チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ

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 遠慮せずにがぶりと噛みつくと、程よく柔らかくなった肉の香ばしさが口内を駆け巡る。

「おいアル! これめっちゃうめぇぞ! 早く食ってみろ! 」
「・・・」

 隣を見れば、副官のアルシュはじっと考え込んでいる。

「・・・気に病むなって」

 冷たそうに見えてどこまでも責任感のあるアルは、休憩中の番をしていた自分を責めているのだろう。口下手な俺はそんな言葉しかかけられない。

「団長、本当に信じていいと思いますか? 」
「わからん」

 それが誰を指しているものか、言わずともわかっている。あの少女のことだ。

 銀色の髪に青と紫の目。見たことも聞いたこともない色彩を持ったあの少女に出会えたのは、奇跡だった。それが幸か不幸かはまだわからないが。


*****


 数ヶ月ぶりの討伐で、鈍っていた感覚も戻ってきた。隊員たちもみんなやる気に溢れている。戦闘狂が増えた気もするが・・・。

「ここで一旦休憩を取ろう! 」

 かなり奥まで来たし、一度態勢を整えたほうがいいだろう。

「団長、見張りは・・・」
「私がやろう」
「じゃあ頼んだぜ、アル」

 各々談笑したり軽食を取ったりしながら、装備の確認をする。

「この硬いパンも久しぶりだよ」
「これ、下手したら武器にできそうだよな」

「俺のやつ若干刃こぼれしてるかも・・・」
「うん? どこだ? 」
「ほら」
「ああ、ほんとだ。あのとき無理に押し込むから」

「なあ、これ帰ったら一緒に飲もうぜ? 」
「よし乗った! 」
「おい、俺を忘れるなよ! 」


 俺も剣の確認を終えて鞘に仕舞ったその時。和気藹々とした空気を割るように、アルの叫びが響き渡った。


「グレートベアーズの襲撃だ! 急げ! 」


「なんだと!? 応戦するぞ! 」

「急げ! 襲撃だ! 」
「このバカが! さっさと起きろ! 」

 一転として大騒ぎになった陣営の中にも、ガウゥというベアーズの鳴き声が聞こえてくる。

 急いで最前線へと走っていけば、アルは突進するベアーズを次々に薙ぎ払っていた。

「手伝う! 」
「団長! すぐに撤退を! 」
「わかっている! 」

 グレートベアーズ単体の攻撃力はそこまで強くないが、群れると一体化して突進してくる。その威力は単体で突っ込んできたときの数十、数百倍だ。

「全員撤退! 撤退しろ! 」

 声の限りに叫ぶ。

「撤退! 」
「撤退しろ! 」
「撤退だ! 」

 声出しで指示を端から端まで通すのは、集団行動の基本だ。

「うわぁ! 」

 その瞬間、最悪の事態が起こった。


「団長! 前線が破られました! 」

「クソ! 来るぞ! 」


 ベアーズを食い止めていた一人が倒れたところから、次々にベアーズが隊列に雪崩込んでくる。

「戦え! 怪我人を優先して逃がせ! 」
「グァ! 」
「大丈夫か!? 」
「カハッ! 」
「! 俺が変わる! 」

「アル! そっちに行ったぞ! 」
「任せてください! 」

「おい! 持ち堪えろ! 」
「負けてたまるか! 」

「イッテ! 」
「傷は!? 」
「引っかかれただけだ! 深くない! 」

「なあ、これ帰ったら・・・」
「バカが! フラグ立てるんじゃねぇ! ッ!? ッブネェ~。ほら見ろ! 」

「アル! あとどのくらいいる! 」
「残り四十頭ほどです! 」
「よし! 最終戦だ! 」


 どれぐらい経っただろうか。どうっと俺の前にいた最後の一匹がようやく倒れた。

「終わった、のか? 」
「そのようですね」
「勝ったぞ! 」
「「「うおおぉ! 」」」

 騎士の雄叫びが上がるが、現実まだそんなに甘くない。

 死者こそいないものの、重症者が何人かいる。それに、物資だってほとんど置いてきてしまった。今から取りに帰るのは不可能だ。空を見ると、太陽が傾き始めていた。怪我人の治療も満足にできていない状態でこのまま夜が来たら、全員持ちこたえられる保証がない。
 だけど無闇に動くわけにもいかない。グレートベアーズから逃げるのに必死で、自分たちの居場所がわからなくなっていた。つまり遭難したのだ。

 いよいよ打つ手がなくなったその時、希望のような一筋の知らせが舞い込んだ。


「団長! 前方に家らしきものが! 」
「どうしますか? 」
「決まっている。そこへ向かえ! 」


 そして俺達は、なんとも態度のでかい翼の生えた馬に出会った。










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