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「では次の問いだ」
「あ、まだあったの? 」
漫画の最後の一ページみたいな雰囲気だったから、もう終わりかと思っちゃった。
「なんじゃ、『まだ』とは」
「はい、すみません」
ジト目で見ないで。
「おほん! でだ。そなたら、民を使うと言ったが、民という存在をどう考えいるのだ? 」
さっきの言葉を聞いたからか、今度は少し優しそうな話し方になった。双子も、模範解答のようなことを並べても聞いてもらえないことを理解し、うーん、と真剣に考え込んでいる。
「そうだなあ・・・。なんだろう、僕達と対等な存在、かな? 」
「僕はどちらかというと、利用し合う関係、みたいな感じに思ってるよ」
「そうそう。だから一人一人に寄り添ってっていう感じよりは、道具としてみている面もあると思う」
「実際僕たちは今利用しようとしているしね」
「なるほどのう」
意外な答えだったけど、常夜が満足しているようだからこれでいいのだろう。
「よくわかった。好きにするといい」
そういうと、常夜は持ち上げていた首を再びペタッと腕に張り付けた。
「で、どうかな? 」
「この話、受け入れてくれる? 」
「そうですね・・・━━」
「わかった」
「じゃあ僕たちはこれで帰るね」
「また連絡するよ」
そうして嵐のような二人は帰っていった。
「にしてもさすが常夜だね。私も聞こうとは思ってたけど、あの答えは引き出せなかっただろうね」
「ちょいと魔力を放出しただけだがな」
それに耐えただけすごいと思うよ。威圧感はなかったけど、一瞬ものすごい魔力の流れを感じたもの。二人にとったら見えない大きな岩がのしかかっているようなもんだよ。
*****
その日の夜。
「ねえシエル、誰にもつかないっていうのはなしなの? 」
布団に潜り込んで部屋の電気も消したあと、ふと紅羽が質問を投げかけてきた。
実はみんな、夜は部屋に入るレベルで大きくなって寝ている。なんでか四匹で同じ布団共有してるの、同級生みたい。
「そうだねぇ、それもありっちゃありなんだろうけど、それはそれでめんどくさいんだよ」
「どういうことだ? 」
今度は黎月の声。
「だって、誰にもつかないなら、そう宣言しないとだめでしょ? そうしないとひっきりなしに勧誘が来たり、立場をはっきりさせろって言われたりするから。他の人も私の動きで身の振り方を考えたりしないといけないからね」
「めんどくさいな」
「人間というのはそんな生き物なのだ。諦めるんだな」
これは白氷。
「で、宣言したら宣言したらでちょっとしたことでも贔屓だとか言われかねない」
「まあ、変な生き物なのね。人間って」
「全員が全員そうとは限らないけどね」
あくまで貴族の中にはそういうのが多いっていうだけだよ。
「でも単純でおバカなところもあるわよね」
「ああ、見た目が気持ち悪いからクラーケンを食わないとかな」
「うまいよな、クラーケン」
「あの弾力は素晴らしい」
クラーケン? クラーケンってあのイカ?
「そのクラーケンってイカのこと? 」
「いか・・・、が何なのかはわからぬが、長い胴体にひし形のヒレみたいなものが上についていてな」
イカのフォルムそんな感じだなあ。
「その下に顔があって足がある」
イカの形そんな感じだなあ。
「とにかく足がたくさんあるのよ! 」
「パールクラーケンが十本でルビークラーケンが八本だ」
ちょっとタコ要素入ってる?
「足の裏にびっしりと吸盤がついてたな」
イカも吸盤あったなあ。
「そうそう、運が悪いと、変な液体吐くやつに出会っちゃったりもするわね」
イカ墨のことですかねえ。
「かなり大きさがあるからな、一匹あれば一ヶ月は狩りをしなくてもいいぞ」
「個体差もあるけど、だいたい船一つと同じくらいのサイズね」
「待って、それはイカじゃない」
どういう船で比較してるのかはわからないけど、地球のイカはそんな大きくないぞ。
ダイオウイカなら話は別だけど、全部のイカがそんな大きい訳では無い。
「え、小さいのはいないの? 」
「小さいの・・・、プルプやポルポのことか? 手の平サイズだな」
「プルプやポルポ? 」
「ああ、クラーケンの頭を丸くしたようなやつがいてな、プルプという」
それタコじゃない?
「そのプルプの足の間に水かきがついているのがポルポよ。カラフルで透けるから、水の中から照らすときれいに見えるのよ」
「へえ、なんかクラゲみたいな感じなんだ」
「くらげかはわからぬが、一度見てみるといいぞ」
じゃあたこ焼きは諦めるか・・・。でも特大イカ焼きは作れそう!
「む、何を話しておるのだ。うるさいぞ」
突然、今まで寝てたはずの常夜の声が響いたかと思うと、
「おい黒龍! 布団を巻き取るな! 」
「ちょっと、私の布団! 」
「返すのだ! 」
「騒いでいるそなたらが悪い。寝ないのならこれはいらないだろう」
なにやってんのよ・・・。
「あ、まだあったの? 」
漫画の最後の一ページみたいな雰囲気だったから、もう終わりかと思っちゃった。
「なんじゃ、『まだ』とは」
「はい、すみません」
ジト目で見ないで。
「おほん! でだ。そなたら、民を使うと言ったが、民という存在をどう考えいるのだ? 」
さっきの言葉を聞いたからか、今度は少し優しそうな話し方になった。双子も、模範解答のようなことを並べても聞いてもらえないことを理解し、うーん、と真剣に考え込んでいる。
「そうだなあ・・・。なんだろう、僕達と対等な存在、かな? 」
「僕はどちらかというと、利用し合う関係、みたいな感じに思ってるよ」
「そうそう。だから一人一人に寄り添ってっていう感じよりは、道具としてみている面もあると思う」
「実際僕たちは今利用しようとしているしね」
「なるほどのう」
意外な答えだったけど、常夜が満足しているようだからこれでいいのだろう。
「よくわかった。好きにするといい」
そういうと、常夜は持ち上げていた首を再びペタッと腕に張り付けた。
「で、どうかな? 」
「この話、受け入れてくれる? 」
「そうですね・・・━━」
「わかった」
「じゃあ僕たちはこれで帰るね」
「また連絡するよ」
そうして嵐のような二人は帰っていった。
「にしてもさすが常夜だね。私も聞こうとは思ってたけど、あの答えは引き出せなかっただろうね」
「ちょいと魔力を放出しただけだがな」
それに耐えただけすごいと思うよ。威圧感はなかったけど、一瞬ものすごい魔力の流れを感じたもの。二人にとったら見えない大きな岩がのしかかっているようなもんだよ。
*****
その日の夜。
「ねえシエル、誰にもつかないっていうのはなしなの? 」
布団に潜り込んで部屋の電気も消したあと、ふと紅羽が質問を投げかけてきた。
実はみんな、夜は部屋に入るレベルで大きくなって寝ている。なんでか四匹で同じ布団共有してるの、同級生みたい。
「そうだねぇ、それもありっちゃありなんだろうけど、それはそれでめんどくさいんだよ」
「どういうことだ? 」
今度は黎月の声。
「だって、誰にもつかないなら、そう宣言しないとだめでしょ? そうしないとひっきりなしに勧誘が来たり、立場をはっきりさせろって言われたりするから。他の人も私の動きで身の振り方を考えたりしないといけないからね」
「めんどくさいな」
「人間というのはそんな生き物なのだ。諦めるんだな」
これは白氷。
「で、宣言したら宣言したらでちょっとしたことでも贔屓だとか言われかねない」
「まあ、変な生き物なのね。人間って」
「全員が全員そうとは限らないけどね」
あくまで貴族の中にはそういうのが多いっていうだけだよ。
「でも単純でおバカなところもあるわよね」
「ああ、見た目が気持ち悪いからクラーケンを食わないとかな」
「うまいよな、クラーケン」
「あの弾力は素晴らしい」
クラーケン? クラーケンってあのイカ?
「そのクラーケンってイカのこと? 」
「いか・・・、が何なのかはわからぬが、長い胴体にひし形のヒレみたいなものが上についていてな」
イカのフォルムそんな感じだなあ。
「その下に顔があって足がある」
イカの形そんな感じだなあ。
「とにかく足がたくさんあるのよ! 」
「パールクラーケンが十本でルビークラーケンが八本だ」
ちょっとタコ要素入ってる?
「足の裏にびっしりと吸盤がついてたな」
イカも吸盤あったなあ。
「そうそう、運が悪いと、変な液体吐くやつに出会っちゃったりもするわね」
イカ墨のことですかねえ。
「かなり大きさがあるからな、一匹あれば一ヶ月は狩りをしなくてもいいぞ」
「個体差もあるけど、だいたい船一つと同じくらいのサイズね」
「待って、それはイカじゃない」
どういう船で比較してるのかはわからないけど、地球のイカはそんな大きくないぞ。
ダイオウイカなら話は別だけど、全部のイカがそんな大きい訳では無い。
「え、小さいのはいないの? 」
「小さいの・・・、プルプやポルポのことか? 手の平サイズだな」
「プルプやポルポ? 」
「ああ、クラーケンの頭を丸くしたようなやつがいてな、プルプという」
それタコじゃない?
「そのプルプの足の間に水かきがついているのがポルポよ。カラフルで透けるから、水の中から照らすときれいに見えるのよ」
「へえ、なんかクラゲみたいな感じなんだ」
「くらげかはわからぬが、一度見てみるといいぞ」
じゃあたこ焼きは諦めるか・・・。でも特大イカ焼きは作れそう!
「む、何を話しておるのだ。うるさいぞ」
突然、今まで寝てたはずの常夜の声が響いたかと思うと、
「おい黒龍! 布団を巻き取るな! 」
「ちょっと、私の布団! 」
「返すのだ! 」
「騒いでいるそなたらが悪い。寝ないのならこれはいらないだろう」
なにやってんのよ・・・。
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