で失った分の魔力回復薬を飲むエミに代わって敵の反撃を阻止するべく、内蔵火器&エレメント技で攻撃する2人。
『音楽は死なねぇぞぉ!! タイフーン!!』
そんなデストロイメンの銃弾とゼド村長の水弾をシネコはエレキを鳴らして生成した風エレメント防壁で相殺する。
「ならば……クリエイト・アイス!!」
『デストロイヴォルトミサイル!!』
「うぎゃぁ!!」
水弾や機関銃はとにかく、ミサイルと氷柱は防ぎきれない。
そう判断したシネコはすぐに詠唱&演奏を中断し、右にドッジローリングしてステージ壁に突き立つ氷柱とミサイルがばら撒く帯電金属片&爆熱風から逃れる。
『アースクラッシャー!!』
詠唱&重低音と共に岩に覆われるギター。
それを振り上げて地面に叩きつけた衝撃波がゼド村長&シルバーデストロイメンに一直線に向かう。
『デストロイトランスフォーム!!』
ゼド村長を持ち上げるようにテーブル型に変形したシルバーデストロイメン。
その4本足の間を岩礫衝撃波はすり抜けて消滅する。
『くそっ!!』
戦闘能力特化型マヨイガエレメント・雷使いにして機関銃にミサイル、閃光弾と言った幾多の兵器を内蔵する戦闘力はもちろん変幻自在な液体金属ボディと言う厄介な特性を持つシルバーデストロイメンの面倒くささ。
見た目がロックだからと言う単純な理由で指名してしまった事を今更のように後悔するシネコ。
(でもここを任せてくれたのみならず、こんな最高の武器を与えてくれたママのためにも……ボクは負けるわけには行かないのだニャ!! かくなる上はあの大技を!!)
一瞬で風の防壁を再形成し、ものすごい速度と最大音量で破壊せんばかりにギターを鳴らし出すシネコ。
「ナッ、ナンナンダ!? アノガチヒキップリハ? アレハコレマデノコワザトハアキラカニチゲェゾ!!」
目の前で決死の表情でギターを鳴らし出すシネコに何かを感じ取ったシルバーデストロイメン。
「シルバー殿、いますぐミサイル一発ぶち込んでやりなされ!!」
「ムチャイウナ、ゼド!! オレ、ヘンケイチュウナンダゼ!?」
とっさの事とは言え、天丼近くまで手足を伸ばしてしまったシルバーデストロイメンはゼドを落とさないように慎重に降下しつつ言い返す。
(よしっ、敵がバカで勝てるにゃ!! これさえ発動させられれば……こいつら何てイチコロだニャ!!)
速弾きがヒートアップしていくにつれてジワジワと辺りに充満していく黒い瘴気。
それを止めようとするゼド村長がでたらめに撃ってくる氷柱が近くに刺さるのも気にせずシネコは熱情的な演奏を続ける。
【第30話につづく】
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