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第4章 同甘共苦
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しおりを挟む翌日。
こんな状態になるのがわかったから、家に帰るのならまだしも大学に行くのに電車なんか使えない。
出来るだけ二人と関わる機会を減らそうとしたかったけど、大学を休むわけにもいかなくて朝のお迎えは断れなかった。
静先輩からはあの後メールがあって、「用事に時間が掛かるから来なくていい、明日大学で会おう」と言ったから朝は結永先輩が一人で来てくれた。
昨日の恐怖も相まって昨日より家から出たくなかったから、さらにもたもたと準備に時間を掛けていたらまた引き摺り出されて車に突っ込まれる。
「そうやって今日明日を静から逃げられたとしても、この先ずっとそうしてるわけにはいかないでしょ。あの時は風邪ってことにしてあげたけど、流石にこれ以上はかなり怪しいよ。弥桜くんが何を言っても静が君以外を選ぶことはないって俺だって断言出来るのに」
結永先輩の言うことはもっともだ。
僕が避け続けていればすぐに僕たちの関係はお終い。
そう出来るならそんな簡単なことはないんだ。
そしたら今まで第2性で悩んでいた時も今回の時も、ここまで追い詰められることはなかった。
でも静先輩がそれで許してくれるわけがないから、今もこうやって逃げられずにいる。
そんなことは僕が一番わかってるんだ。
「余計なことは考えずに受け入れちゃったほうが楽だと思うよ」
「・・・・・・」
余計なことは考えずに受け入れる。
そしたら本当に楽になれるのかな。
「弥桜、おはよう」
「おはよう、ございます・・・・・・」
昨日大学で分かれてからやっと会えた静先輩。
帰り道、大勢の人に囲まれて怖くて怖くて何度も静先輩を探しては、自分から避けたことを思い出して我慢した。
そんな静先輩が今目の前にいる。
探さなくても声が聞こえる距離にいて、手を伸ばせば届く距離にいるんだ。
家にいても本当の意味で安心することは出来なくて、それがやっと静先輩に会えたから本当に安心出来るようになって、今まで必死に我慢していた涙がどうすることも出来ずに溢れ出した。
「ぁ・・・・・・」
怪しまれないようにと、静先輩の前では絶対に泣いたり弱ったりしてる姿を見せないようにしようと気を張っていたのに。
「弥桜!? どうした」
「あ、ぅ、しずか、せん・・・・・・っ」
静先輩を求めるように延ばしそうになる腕を必死に押さえつけるけど、そんな状態で静先輩の前にいることに耐えられなくなった。
だから、逃げ出したんだ。
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