ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
67 / 79
第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第67話】

しおりを挟む
【第67話】

「これは……死んでるのか?」
「そもそもこのヒト(?)、死ぬものなの?」
 ヤミネコの間での激闘の末、総大将として勝利した探に駆け寄った闇乃宮討伐隊メンバーは地面に落ちてバラバラになり、ピクリとも動かない甲胃から距離をとって囲みつつ観察する。
「アイテムスキャナー的には安全判定は出ていますけど……流石にアイテム回収とかは出来ないみたいですね」
 アイテムスキャナーによる解析結果を皆と共有するタケル。
「そいつは重畳!! と言いたいところだが……ここはこいつが作り出した空間なんだよな? ここから主様や皆が囚われの身となっている姉さんのもとへ向かうにはどうすればいいんだ?」
 ナルカミノミヤの指摘に各々顔を見合わせてしまう総員。
 だが、その答えを持つ者がいるわけもなく、不安のあまり冷や汗がしたたり始める。
『ご安心くだされ、皆様!!……私が道をご用意いたしましょうぞ』
 黒砂となって崩れはじめた甲胃。
 その中からにゆっと出て来たのはぴんぴんな猫耳とぴんと立った猫尻尾だ。
『よっこらせっ……ひとまずはお見事でございます、雲隠総大将殿。けほっ、けほっけほん!!』
「……クロ!!」
 黒砂をかき分けて出て来た黒猫は全身を震わせて砂を払い、口に入ったそれで咳き込みつつもミズノミヤ様とナルカミノミヤ様の前に正座し、丁寧に頭を下げる。
『お久しぶりでございます、ドウシ様にアオ様。 このような形で再会出来るとは私も……』
「猫ちゃんだあああああ!!」
 探のホワイトフレアで浄化され、戦闘フォームである黒甲胃武者を強制解除されたヤミネコ。
 ダンディに喋る黒猫と言う正体を現した死巫女ルイの筆頭眷属にして闇乃宮の案内人の可愛らしさに耐え切れなくなったエミはスライディングダッシュでヤミネコを捕まえて抱っこする。
「エミ!?」
『こらっ、やめぬか小娘!! 我は闇乃宮の主にして死巫女の異名を持つ……にゃふううん、ごろごろ、ごろごろ……』
 学校の帰り道で気難しい野良猫とよく遊んでおり、その扱いを心得ているエミに全身の快感ポイントを刺激され、気持ちよくされてしまったヤミネコはとろっとろの表情で喉を鳴らし始める。
「パパ、この子うちで飼いたい!! ママを助けたら一緒に連れていこうよ!!」
『なにっ!? それはならぬぞ、小娘!! 我は……にゃうん、あうん、ふにゃあおお』
 エミに弱点を完全に把握され、抗議する間もなく快楽堕ちさせられてしまうヤミネコは必死に威厳を保とうとするが、それはとてもできそうない。
「エミ。パパは反対しないけど……おじいちゃんやおばあちゃん、 ママがどういうかは分からないからひとまずヤミネコを放してあげなさい」
「……はあい」
 エミの脱出不可能抱っこから解放され、必死で逃げるヤミネコ。
『何という末恐ろしい娘だ……あの齢で我を陥落させるとは、底が知れぬ器ぞよ』
 この場の味方にして最も安全であろうミズノミャ様とナルカミノミヤ様の足の間に駆け込んだヤミネコは幾星霜ぶりに再会した2人を見上げつつ咳く。

「ははは、そうだなヤミネコ!! エミは雲隠一族の血筋であるのみならず両親共に神紋もののふと言うスーパーハイブリッドだからな。変に刃向かわない方がお前のためだぞ」
「そうであるぞ、クロ……まあ第三の猫生を雲隠本家の愛玩動物としてのんびり過ごす言うのも悪くはなかろうて……ほほほ」
『ひえっ!!』
 ドウシ様(ナルカミノミヤ様)もアオ様(ミズノミヤ様)も自分の味方ではない。
 漆黒の甲胃と言う完全防御&強力な黒瘴気技に業物の太刀と言う攻撃手段を失って本来の黒猫の姿に強制的に戻されてしまったヤミネコは『快楽責めに即堕ちするくせに上から目線の偉ぶった物言いをする黒猫』 と言う愛好家にはたまらなすぎるキャラクターに大興奮で眼を爛々と光らせるエミにビクビクする。
「ナルカミ、ミズノミヤ!! 冗談を言っている場合ではないぞ!!
 早くそいつにヤミノミヤノミコトの下へ向かう扉を開けてもらわないと……エミを抑えきれんぞ!!」
「ヤミネコちゃん、ヤミネコちゃん……はあはあ、はあはあ」
 おじいちゃんとおばあちゃん&美香ママに関係なくヤミネコちゃんをうちの子にする事を決定事項化しているエミを後ろから抱きかかえるように押さえている茜と式神ライ。
『はっ、はい!! 直ちに、もののふ様……開け、ちゅるちゅる!!』
「きゃんっ、かわいい!!」
 ヤミネコの詠唱に応じて現れた黒鳥居。
 その枠内は黒瘴気で満たされて渦巻いている。
「よしっ……皆、美香と皆を助けに行くぞ!!」
「おうっ!!」
 長き戦いの末辿り着いた最終決戦、雲隠総大将を筆頭に闇乃宮討伐隊メンバーは恐れる事無く闇鳥居の門を通過していく。

『ほほほ、ついに来やるか……』
 闇乃宮最深部、闇神ノ間。
 美香&英里子とのスパーリングを終え、すっきりとした表情で畳上に座る死巫女装東のヤミノミヤミコト・死巫女ルイは銅鏡に映されるヤミネコの空間の光景を満足気に見ている。
『にゃあ』
 そんな彼女の傍らにやって来た数匹の黒猫達は空になった7個の虫寵を前に抱えており、主様が確認しやすいように二足歩行で高く掲げている。
「うむ、大儀であったぞ黒猫よ、非戦闘員のそなたらは下がっておるが良い」
「みゃお!!」
 敬礼した黒猫軍団は虫寵を抱えたまま二足歩行ダッシュで暗闇に消えて行く。

【第68話につづく】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...