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第九章:『闇神乃間/総員激突!! 解放と救済の最終決戦!!』
【第68話】
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「ここが闇乃宮最深部なのか?」
真っ暗な空間に浮かぶ大きなお盆のような円形踊り場が等間隔に7つ設けられた階段。
闇鳥居をくぐってその最下部の円形踊り場に出た雲隠総大将と仲間達はCGかと見間違うような空間を見回す。
「探さん!! タケルにエミ!!」
「美香!?」
「ママ!?」
そんな中、前方から聞こえる聞き覚えのある声。
ブルービキニ&パレオとサンダル、魔導杖のマヨイガ装備姿でこちらに向かってくるのはヤミノミヤノミコトに誘拐され、囚われの身となっていたはずの水神紋のもののふ……雲隠美香だ。
「美香さん!! ご無事だったんすか!?」
「動くな!!」
とくに目立った外傷もなく、五体満足でお肌もツヤツヤな美香が元気にこちらに向かってくると言う状況に戸惑う須田丸と矢を神紋弓に構えて制止命令をする茜。
敵地のど真ん中と言う場所が場所だけに敵の罵や幻覚の可能性も捨てきれないと察した討伐隊メンバーは各々の武器を抜き、美香を前に身構える。
「やめんかデカボ院!! 美香ちゃんに武器向けるたあ……お天道様が許そうと英里子ちゃんが許さんで!!」
「その意味不明な口上にお前しか言えないこの私に対する屈辱的な呼称は……本物の英里子なのか? じゃあ華咲、お前も……」
「ええ、本物(?)です。驚かせてごめんなさい……エヘッ?」
両手をホールドアップしたままてへぺろする美香。
そのお茶目で可愛らしい様がニセモノのわけが無い、安堵と共に確信した茜は神紋弓を下ろす。
「ミズノミヤ、ナルカミノミヤ。五武神として皆をここまで守り導いてくれてありがとう」
「見事であったぞ、御二柱殿」
「主様、チノミヤ殿にヒノミヤ殿!!」
タメシヤノミコト様と五武神長チノミヤ、そしてヒノミヤノミコトとゴブガミを前に脆く二柱の武神。
「ボクはコール無しかい!? 御二柱殿!!」
何故か再会コールから省かれてしまったゴブガミことカゼノミヤノミコトは6人に突っ込む。
「村長様!!」
「ツミレ!!」
再会を喜ぶミズノミヤ眷属魔物であるマーメイドウォーリアーとマーメイドウォーリアー。
「ライちゃん!!」
「お姉さま!! ぐあああああ、背中が、背中ガァァァあ!!」
感動の再会のあまり、細身の妹に背骨脱臼ベアハッグを喰らわせてしまうゴリマッチョ系超巨大女子な式神フウ。
「美香……無事でよかった」
「探さん……ありがとう」
「ママ、ママ……」
「……」
ようやく再会できた大切な人と抱きしめあい、言葉で伝えられない思いを重ね合う雲隠探と雲隠美香。
そんなパパとママを邪魔しないように気を遣うタケルとエミの双子は美香ママの美くびれ腰に手を回し、柔らかなすべすべ美肌に顔をうずめる。
『ええい、いつまで我をおんぶしておる!! 我は赤子ではないのだぞ、下ろさぬか無礼者!!』
そんな家族の再会を前に苛立った低い声で割り込む黒猫のヤミネコ。
「あら、その猫ちゃんはもしかして……」
愛する夫と子供達と再会した美香はいまさらのように娘の背中におんぶ紐されて暴れている黒猫に気が付く。
「うん、この子飼いたい!! いいでしょ、ママ?」
『待て、雲隠の幼き娘よ。そもそもそやつは我が右腕であるぞ。
まずわらわに相談するのが……スジと言う物ではないのか?』
「!?」
階段最上部の踊り場に現れたヤミノミヤノミコトこと死蚕女ルイとその背後に立つ闇乃宮討伐隊と死闘を繰り広げた5体の眷属魔獣。
ヒネコ、ミズネコ、チネコ、シネコ、カゼネコを前に総戦力完全復活の闇乃宮討伐隊メンバーは武器を抜く。
『まずは雲隠の末商よ……ヒトの身でありながら武神と魔性の者共をまとめあげ、よくぞここまでたどり着いた。
そしてこれまでの我が眷属魔獣達との手合わせ実に見事であったぞ。
……わらわは武神ではなく邪神に近い存在であるが褒めてしんぜよう』
「ちいとも嬉しく無いわ、アホ。ぎゃあああああ!!」
この期に及んでまで神をも恐れぬ蛮勇アピールをする英里子にヘッドロックをかける茜と左右の尻肉をつまみねじる美香。
マヨイガガールズ同期生によるバイオレンス・タッグアタックに英里子は悲鳴を上げる。
『ふむ、消すには惜しい面白き者共であるが……これよりわらわの詔により闇乃宮最終試練を開始する』
「最終試練だと!?」
『うむ、これよりわらわの下まで上って来るが良い……ただそれだけである。
異がある者はこの場で申すがよい』
異を申した所でここは敵の掌の上であり、ホームグラウンドそのもの。
両手中指を立てて無言のダブルファック抗議する英里子含めその現実をよく知っている全員は黙って是とする。
『うむ、よき返答である。ではこれより闇乃宮、最終試練を開始する!!』
『にゃあん!!』
いつの間にか死巫女ルイの傍らに運ばれてきていた大銅鋸。
その台座左右でピラミッド組体操して足場となった黒猫軍団上に立ってバチを持つ2匹の黒猫は左右からフルスイングでそれを叩きこみ、豪快な開幕を告げる。
【第69話につづく】
真っ暗な空間に浮かぶ大きなお盆のような円形踊り場が等間隔に7つ設けられた階段。
闇鳥居をくぐってその最下部の円形踊り場に出た雲隠総大将と仲間達はCGかと見間違うような空間を見回す。
「探さん!! タケルにエミ!!」
「美香!?」
「ママ!?」
そんな中、前方から聞こえる聞き覚えのある声。
ブルービキニ&パレオとサンダル、魔導杖のマヨイガ装備姿でこちらに向かってくるのはヤミノミヤノミコトに誘拐され、囚われの身となっていたはずの水神紋のもののふ……雲隠美香だ。
「美香さん!! ご無事だったんすか!?」
「動くな!!」
とくに目立った外傷もなく、五体満足でお肌もツヤツヤな美香が元気にこちらに向かってくると言う状況に戸惑う須田丸と矢を神紋弓に構えて制止命令をする茜。
敵地のど真ん中と言う場所が場所だけに敵の罵や幻覚の可能性も捨てきれないと察した討伐隊メンバーは各々の武器を抜き、美香を前に身構える。
「やめんかデカボ院!! 美香ちゃんに武器向けるたあ……お天道様が許そうと英里子ちゃんが許さんで!!」
「その意味不明な口上にお前しか言えないこの私に対する屈辱的な呼称は……本物の英里子なのか? じゃあ華咲、お前も……」
「ええ、本物(?)です。驚かせてごめんなさい……エヘッ?」
両手をホールドアップしたままてへぺろする美香。
そのお茶目で可愛らしい様がニセモノのわけが無い、安堵と共に確信した茜は神紋弓を下ろす。
「ミズノミヤ、ナルカミノミヤ。五武神として皆をここまで守り導いてくれてありがとう」
「見事であったぞ、御二柱殿」
「主様、チノミヤ殿にヒノミヤ殿!!」
タメシヤノミコト様と五武神長チノミヤ、そしてヒノミヤノミコトとゴブガミを前に脆く二柱の武神。
「ボクはコール無しかい!? 御二柱殿!!」
何故か再会コールから省かれてしまったゴブガミことカゼノミヤノミコトは6人に突っ込む。
「村長様!!」
「ツミレ!!」
再会を喜ぶミズノミヤ眷属魔物であるマーメイドウォーリアーとマーメイドウォーリアー。
「ライちゃん!!」
「お姉さま!! ぐあああああ、背中が、背中ガァァァあ!!」
感動の再会のあまり、細身の妹に背骨脱臼ベアハッグを喰らわせてしまうゴリマッチョ系超巨大女子な式神フウ。
「美香……無事でよかった」
「探さん……ありがとう」
「ママ、ママ……」
「……」
ようやく再会できた大切な人と抱きしめあい、言葉で伝えられない思いを重ね合う雲隠探と雲隠美香。
そんなパパとママを邪魔しないように気を遣うタケルとエミの双子は美香ママの美くびれ腰に手を回し、柔らかなすべすべ美肌に顔をうずめる。
『ええい、いつまで我をおんぶしておる!! 我は赤子ではないのだぞ、下ろさぬか無礼者!!』
そんな家族の再会を前に苛立った低い声で割り込む黒猫のヤミネコ。
「あら、その猫ちゃんはもしかして……」
愛する夫と子供達と再会した美香はいまさらのように娘の背中におんぶ紐されて暴れている黒猫に気が付く。
「うん、この子飼いたい!! いいでしょ、ママ?」
『待て、雲隠の幼き娘よ。そもそもそやつは我が右腕であるぞ。
まずわらわに相談するのが……スジと言う物ではないのか?』
「!?」
階段最上部の踊り場に現れたヤミノミヤノミコトこと死蚕女ルイとその背後に立つ闇乃宮討伐隊と死闘を繰り広げた5体の眷属魔獣。
ヒネコ、ミズネコ、チネコ、シネコ、カゼネコを前に総戦力完全復活の闇乃宮討伐隊メンバーは武器を抜く。
『まずは雲隠の末商よ……ヒトの身でありながら武神と魔性の者共をまとめあげ、よくぞここまでたどり着いた。
そしてこれまでの我が眷属魔獣達との手合わせ実に見事であったぞ。
……わらわは武神ではなく邪神に近い存在であるが褒めてしんぜよう』
「ちいとも嬉しく無いわ、アホ。ぎゃあああああ!!」
この期に及んでまで神をも恐れぬ蛮勇アピールをする英里子にヘッドロックをかける茜と左右の尻肉をつまみねじる美香。
マヨイガガールズ同期生によるバイオレンス・タッグアタックに英里子は悲鳴を上げる。
『ふむ、消すには惜しい面白き者共であるが……これよりわらわの詔により闇乃宮最終試練を開始する』
「最終試練だと!?」
『うむ、これよりわらわの下まで上って来るが良い……ただそれだけである。
異がある者はこの場で申すがよい』
異を申した所でここは敵の掌の上であり、ホームグラウンドそのもの。
両手中指を立てて無言のダブルファック抗議する英里子含めその現実をよく知っている全員は黙って是とする。
『うむ、よき返答である。ではこれより闇乃宮、最終試練を開始する!!』
『にゃあん!!』
いつの間にか死巫女ルイの傍らに運ばれてきていた大銅鋸。
その台座左右でピラミッド組体操して足場となった黒猫軍団上に立ってバチを持つ2匹の黒猫は左右からフルスイングでそれを叩きこみ、豪快な開幕を告げる。
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