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第4章 同甘共苦
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しおりを挟む「弥桜くん、大丈夫ー?」
顔を洗いに行くだけに何分も掛かってるから台所から心配する声が聞こえてくる。
余計なことを振り切るように冷水でばっと洗って戻ると、テーブルには焼いた食パンに目玉焼きとレタスそれから麦茶が並べられてた。
「これぐらいなら食べられるでしょ」
「ありがとうございます」
結永先輩は食べてから来たみたいだから、一人でいただきますと言って食べ始めた。
目の前には座っているけれど特に何もすることはないようで、頬杖を付いてこっちを眺めている。
「ご馳走様でした」
「はい、お粗末さまでした。・・・・・・で、明日のことなんだけど。流石に大学行って静とも会わないと不自然だよね」
「・・・・・・」
ご飯を食べて寝起きよりは少しすっきりしたところで、結永先輩はいきなり本題を切り出してきた。
「静、あの人のこと断ったって言ってたよ。まあ静的には弥桜くんがいるのになんで他の人となんか、て感じだと思うけど」
「静先輩、ことわった・・・んだ・・・・・・」
なんとなく、静先輩ならそうするんじゃないかって分かってはいた。
分かってはいたけど、だからって納得出来るわけじゃない。
僕なんかを取ったってなんにもいいことなんかないのに。
「静は弥桜くんがいいって言ってるんだから、弥桜くんがあんま考えすぎるのも違うと思うよ」
静先輩がそう言うならって、静先輩の言葉が全てだから納得出来ない自分を無理やり落ち着かせる。
「静がすごい心配してるから今日は大丈夫そうだったって言っとく。明日は大学行くからって」
それだけ言うと俺は帰るからね、と結永先輩は帰っていった。
一人残された空間ではどうしてもすぐに静先輩のことを考えてしまいそうになる。
かといってまた寝ようにも昨日からずいぶん寝たから、今は全くと言っていいほど眠くない。
久しぶりに本でも読もうかと読みかけだった哲学書を手に取る。
自分の生き方について考えたくて選んだ本だった。
今じゃあもう当時の基準なんかなんの役にも立たなくなってしまったからあんまり意味のないものになってしまったけど、気を紛らわせるにはちょうどよかった。
活字を読んでいる時も、ほとんど何も考えなくて済むくらい没頭出来るからあっという間に時間が経っていることが多い。
今日も結永先輩が帰ってから既に4時間程が経っていた。
あとはお風呂に入って夕飯を食べるだけだ。
お昼ご飯があんな時間だったからまともにお腹が空いてるわけもなく、夕飯は簡単に済ませた。
結永先輩が本当に黙っててくれているのかはわからないけど、一応静先輩には体調不良でもう治ったってことになってるんだ。
だから明日はなんとかしてでも大学に行って顔を合わせなきゃいけない。
そのためにも出来るだけ余計なことは考えないようにして、落ち着いた状態で明日を頑張れるように無理やり目を閉じた。
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