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四の巻~平成美女は平安(ぽい?)世界で~
92.定近はその時… By定近
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いったい何が起きたのか!
隆が訳の分からないことを言いながら亜里沙殿を連れて行こうとしている。
儂はそれをたしなめようと隆の手を亜里沙殿から引きはがし隆に向き合った瞬間、隆が黒い小箱のようなものを儂に押し付けた。
バチッという耳慣れない音と痛み。
その瞬間、儂の体は、しびれて動かなくなり、その場で倒れこんだ。
自分の手足が自由にならずひくひくと痙攣している。
なんと、みっともない事か。
混濁する意識の中自分の情けない有様に、苛立ち憤った。
そして自由の利かない体で隆をにらみつける。
しかし隆は亜里沙殿しか見ていない。
亜里沙殿はじりじりと後ずさりながら何かを決意したように小刀に手をかけていた。
『まさか!』と最悪の事態が?という考えが頭をかすめた。
いくら何でもか弱い身で、あんな訳の分からない武器をもった隆に敵うはずもないことは、聡い亜里沙殿なら判るはずだ。
亜里沙殿はまさか!
死ぬ気か!
だめだ!だめだだめだ!
儂はなぜ体が、動かない!
俺は数多の神々に祈った。
『神様仏様!悪霊でも何でもいい!儂の体を動かしてくれ!後で儂の命でも魂でもくれてやる!亜里沙殿を救いたいのだ』と!
そして、儂は目の前の二人のやり取りをゆがむ景色とともに見ていた。
「それ以上、近づいたら死んでやるからっ」と亜里沙殿が小刀の鞘を抜き自分の首筋にあてる。
ああ、やはり亜里沙殿は…。
そんな亜里沙殿の言葉に隆が逆上した。
「なんでだよ!亜里沙ちゃん!俺と二人で幸せに暮らそう!誰かに従えたり使えたりしなくていいんだ!俺の持ってる電化製品の数々を使えば、この世界でだって、それなりに暮らせる!亜里沙ちゃんみたいな美少女が召使いなんてすることないんだ!」
「私の幸せは扶久姫とともに在ることよ!」
「なんでだよ!平成では二人は同級生だったんだろ?主従関係になるなんておかしいじゃないか!それも亜里沙ちゃんがお姫さまってんならまだわかるけど」
「やめてっ!扶久姫の事、悪く言わないでっ!確かに平成では私の方が美人だの何だのもてはやされてはいたし、扶久姫は私と同じ中学生で親友で…でもね!この平安の世界では扶久姫こそが美少女なの!私のような卵型の顔立ちやぱっちりとした二重瞼なんて不細工なのよ!」
「だったら余計、こんなとこ出ていこうよ!俺なら亜里沙ちゃんが絶世の美少女だってわかってるし、もしかして二人でなら未来の令和や平成に帰れるかもしれないじゃないか!」
「やめてっ!私は令和なんて知らないっ!平成にも未練なんてないっ!私は扶久姫とさえ一緒にいられればいいのよ!」
「なんで?なんであんな下膨れの女のことをそんなに!」
「扶久のことそんな風に言わないでっっ!扶久は…扶久姫は…前世から仕える…たった一人の姫様なんだからっ…」
そう言って亜里沙殿は目に涙を浮かべ言葉を詰まらせた。
儂は、二人の言い争う間、儂は自分の体を動かそうと必死にもがいていた。
徐々に意識が鮮明になりゆがむ景色も普段のように見えてきた。
そんな中、二人の会話には違和感を覚えていた。
二人はまるで別の世界から来たような言いようだ。
平成?令和?
隆は迷い人だったが…まさか亜里沙殿や扶久子姫も?そして二人は主従関係ではなく?
いや、しかし亜里沙殿の言う前世とか何か?
一瞬のうちに様々な疑問が浮かび上がったが、亜里沙殿は涙を流し今にも自分ののどを突きそうである。
儂は、まだ重い体を無理やり起こし亜里沙殿の小刀を払い落とした勢いでそのまま隆に突進した。
隆が訳の分からないことを言いながら亜里沙殿を連れて行こうとしている。
儂はそれをたしなめようと隆の手を亜里沙殿から引きはがし隆に向き合った瞬間、隆が黒い小箱のようなものを儂に押し付けた。
バチッという耳慣れない音と痛み。
その瞬間、儂の体は、しびれて動かなくなり、その場で倒れこんだ。
自分の手足が自由にならずひくひくと痙攣している。
なんと、みっともない事か。
混濁する意識の中自分の情けない有様に、苛立ち憤った。
そして自由の利かない体で隆をにらみつける。
しかし隆は亜里沙殿しか見ていない。
亜里沙殿はじりじりと後ずさりながら何かを決意したように小刀に手をかけていた。
『まさか!』と最悪の事態が?という考えが頭をかすめた。
いくら何でもか弱い身で、あんな訳の分からない武器をもった隆に敵うはずもないことは、聡い亜里沙殿なら判るはずだ。
亜里沙殿はまさか!
死ぬ気か!
だめだ!だめだだめだ!
儂はなぜ体が、動かない!
俺は数多の神々に祈った。
『神様仏様!悪霊でも何でもいい!儂の体を動かしてくれ!後で儂の命でも魂でもくれてやる!亜里沙殿を救いたいのだ』と!
そして、儂は目の前の二人のやり取りをゆがむ景色とともに見ていた。
「それ以上、近づいたら死んでやるからっ」と亜里沙殿が小刀の鞘を抜き自分の首筋にあてる。
ああ、やはり亜里沙殿は…。
そんな亜里沙殿の言葉に隆が逆上した。
「なんでだよ!亜里沙ちゃん!俺と二人で幸せに暮らそう!誰かに従えたり使えたりしなくていいんだ!俺の持ってる電化製品の数々を使えば、この世界でだって、それなりに暮らせる!亜里沙ちゃんみたいな美少女が召使いなんてすることないんだ!」
「私の幸せは扶久姫とともに在ることよ!」
「なんでだよ!平成では二人は同級生だったんだろ?主従関係になるなんておかしいじゃないか!それも亜里沙ちゃんがお姫さまってんならまだわかるけど」
「やめてっ!扶久姫の事、悪く言わないでっ!確かに平成では私の方が美人だの何だのもてはやされてはいたし、扶久姫は私と同じ中学生で親友で…でもね!この平安の世界では扶久姫こそが美少女なの!私のような卵型の顔立ちやぱっちりとした二重瞼なんて不細工なのよ!」
「だったら余計、こんなとこ出ていこうよ!俺なら亜里沙ちゃんが絶世の美少女だってわかってるし、もしかして二人でなら未来の令和や平成に帰れるかもしれないじゃないか!」
「やめてっ!私は令和なんて知らないっ!平成にも未練なんてないっ!私は扶久姫とさえ一緒にいられればいいのよ!」
「なんで?なんであんな下膨れの女のことをそんなに!」
「扶久のことそんな風に言わないでっっ!扶久は…扶久姫は…前世から仕える…たった一人の姫様なんだからっ…」
そう言って亜里沙殿は目に涙を浮かべ言葉を詰まらせた。
儂は、二人の言い争う間、儂は自分の体を動かそうと必死にもがいていた。
徐々に意識が鮮明になりゆがむ景色も普段のように見えてきた。
そんな中、二人の会話には違和感を覚えていた。
二人はまるで別の世界から来たような言いようだ。
平成?令和?
隆は迷い人だったが…まさか亜里沙殿や扶久子姫も?そして二人は主従関係ではなく?
いや、しかし亜里沙殿の言う前世とか何か?
一瞬のうちに様々な疑問が浮かび上がったが、亜里沙殿は涙を流し今にも自分ののどを突きそうである。
儂は、まだ重い体を無理やり起こし亜里沙殿の小刀を払い落とした勢いでそのまま隆に突進した。
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