僕とあなたの地獄-しあわせ-

薔 薇埜(みずたで らの)

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第2章 社燕秋鴻

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僕たちがあったことがある・・・・・・。
その時から静先輩は僕のことを気にしてくれていた・・・・・・。

それは一体いつのことだろうか。
どれくらい前から僕のことを知っていた?

本当に大したことじゃなかったんだろう。
僕には全然身に覚えがなかった。

特に人と関わらないようにしていたから余計に覚えていないんだろうけど。

「今でも弥桜のそばにいたいって、守りたいって思う」

静先輩はそう言ってくれるけど、それでもやっぱり一緒にいることが正しいとはどうしても思えない。

静先輩がもし万が一本当に僕と一緒にいたいんだとしても、Ωである僕には一緒にはいられない。
Ωであり今までこんな生活をしてきた僕には、どんな理由があっても幸せになることだけは許されないんだ。
静先輩がどんなに一緒にいたいって言ってくれてたとしても、僕にはそれを受け入れられるだけの心は持ち合わせていない。

「弥桜、一緒にいよう」

一言も声の出さない僕に、静先輩は語り掛けるように言ってくれる。

そんな声で言われたら、静先輩のそばにいたくなってしまう。
絶対にそばにいちゃいけないのに、そばにいたくなってしまう。

どんどん心が揺れて、涙が止まらなくなる。

もう何が何だかわけわかんない!!

なんでそばにいちゃいけないんだろう。
どうしてこんな考え方しか出来ないんだろう。
こんなに僕を必要としてくれてるのに、どうして僕は静先輩の欲しい言葉を言ってあげられないんだろう。

なんで!!

どうして!!

「もうっ、どうすればいいかわかんない・・・・・・」

ついに言葉に出して言ってしまった想いに、一気になし崩れていく。

「弥桜が無理をする必要はないんだ。ゆっくり時間を掛ければ、いずれその痛みがなくなる日が来る。それまでは俺が勝手に弥桜の隣にいる。俺がいたいから、俺の勝手だと思って許して? 辛かったら辛いって、無理だったら無理だって言えばいい。俺が全部受け止めるから」

その上静先輩の言葉がとどめとばかりに突き刺さってくるから、折れかかっていた心がポッキリと折れてしまった。

別に僕が隣にいるわけじゃない。
僕の意思じゃない。
勝手に静先輩がしたいことをするだけだ。

だから僕が幸せになるわけじゃない。
静先輩が無理やり迫ってくるだけで、それが偶々好きな人だったけで、しかも僕は受け入れてない。
僕は悪くない、絶対に僕のせいじゃない。

「全部俺のせいにすればいいから」

そう、全部、全部が静先輩のせいなんだから。

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