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終章 経営惨憺

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男の狂気じみた言葉と共に向けられる手が怖くて仕方ない。
無理やり連れていこうとして掴まれた腕は嫌悪感しかないし、ほんとにこのまま連れていかれたら何をされるかわかったものじゃない。

何がなんでもこの男から逃げなくちゃと、必死に抵抗する。
「暴れないで。ちっ、やっぱあんな男の子供なんかがいるせいで、洗脳されちゃってるんだよ。良くない、良くないよ。一旦大人しくしようね」

男の言葉に、殴られるっと思いぎゅっと身を固めて衝撃に耐える。
辛うじて腕で受け止めたが、何も影響がないわけじゃなかった。

少しの衝撃も良くないって聞く。
心臓がきゅーっと縮こまる気がした。
痛みが感じられないからこそ、不安で不安で仕方なかった。

本当にこの子に何かあったらどうしよう。
静との大事な大事な繋がり。
何よりも大切にしなきゃいけない、二人の宝だ。
もしこの子に何かあったら、きっと僕は耐えられない。

「もー、抵抗しないでって。そんなものは早くなくさなきゃ。君のことをこんな風に1人にして、役立たずな男のどこがいいんだか。ね、そんなやつはさっさと忘れて僕のところにおいで」

いつまで経っても頭のおかしなことをべらべらべらべら喋ってる男の声に、この恐怖を上回るほどイライラしてきた。

昔から静のことを悪く言われるのはすごく嫌だった。
大学で静が避けられて怖い人みたいに言われてたのもほんとに嫌だったし、帝たちの時はあからさまに敵意がむき出しで本気で腹が立った。

いつも静といる時は何故か静のことはあまり聞こえてこない。
自分のことばかり気になって、静にどう見られてるのか周りの声がどう聞こえているのか、そればっかり気になって怖くて静に縋るしかなかった。
だけど静がいないと途端に静のことが聞こえてくる。
特に悪い声は耳に留まりやすく、すごく心に負荷が掛かる。

聞いてればなんだ、こんな子はいらないだとか静が使えないだとか、自分の命よりも大切なものをさんざんな言い様で馬鹿にされている。
それがどうしても耐えられなかった。

「・・・っ・・・・・・ぁ、あんた、なんかにっ、・・・静のことそんな風に言われたくないっ!! 静は何より僕を大事にしてくれる! 静がっ、あの人がいないと僕はダメなんだ・・・っ。静を、この子を、・・・僕の家族をバカにしないでっ!!!」

全身ガクガク震えてるけど、もうこれが恐怖なのか怒りなのか分からないほど自分の中がぐちゃぐちゃだった。
怒り慣れてないせいで涙まで溢れてきたし、訳わかんなくなってあんなに触れるのが嫌だった男に掴みかかろうと腕を伸ばした時だった。

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