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第五章:『闇乃宮肆ノ闘戯場/雷獣シネコ』
【第31話】
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『デストロォイ……』
『うわああぁ、やめてくれぇぇぇぇ!!』
マシンガン、ミサイル、フラッシュグレネード……雲隠家の長がマカンコウサッポウで愛娘殺害を許す血も涙もない外道畜生なのはさておき、反撃及び防御手段となる特殊ギター兵器の全て封じられた今このガイコツロボの何を食らっても自分は確実に死ぬ。
恐怖のあまリシネコはエミリのヘッドロック&腹締め上げから逃れようともがくもののがっちりと決まったそれはどうあがいても外れない。
『ロケットパァンチ!!』
ジェット噴射で勢いよく射出されたシルバーデストロイメンの鉄塊下腕はシネコロ掛けて一直線。
スーパーロボット全般のスリム化&映像技術の進化による戦闘アクションシーンのド派手化の流れで消えて行ったもはや存在自体が伝説級のロボット搭載兵器・ロケットパンチ。
そんなゴリゴリの物理原理主義兵器とでも言うべきロケットパンチを食らってロックに散れるなら悔いは無い
……走馬灯の中でそんな自己優越的な悦びに満たされたシネコは無駄な抵抗を止める。
「エミィィィィ!!」
シルバーデストロイメンのデストロイ・ロケットパンチで壁に叩きつけられ、自眼を剥いてぐったりしたシネコ。
共に壁に叩きつけられたであろうエミの無事を案ずるあまり観客席から叫ぶ茜のムンク化パンシーシャウトに周囲の仲間は思わず耳を塞ぐ。
「カゼノモノ様!! 式神でも鼓膜は破れますのよ!!」
「御鐵院、おまえいい声してるな!!……兜でよく響くぜ」
その左右に座っていて、モロにそれを喰らった須田丸と式神ライは耳を塞いだまま大きく口を開けて吸って吐くを繰り返す。
「雲隠!! 状況が状況だとは言え……見損なったぞ!!」
マヨイガ異世界で蘇生ルールが適用される(であろう)とは言え、娘に手をかけるように仲間に命じる蛮行。
戦友にして人の親である者とは思えぬ悪魔の所業に激昂した茜は唇をかみじめながら袴に差した小刀に手をかける。
「茜おばさん、刃傷沙汰はマジでシャレにならないから!! ひとまずストップ、ストップ!! 落ち着きなよ!!」
「タケル!! 父とは言えお前まで!!」
「違うって!! 暗いけどステージをよく見てみろよ!!」
崩れたバトルステージ壁にめり込み埋もれた巨大な風を帯びた液球。
それが意味する事に気が付いた茜の手から小刀が滑り落ち、そのまま膝からへたり込む。
「良かった……あの子が無事で、良かった……本当に。雲隠、本当に済まない」
「いいよ、気にしないでくれ茜さん」
顔を押さえてすすり泣く茜お姉さんと下手すれば戦友に刺されていたかもしれないにも関わらず動じてもいない父。
ツミレ先生から父と美香ママ、世界的財閥ファミリーの一員にして外資系金融機関の社長である茜さんの三角関係やその他諸々の事情ついて聞いていたタケルは以心伝心と言う物の恐ろしさを垣間見てしまう。
「モヒカン猫さん、大丈夫?」
『……うっ、うん。ああ』
デストロイメンのロケットパンチで漬れ死ぬ覚悟を決めていたシネコはエレメントプラス。ウインドでエアバツクと化した巨大液球クッションで無傷だった体を確かめつつエミに答える。
「いやぁ危なかったわ……危ない橋を渡るのもほどほどにしないとね」
『お前がそれを言うのか、ロックンロールガールよ』
穏やかな口調とは裏腹に締め上げを維持しているエミにシネコはやれやれと息を吐く。
「ウゴクナ、チビ」
『ひえっ!!』
改めて命の尊さに浸る間も与えず、シネコの頭部に銃口を押しつけるシルバーデストロイメン。
「エミ殿、ご無事で何より、そしてナイスです!!」
「ゼドさん、まだ油断しないで!!」
いつの間にか背後からギターストラップを切り、使用者を守って鉄くずと化したそれを奪って抜け出していたエミと共に槍の穂先をこちらに向ける人魚男。
逆転の余地も無いレベルで完全に追い詰められたシネコはゆっくりとホールドアップする。
『……両者そこまで!! シネコ武器完全破壊による戦闘継続不能を確認!! よって闇乃宮第四闘戯、勝者タメシヤノミコ……』
『ヤミネコ、まだであるぞ』
「出やがったな!!」
ライブハウスの天丼に設けられたスピーカーから流れだすあの声を聞くや否やひざまずくヤミネコと武器を抜いて身構える闇乃宮討伐隊メンバー。
『……者共、あんずるな、わらわは七魂を用いる気は無い。舞場を見るがよい、まだかの者が創りし闇が残っておるぞ?』
「!!」
その言葉に全員がステージの方を向く。
【第32話につづく】
『うわああぁ、やめてくれぇぇぇぇ!!』
マシンガン、ミサイル、フラッシュグレネード……雲隠家の長がマカンコウサッポウで愛娘殺害を許す血も涙もない外道畜生なのはさておき、反撃及び防御手段となる特殊ギター兵器の全て封じられた今このガイコツロボの何を食らっても自分は確実に死ぬ。
恐怖のあまリシネコはエミリのヘッドロック&腹締め上げから逃れようともがくもののがっちりと決まったそれはどうあがいても外れない。
『ロケットパァンチ!!』
ジェット噴射で勢いよく射出されたシルバーデストロイメンの鉄塊下腕はシネコロ掛けて一直線。
スーパーロボット全般のスリム化&映像技術の進化による戦闘アクションシーンのド派手化の流れで消えて行ったもはや存在自体が伝説級のロボット搭載兵器・ロケットパンチ。
そんなゴリゴリの物理原理主義兵器とでも言うべきロケットパンチを食らってロックに散れるなら悔いは無い
……走馬灯の中でそんな自己優越的な悦びに満たされたシネコは無駄な抵抗を止める。
「エミィィィィ!!」
シルバーデストロイメンのデストロイ・ロケットパンチで壁に叩きつけられ、自眼を剥いてぐったりしたシネコ。
共に壁に叩きつけられたであろうエミの無事を案ずるあまり観客席から叫ぶ茜のムンク化パンシーシャウトに周囲の仲間は思わず耳を塞ぐ。
「カゼノモノ様!! 式神でも鼓膜は破れますのよ!!」
「御鐵院、おまえいい声してるな!!……兜でよく響くぜ」
その左右に座っていて、モロにそれを喰らった須田丸と式神ライは耳を塞いだまま大きく口を開けて吸って吐くを繰り返す。
「雲隠!! 状況が状況だとは言え……見損なったぞ!!」
マヨイガ異世界で蘇生ルールが適用される(であろう)とは言え、娘に手をかけるように仲間に命じる蛮行。
戦友にして人の親である者とは思えぬ悪魔の所業に激昂した茜は唇をかみじめながら袴に差した小刀に手をかける。
「茜おばさん、刃傷沙汰はマジでシャレにならないから!! ひとまずストップ、ストップ!! 落ち着きなよ!!」
「タケル!! 父とは言えお前まで!!」
「違うって!! 暗いけどステージをよく見てみろよ!!」
崩れたバトルステージ壁にめり込み埋もれた巨大な風を帯びた液球。
それが意味する事に気が付いた茜の手から小刀が滑り落ち、そのまま膝からへたり込む。
「良かった……あの子が無事で、良かった……本当に。雲隠、本当に済まない」
「いいよ、気にしないでくれ茜さん」
顔を押さえてすすり泣く茜お姉さんと下手すれば戦友に刺されていたかもしれないにも関わらず動じてもいない父。
ツミレ先生から父と美香ママ、世界的財閥ファミリーの一員にして外資系金融機関の社長である茜さんの三角関係やその他諸々の事情ついて聞いていたタケルは以心伝心と言う物の恐ろしさを垣間見てしまう。
「モヒカン猫さん、大丈夫?」
『……うっ、うん。ああ』
デストロイメンのロケットパンチで漬れ死ぬ覚悟を決めていたシネコはエレメントプラス。ウインドでエアバツクと化した巨大液球クッションで無傷だった体を確かめつつエミに答える。
「いやぁ危なかったわ……危ない橋を渡るのもほどほどにしないとね」
『お前がそれを言うのか、ロックンロールガールよ』
穏やかな口調とは裏腹に締め上げを維持しているエミにシネコはやれやれと息を吐く。
「ウゴクナ、チビ」
『ひえっ!!』
改めて命の尊さに浸る間も与えず、シネコの頭部に銃口を押しつけるシルバーデストロイメン。
「エミ殿、ご無事で何より、そしてナイスです!!」
「ゼドさん、まだ油断しないで!!」
いつの間にか背後からギターストラップを切り、使用者を守って鉄くずと化したそれを奪って抜け出していたエミと共に槍の穂先をこちらに向ける人魚男。
逆転の余地も無いレベルで完全に追い詰められたシネコはゆっくりとホールドアップする。
『……両者そこまで!! シネコ武器完全破壊による戦闘継続不能を確認!! よって闇乃宮第四闘戯、勝者タメシヤノミコ……』
『ヤミネコ、まだであるぞ』
「出やがったな!!」
ライブハウスの天丼に設けられたスピーカーから流れだすあの声を聞くや否やひざまずくヤミネコと武器を抜いて身構える闇乃宮討伐隊メンバー。
『……者共、あんずるな、わらわは七魂を用いる気は無い。舞場を見るがよい、まだかの者が創りし闇が残っておるぞ?』
「!!」
その言葉に全員がステージの方を向く。
【第32話につづく】
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