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第六章:『闇乃宮五ノ闘戯場/風獣カゼネコ』
【第37話】
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『ふおふおふお、驚かせてしまいましたかな?』
第五闘戯場の茶室から天を貫くような巨大な自然の石柱が乱立する森に転移させられた御鐵院 茜と式神ライ、そして五武神ナルカミノミヤ。
何がどうなっているかは全く分からないが、ここはあの箱庭内であり、第五闘戯場となるここから出るには目の前で雲の上に立ち、穏やかにほほ笑む白髪&白髭で着物姿の仙猫を倒すしかない。
そう判断した3人はすぐに各々の武器を構える。
『ふぉふぉふぉ……どうなすった? お主ら方、動かぬのか?』
雲に乗って浮遊したまま3人を挑発する仙猫。
これまでの敵と同じく『猫』の魔獣であると言う事はさておき、武人のカンでその穏やかさとは真逆のモノを隠し持っている事を察していた3人は厳戒状態を維持しつつ対峙する。
『ではワシから参ろうか……』
そう言いつつ杖を上に掲げるカゼネコ。
『風円刃(ふうじん)』
その頭上でヒュルヒュルと言う音と共に渦巻きはじめ、徐々に大小様々な円盤型に形成されていく大気。
『ふぉふぉふぉ、これでも動かぬと申すか……さらばじゃ』
カゼネコが生成した大小様々な風円刃は回転鋸刃のように縦回転しながら3人の頭上に降り注ぐ。
『風神紋発動、ウインドオーバードライブ!!』
戦巫女装備の茜の声に応じて緑色の閃光を放つ風神紋。
『神紋弓・拡散乱射!!』
茜は瞬時に魔力で生成した4本の風矢を全て同時に神紋弓につがえて射出。
4本の矢は空中で分裂して円刃に突き刺さり、爆散させる。
『ふおふおふお、流石は御鐵院のもののふ殿じや…… この程度捌けて当然かのう』
『雷針殺!!』
眼下の爆煙の中から詠唱と共に飛んでくる帯電魔力針。
『ふぉふぉふぉふぉ!!』
その軌道を見切り、全て杖の木コブで受け止めたカゼネコは杖先端に刺さったそれらをゴミでも払うかのようにそれらを一息で消滅させる。
(殺る)
茜が十八番の魔力干渉で敵のエレメント技を爆散させた煙幕と自身の投郷武器の陽動に合わせて瞬足移動し、マグネットプラスハイジャンプで音もなく背後を取ったナルカミノミヤ。
最初で最後のチャンスとなるであろう一撃で敵の首をへし折って終わらせるべく、そのまま鋭い蹴りを打ち込む。
『ぐあっ!!』
「よしっ!!」
「決まりましたわ!!」
漫画の類ならバキイと言う効果音が入ってしかるべきクリーンヒットに敵の短い断末魔。
式神ライと共に奇襲を見守っていた茜は勝利を確信する。
『心臓、目、指節、首……人非ぎるワシの急所を確実に狙うとは相変わらず鮮やかなコロシですなドウシ殿』
「えっ?」
「どういうことですの!?」
あの展開からのまさかの無傷で済むと言う事実に驚くばかりの茜と式神ライ。
「ぐあっ!!」
そして内側からじわっと赤く染まるナルカミノミヤの袴右足。
「危ない!!」
茜は頭を下にして落ちて来るナルカミノミヤに駆け寄って受け止める。
「ナルカミ、しっかりしろ!!」
「お怪我を拝見します!!」
式神ライは慌ててずたずたに引き裂かれて真っ赤に染まった狩衣袴を破り脱がせる。
「うわっ……」
「なんてひどい……」
(※作者注:ここからしばらく展開の都合上、生々しい大怪我グロ描写が続いたので作者判断により自主規制いたしました、ご了承ください。)
『ふおふおふおふおふぉ……次はどなたがお相手となりますかな?』
「貴様、答えろ……その名を何故知つている!!」
「ナルカミノミヤ様!! その御足では……」
武神でも安静必須な足の大怪我を自己再生中であるにもかかわらず憤怒のままに歯を食いしばって立ち上がろ
うとするナルカミノミヤを止める式神ライ。
『はて、何の事でございましょうか?』
「とぼけるな!! 同士や主様以外で私のそれを知る者は……この世界でルイ以外居ないはずだ!! うぐうっ!!」
「ナルカミノミヤ様、落ち着いてくださいませ!!」
激痛のあまり膝をついてしまったナルカミノミヤを支える式神ライ。
「ライちゃん、闇乃宮討伐隊、副大将として命じるわ。
その馬鹿がこれ以上感情的になって暴れるようなら殴ってでも止めなさい」
「誰がバカだと!!」
「……ナルカミ、あいつの相手は私がするわ。アンタはとっとと足を治すのよ」
『空(くう)』
詠唱と共に風神紋オーバードライブ状態の茜の全身を風が包み込み、その体を徐々に持ち上げ始める。
【第38話につづく】
第五闘戯場の茶室から天を貫くような巨大な自然の石柱が乱立する森に転移させられた御鐵院 茜と式神ライ、そして五武神ナルカミノミヤ。
何がどうなっているかは全く分からないが、ここはあの箱庭内であり、第五闘戯場となるここから出るには目の前で雲の上に立ち、穏やかにほほ笑む白髪&白髭で着物姿の仙猫を倒すしかない。
そう判断した3人はすぐに各々の武器を構える。
『ふぉふぉふぉ……どうなすった? お主ら方、動かぬのか?』
雲に乗って浮遊したまま3人を挑発する仙猫。
これまでの敵と同じく『猫』の魔獣であると言う事はさておき、武人のカンでその穏やかさとは真逆のモノを隠し持っている事を察していた3人は厳戒状態を維持しつつ対峙する。
『ではワシから参ろうか……』
そう言いつつ杖を上に掲げるカゼネコ。
『風円刃(ふうじん)』
その頭上でヒュルヒュルと言う音と共に渦巻きはじめ、徐々に大小様々な円盤型に形成されていく大気。
『ふぉふぉふぉ、これでも動かぬと申すか……さらばじゃ』
カゼネコが生成した大小様々な風円刃は回転鋸刃のように縦回転しながら3人の頭上に降り注ぐ。
『風神紋発動、ウインドオーバードライブ!!』
戦巫女装備の茜の声に応じて緑色の閃光を放つ風神紋。
『神紋弓・拡散乱射!!』
茜は瞬時に魔力で生成した4本の風矢を全て同時に神紋弓につがえて射出。
4本の矢は空中で分裂して円刃に突き刺さり、爆散させる。
『ふおふおふお、流石は御鐵院のもののふ殿じや…… この程度捌けて当然かのう』
『雷針殺!!』
眼下の爆煙の中から詠唱と共に飛んでくる帯電魔力針。
『ふぉふぉふぉふぉ!!』
その軌道を見切り、全て杖の木コブで受け止めたカゼネコは杖先端に刺さったそれらをゴミでも払うかのようにそれらを一息で消滅させる。
(殺る)
茜が十八番の魔力干渉で敵のエレメント技を爆散させた煙幕と自身の投郷武器の陽動に合わせて瞬足移動し、マグネットプラスハイジャンプで音もなく背後を取ったナルカミノミヤ。
最初で最後のチャンスとなるであろう一撃で敵の首をへし折って終わらせるべく、そのまま鋭い蹴りを打ち込む。
『ぐあっ!!』
「よしっ!!」
「決まりましたわ!!」
漫画の類ならバキイと言う効果音が入ってしかるべきクリーンヒットに敵の短い断末魔。
式神ライと共に奇襲を見守っていた茜は勝利を確信する。
『心臓、目、指節、首……人非ぎるワシの急所を確実に狙うとは相変わらず鮮やかなコロシですなドウシ殿』
「えっ?」
「どういうことですの!?」
あの展開からのまさかの無傷で済むと言う事実に驚くばかりの茜と式神ライ。
「ぐあっ!!」
そして内側からじわっと赤く染まるナルカミノミヤの袴右足。
「危ない!!」
茜は頭を下にして落ちて来るナルカミノミヤに駆け寄って受け止める。
「ナルカミ、しっかりしろ!!」
「お怪我を拝見します!!」
式神ライは慌ててずたずたに引き裂かれて真っ赤に染まった狩衣袴を破り脱がせる。
「うわっ……」
「なんてひどい……」
(※作者注:ここからしばらく展開の都合上、生々しい大怪我グロ描写が続いたので作者判断により自主規制いたしました、ご了承ください。)
『ふおふおふおふおふぉ……次はどなたがお相手となりますかな?』
「貴様、答えろ……その名を何故知つている!!」
「ナルカミノミヤ様!! その御足では……」
武神でも安静必須な足の大怪我を自己再生中であるにもかかわらず憤怒のままに歯を食いしばって立ち上がろ
うとするナルカミノミヤを止める式神ライ。
『はて、何の事でございましょうか?』
「とぼけるな!! 同士や主様以外で私のそれを知る者は……この世界でルイ以外居ないはずだ!! うぐうっ!!」
「ナルカミノミヤ様、落ち着いてくださいませ!!」
激痛のあまり膝をついてしまったナルカミノミヤを支える式神ライ。
「ライちゃん、闇乃宮討伐隊、副大将として命じるわ。
その馬鹿がこれ以上感情的になって暴れるようなら殴ってでも止めなさい」
「誰がバカだと!!」
「……ナルカミ、あいつの相手は私がするわ。アンタはとっとと足を治すのよ」
『空(くう)』
詠唱と共に風神紋オーバードライブ状態の茜の全身を風が包み込み、その体を徐々に持ち上げ始める。
【第38話につづく】
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