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第九章:『闇神乃間/総員激突!! 解放と救済の最終決戦!!』
【第76話】
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闇乃宮最深部、第六踊り場。
「ヤミネコちゃん!! しっかりつかまっているのよ!!」
『うっ、うむ……わかったぞ、エミ殿』
闇神ノ間で突如発生したホワイトフレア濁流で時空の割れ目から押し出され、底無き常闇に堕ちる寸前で探パパのファイアージェットに救助されたエミ。
頭上の時空の割れ目から延々と噴きだし続ける魔力の濁流でナイアガラの滝つぼと化した第六踊り場内に美香ママが作り出した氷塊安全地帯上のエミは頭上に避難させた黒猫ヤミネコちゃんに叫ぶ。
「探さん、どうしよう……水神紋の力で作り出した頑強な氷塊とは言えこのまま魔力干渉を受け続けたらどこかの時点で崩壊。私達全員、この滝つぼから濁流にのまれちゃうわ」
水神紋経由で水マヨイガエレメントを注入調整し、皆の足場となる氷塊を補強維持し続ける美香。
「タケルが迷処七天賦奥義を使えたのか使えてしまったのかはさておき……あの時空の割れ目の向こうに死巫女ルイと共に取り残されているのはまずい!!
雲隠、お前のホワイトフレア・ジェットでどうにか進入できないのか!?」
「それはダメよ、茜!!
あの量から推測するにタケルの火神紋(仮)は制御不能状態になり、ルイ自身と彼女の作り出した世界の膨大な魔力そのものを吸収してホワイトフレアに変換し続けているわ。
だからもし、総大将殿が同じ力を纏ってあの中に突入しようものなら……ナイアガラフォールどころかルイの創った闇乃宮世界そのものの魔力バランス均衡が狂いェントロピー崩壊を起こしてしまうのよ」
ホワイトフレアを封じ手にせざるを得ない雲隠総大将と同じく『生』の奇跡を用いる事が出来ない状況に追い込まれたタメシヤノミコト様は絶望的な声で咳く。
『……サン様、少しでよろしいので貴女様の魔力を私にいただけますでしょうか?』
エミの頭上にしがみついたまま思い切った表情でタメシヤノミコト様に話しかける黒猫ヤミネコ。
「出来なくはないけど、どうするつもりなの?」
『ご察しだとは思いますが、私はヤミノミヤノミコト様にお仕えする筆頭眷属魔獣であり貴女様の世界へ繋がる闇鳥居を召喚できます。
この小さき姿で内包できる魔力では不可能ですが……あなたの力を頂ければ私の消滅を引き換えにそれを召喚出来るでしょう』
「ヤミネコちゃん!?」
『雲隠様の飛翔技を持ってすれば我ら五大魔獣全員は無理でももののふ様方と武神様、眷属の皆様を回収して避難させることは可能なはずであり、この空間内に存在する御霊と言う魔力源を減らす事で時間をかければタケル殿の救出も可能となるでしよう』
「でもそれだとルイが……」
『サン様、右腕たる私が言うべきではありませんがあの光の濁流に巻き込まれたとあっては永きに渡り人の世の涙怨を吸い上げ続けた主様でも無事では済まないでしょう。
さすれば私がこの場で成せることは最期の時まで主様と良き友であり続けてくれた貴女様とその郎党様方をご無事でこの世界から逃す事』
「……」
『そうではありませぬか?』
ヤミネコの鋭い眼光にタメシヤノミコト様は返答を失う。
『エミ殿、雲隠ご夫妻様……あなたがたの良き飼い猫になれず申し訳ございません』
これから起こる事が理解できず混乱のあまり目をぐるぐるさせているエミの頭からすとんと降りたヤミネコはタメシヤノミコト様の前に首を差し出して座り、五武神を束ねる大武神として決行するように迫る。
「雲隠君に華咲先生、遅くなってすまん!!」
「ゴブガミ先生!?」
そんな中で頭上に現れた巨大な白雲。
その上から身を乗り出して見下ろしつつ手を振るのはゴブガミことカゼノミヤノミコト。
『ヤミネコ様!! ご無事だったのですね!!』
『ミズネコ!! そしてお前達まで……どうして五武神と同じ物に搭乗しているのだ!?』
雲の端から見下ろす仲間と言う呉越同舟な風景に驚きのあまりエミに回収されたのにも気づかず、抱きかかえられたまま頭上の大雲を見上げるヤミネコ。
『今はそんなことを言っている場合じゃねえだろ兄ちゃん!! とにかくこの暴走魔力を俺ら闇乃宮五大魔獣の力で何とかするぞ!! 五武神様にもののふ様方、強化サポートお願いしますぜ!!』
「マカセトケ、チビ!! アンシンシテイッテコイ!!」
『ロックンロールだぜえええ!!』
ヤミノミヤノミコトの眷属たる大小様々な五大魔獣達は一斉にホワイ トフレア魔力の池と化した第六踊り場に次々とスカイダイビングで飛び込んでいく。
『おっ、お前達!! やめろ!!』
魔力の池にスカイダイブ落下していく仲間達を前にエミに抱きかかえられたままギャオギャオ叫ぶヤミネコ。
ヤミノミヤノミコト様の右腕たる自分でもあのホワイトフレア濁流を浴びて核たる魂まで強制弱体化してしまったのに、その他の五大魔獣が魔力プールに飛び込もうものなら一瞬で蒸発し、魂も消滅してしまう。
数秒前まで自己犠牲の覚悟を決めていたはずのヤミネコは仲間の自殺行為を必死で止めようとする。
ざばあああああん!!
豪快な音と共に魔力プールに飛び込んだ五大魔獣。
仲間の最期を察したヤミネコがエミの腕の中の両目を肉球で覆ったその時だった。
『ニャハハハハハ!! プチプチするけど大丈夫だぜ!!』
『毒を食らわば皿まで……これこそデスロックってヤツだぜ!!』
『意外とぬるま湯で気持ちいいニャ!!』
『!?』
余裕しゃくしゃくな仲間の声にそっと肉球をずらしたヤミネコは温泉を楽しむかのように肩までつかり、仰向け大の字で浮く仲間に眼が飛び出しそうになる。
【第77話につづく】
「ヤミネコちゃん!! しっかりつかまっているのよ!!」
『うっ、うむ……わかったぞ、エミ殿』
闇神ノ間で突如発生したホワイトフレア濁流で時空の割れ目から押し出され、底無き常闇に堕ちる寸前で探パパのファイアージェットに救助されたエミ。
頭上の時空の割れ目から延々と噴きだし続ける魔力の濁流でナイアガラの滝つぼと化した第六踊り場内に美香ママが作り出した氷塊安全地帯上のエミは頭上に避難させた黒猫ヤミネコちゃんに叫ぶ。
「探さん、どうしよう……水神紋の力で作り出した頑強な氷塊とは言えこのまま魔力干渉を受け続けたらどこかの時点で崩壊。私達全員、この滝つぼから濁流にのまれちゃうわ」
水神紋経由で水マヨイガエレメントを注入調整し、皆の足場となる氷塊を補強維持し続ける美香。
「タケルが迷処七天賦奥義を使えたのか使えてしまったのかはさておき……あの時空の割れ目の向こうに死巫女ルイと共に取り残されているのはまずい!!
雲隠、お前のホワイトフレア・ジェットでどうにか進入できないのか!?」
「それはダメよ、茜!!
あの量から推測するにタケルの火神紋(仮)は制御不能状態になり、ルイ自身と彼女の作り出した世界の膨大な魔力そのものを吸収してホワイトフレアに変換し続けているわ。
だからもし、総大将殿が同じ力を纏ってあの中に突入しようものなら……ナイアガラフォールどころかルイの創った闇乃宮世界そのものの魔力バランス均衡が狂いェントロピー崩壊を起こしてしまうのよ」
ホワイトフレアを封じ手にせざるを得ない雲隠総大将と同じく『生』の奇跡を用いる事が出来ない状況に追い込まれたタメシヤノミコト様は絶望的な声で咳く。
『……サン様、少しでよろしいので貴女様の魔力を私にいただけますでしょうか?』
エミの頭上にしがみついたまま思い切った表情でタメシヤノミコト様に話しかける黒猫ヤミネコ。
「出来なくはないけど、どうするつもりなの?」
『ご察しだとは思いますが、私はヤミノミヤノミコト様にお仕えする筆頭眷属魔獣であり貴女様の世界へ繋がる闇鳥居を召喚できます。
この小さき姿で内包できる魔力では不可能ですが……あなたの力を頂ければ私の消滅を引き換えにそれを召喚出来るでしょう』
「ヤミネコちゃん!?」
『雲隠様の飛翔技を持ってすれば我ら五大魔獣全員は無理でももののふ様方と武神様、眷属の皆様を回収して避難させることは可能なはずであり、この空間内に存在する御霊と言う魔力源を減らす事で時間をかければタケル殿の救出も可能となるでしよう』
「でもそれだとルイが……」
『サン様、右腕たる私が言うべきではありませんがあの光の濁流に巻き込まれたとあっては永きに渡り人の世の涙怨を吸い上げ続けた主様でも無事では済まないでしょう。
さすれば私がこの場で成せることは最期の時まで主様と良き友であり続けてくれた貴女様とその郎党様方をご無事でこの世界から逃す事』
「……」
『そうではありませぬか?』
ヤミネコの鋭い眼光にタメシヤノミコト様は返答を失う。
『エミ殿、雲隠ご夫妻様……あなたがたの良き飼い猫になれず申し訳ございません』
これから起こる事が理解できず混乱のあまり目をぐるぐるさせているエミの頭からすとんと降りたヤミネコはタメシヤノミコト様の前に首を差し出して座り、五武神を束ねる大武神として決行するように迫る。
「雲隠君に華咲先生、遅くなってすまん!!」
「ゴブガミ先生!?」
そんな中で頭上に現れた巨大な白雲。
その上から身を乗り出して見下ろしつつ手を振るのはゴブガミことカゼノミヤノミコト。
『ヤミネコ様!! ご無事だったのですね!!』
『ミズネコ!! そしてお前達まで……どうして五武神と同じ物に搭乗しているのだ!?』
雲の端から見下ろす仲間と言う呉越同舟な風景に驚きのあまりエミに回収されたのにも気づかず、抱きかかえられたまま頭上の大雲を見上げるヤミネコ。
『今はそんなことを言っている場合じゃねえだろ兄ちゃん!! とにかくこの暴走魔力を俺ら闇乃宮五大魔獣の力で何とかするぞ!! 五武神様にもののふ様方、強化サポートお願いしますぜ!!』
「マカセトケ、チビ!! アンシンシテイッテコイ!!」
『ロックンロールだぜえええ!!』
ヤミノミヤノミコトの眷属たる大小様々な五大魔獣達は一斉にホワイ トフレア魔力の池と化した第六踊り場に次々とスカイダイビングで飛び込んでいく。
『おっ、お前達!! やめろ!!』
魔力の池にスカイダイブ落下していく仲間達を前にエミに抱きかかえられたままギャオギャオ叫ぶヤミネコ。
ヤミノミヤノミコト様の右腕たる自分でもあのホワイトフレア濁流を浴びて核たる魂まで強制弱体化してしまったのに、その他の五大魔獣が魔力プールに飛び込もうものなら一瞬で蒸発し、魂も消滅してしまう。
数秒前まで自己犠牲の覚悟を決めていたはずのヤミネコは仲間の自殺行為を必死で止めようとする。
ざばあああああん!!
豪快な音と共に魔力プールに飛び込んだ五大魔獣。
仲間の最期を察したヤミネコがエミの腕の中の両目を肉球で覆ったその時だった。
『ニャハハハハハ!! プチプチするけど大丈夫だぜ!!』
『毒を食らわば皿まで……これこそデスロックってヤツだぜ!!』
『意外とぬるま湯で気持ちいいニャ!!』
『!?』
余裕しゃくしゃくな仲間の声にそっと肉球をずらしたヤミネコは温泉を楽しむかのように肩までつかり、仰向け大の字で浮く仲間に眼が飛び出しそうになる。
【第77話につづく】
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