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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』
【第30話】
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「オイゼド!! シッカリネラエヨ!!」
シネコのギター速弾きに合わせてその頭上に固まって形成されていく黒瘴気。
長足テーブルに変化して自らの背中に乗せたマーマンウォーリアーのゼド村長の氷槍投郷が全く当たらず敵の一方的なターンが続いている状況……それに苛立ったシルバーデストロイメンは人工知能搭載の半機械魔物らしからぬ苛立った口調で叫ぶ。
「そっちこそ揺らさずに均等に足を縮めろ!! 高所で揺れて狙い辛いんだよ!!」
「ンダト!? タスケラレタクセニナニイイヤガル!! ハチノスニスンゾゴルァ!!」
「おい、揺らすな傾くな!! マジで落ちる!!」
わざとか何かでいきなリガタンと傾いたデストロイ・テーブル上のゼド村長は魚下半身で踏ん張りつつその縁にしがみつく。
「あっ、あれはよろしくありませんぞ!! どうにかしなくては!!」
「しかしあのバトルステージは魔力防壁で塞がれていて私達は……入る事はできないんだぞ。どうしろと言うのだタタラ!?」
ライブステージのような第四闘戯場、観客席からこのイヌも食わない浅ましき仲間割れを見せられていた闇乃宮討伐隊メンバーは焦燥感と共におろおろする。
『チャットダョッ!!』
軽やかなスマホ着信音に気づいた神紋もののふ達は各々のスマホを取り出し、チャットアプリをタップする。
『お主ら、落ち着け』
『お前ら騒ぎすぎだ』
グループチャット画面上に貼り付けられたミズノミヤノミコト様とナルカミノミヤノミコト様のチャットに続くお茶を差し出すレッサーパンダの可愛らしいスタンプにほっこりする一同。
『タケルなら分かるはずだ』
『だが口には出すなよ?』
妙に息の合ったチャットで意味深な事を呟く2人の五武神。
話を急に振られたタケルは大人達が注ぐ目線に首をブンブン横に振る。
再び第四闘戯場内、バトルステージ。
(よしっ、あと少しだ!! あとワンフレーズ弾き終えれば……アレが発動するぞ!!)
頭上に集まり、膨大な魔力塊となっていく黒庫気。
そして未だに行動不能なテーブルガイコツマンと全く当たる気配のないマーマンウォーリアーの投げて来る氷柱。
(3人共これでおしゃかだぜぇ!!)
発動に時間が掛かりすぎるが故に多分無理だと思っていた浪漫技を使えるのみならず、それで敵にトドメを刺せると言う喜びのままにシネコはギターを弾き立てる。
『エレメントプラス・ウインド』
『にゃあん!?』
そんな中で突如、風圧を纏い弾き手たるシネコの手をはじいて牙を剥いた愛機。
「オラァァァア!!」
『ぐえっ!! ぐぁぁぁぁ!!』
奇声と共に背後から背中に飛びついて腰に足を回して締め上げ、締め上げヘッドロックをかけてくる者。
それがマントフードを被ったエミだと気づいた時には既に遅し……がっちりと固められたシネコは大事なギターを守りつつどうにか倒れないように姿勢保持に勤める。
「ナイスダゼ、エミチャン!!」
「かかったな馬鹿め!!」
今までのぎこちない動きが嘘のように一瞬で腕を縮めて基本人型形態に戻り、背のゼド村長を下ろしたシルバーデストロイメン。
エミのフード付きマントがあのトップレス人魚娘も使っていたシノビマントと同じ素材であり、あのオーバーな変形にでたらめ氷柱投郷や仲間割れコントも全てはステルス装備で姿を隠したエミに背後を取らせて押さえるための陽動だと気づいたシネコ。
『まっ、まつニャ!? お前ら俺ちゃんを攻撃する気か!? この娘チャンを巻き添えにしようものならブチ切れたお前らの総大将殿に袈裟斬りにされるニャよ!!』
エミのヘッドロックにもがきつつも観客席で見守る総大将・探の様子をチラ見するシネコは眼前の2人を脅す。
『殺すなら殺せよ……でもなぁ、お前らどう頑張ってもマ○ンコウ○ ッポウ不可避だからな!! この嬢ちゃんも腹穴貫通するぜ!! クモガクレさんがブチ切れるけどいいのか? いいのかぁ?』
ロックな本能のままに生きるシネコは武器を封じられると言う窮地に陥ってもなおじりじりと迫りくる2人を前に中指を立てて挑発する。
「シルバーデストロイメン!! ゼド!!」
『ひえっ!!』
観客席で突如立ち上がり、第四闘戯場全体に響くような大声で叫ぶ探。
「総大将命令だ、手加減するな!! 一撃でぶっ壊せ!!」
『えっ、えええっ!?』
やめろと言うどころか自身を取り押さえている目に入れても痛くないであろう可愛い娘を巻き添えにしても構わないと言う意思表示……世の中の常識に囚われないロックなソウルを持つシネコでもお前の血は何色かと疑ってしまう鬼畜発現にドン引きする。
『デストロイ……』
一方でシルバーデストロイメンは総大将の命を受けて右手で正面に構えた左腕を支えつつ攻撃詠唱体勢に入る。
【第31話につづく】
シネコのギター速弾きに合わせてその頭上に固まって形成されていく黒瘴気。
長足テーブルに変化して自らの背中に乗せたマーマンウォーリアーのゼド村長の氷槍投郷が全く当たらず敵の一方的なターンが続いている状況……それに苛立ったシルバーデストロイメンは人工知能搭載の半機械魔物らしからぬ苛立った口調で叫ぶ。
「そっちこそ揺らさずに均等に足を縮めろ!! 高所で揺れて狙い辛いんだよ!!」
「ンダト!? タスケラレタクセニナニイイヤガル!! ハチノスニスンゾゴルァ!!」
「おい、揺らすな傾くな!! マジで落ちる!!」
わざとか何かでいきなリガタンと傾いたデストロイ・テーブル上のゼド村長は魚下半身で踏ん張りつつその縁にしがみつく。
「あっ、あれはよろしくありませんぞ!! どうにかしなくては!!」
「しかしあのバトルステージは魔力防壁で塞がれていて私達は……入る事はできないんだぞ。どうしろと言うのだタタラ!?」
ライブステージのような第四闘戯場、観客席からこのイヌも食わない浅ましき仲間割れを見せられていた闇乃宮討伐隊メンバーは焦燥感と共におろおろする。
『チャットダョッ!!』
軽やかなスマホ着信音に気づいた神紋もののふ達は各々のスマホを取り出し、チャットアプリをタップする。
『お主ら、落ち着け』
『お前ら騒ぎすぎだ』
グループチャット画面上に貼り付けられたミズノミヤノミコト様とナルカミノミヤノミコト様のチャットに続くお茶を差し出すレッサーパンダの可愛らしいスタンプにほっこりする一同。
『タケルなら分かるはずだ』
『だが口には出すなよ?』
妙に息の合ったチャットで意味深な事を呟く2人の五武神。
話を急に振られたタケルは大人達が注ぐ目線に首をブンブン横に振る。
再び第四闘戯場内、バトルステージ。
(よしっ、あと少しだ!! あとワンフレーズ弾き終えれば……アレが発動するぞ!!)
頭上に集まり、膨大な魔力塊となっていく黒庫気。
そして未だに行動不能なテーブルガイコツマンと全く当たる気配のないマーマンウォーリアーの投げて来る氷柱。
(3人共これでおしゃかだぜぇ!!)
発動に時間が掛かりすぎるが故に多分無理だと思っていた浪漫技を使えるのみならず、それで敵にトドメを刺せると言う喜びのままにシネコはギターを弾き立てる。
『エレメントプラス・ウインド』
『にゃあん!?』
そんな中で突如、風圧を纏い弾き手たるシネコの手をはじいて牙を剥いた愛機。
「オラァァァア!!」
『ぐえっ!! ぐぁぁぁぁ!!』
奇声と共に背後から背中に飛びついて腰に足を回して締め上げ、締め上げヘッドロックをかけてくる者。
それがマントフードを被ったエミだと気づいた時には既に遅し……がっちりと固められたシネコは大事なギターを守りつつどうにか倒れないように姿勢保持に勤める。
「ナイスダゼ、エミチャン!!」
「かかったな馬鹿め!!」
今までのぎこちない動きが嘘のように一瞬で腕を縮めて基本人型形態に戻り、背のゼド村長を下ろしたシルバーデストロイメン。
エミのフード付きマントがあのトップレス人魚娘も使っていたシノビマントと同じ素材であり、あのオーバーな変形にでたらめ氷柱投郷や仲間割れコントも全てはステルス装備で姿を隠したエミに背後を取らせて押さえるための陽動だと気づいたシネコ。
『まっ、まつニャ!? お前ら俺ちゃんを攻撃する気か!? この娘チャンを巻き添えにしようものならブチ切れたお前らの総大将殿に袈裟斬りにされるニャよ!!』
エミのヘッドロックにもがきつつも観客席で見守る総大将・探の様子をチラ見するシネコは眼前の2人を脅す。
『殺すなら殺せよ……でもなぁ、お前らどう頑張ってもマ○ンコウ○ ッポウ不可避だからな!! この嬢ちゃんも腹穴貫通するぜ!! クモガクレさんがブチ切れるけどいいのか? いいのかぁ?』
ロックな本能のままに生きるシネコは武器を封じられると言う窮地に陥ってもなおじりじりと迫りくる2人を前に中指を立てて挑発する。
「シルバーデストロイメン!! ゼド!!」
『ひえっ!!』
観客席で突如立ち上がり、第四闘戯場全体に響くような大声で叫ぶ探。
「総大将命令だ、手加減するな!! 一撃でぶっ壊せ!!」
『えっ、えええっ!?』
やめろと言うどころか自身を取り押さえている目に入れても痛くないであろう可愛い娘を巻き添えにしても構わないと言う意思表示……世の中の常識に囚われないロックなソウルを持つシネコでもお前の血は何色かと疑ってしまう鬼畜発現にドン引きする。
『デストロイ……』
一方でシルバーデストロイメンは総大将の命を受けて右手で正面に構えた左腕を支えつつ攻撃詠唱体勢に入る。
【第31話につづく】
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