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魔法のある世界で

013.この世界での一歩

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 ”卵”の中で現在の状況を確認した私は、色々と納得いかない事も多々あったものの、人工知能AIのタマチャンがいてくれたことには心から感謝した。

 そして細胞の中にこの世界の魔素粒子を取り入れた副作用という産物のおかげか何か分からないが、私の見てくれは、まるでおとぎ話に出てくる妖精のように可愛らしく美しいものだった。
(自分で言うのもこっぱずかしいが…)

 その事を思うと、先ほどまでの悲喜こもごもの想いもどこ吹く風よ…。

 何やらついつい笑みがもれた。
 ぺたぺたと自分の顔や手に触れてみる。

 すべすべもっちもちの肌である。
 タマチャンにモニターをミラーモードにしてもらい、自分の姿を改めて映してもらう。

 色素の薄い白い肌
 紫の瞳は透明感がって本当に水晶のようで本当に綺麗だ。
 白銀の髪は上品で清廉な感じがする。

 うん、やっぱり可愛い!
 それも可愛い!

 少なくとも今まで見てきたことのある人類の中では一番ではなかろうか?

 はっ!

 その時、私は重大なことに気が付いた!
 あくまでも私が知る世界ではこの姿は超絶可愛いと思うが、この世界の人から見るとどうなのか?という事だ!

 あ、でも、そう言えば、あの女騎士の人…サラさんとかあのメイドさん?も確かに私の事を『可愛い』って言っていた。
 少なくとも『可愛い』レベルではあるのだろう。

 ふたたび自分の顔がにやけてしまうのを感じた。

「ふ・ふふふ・ふふ!おばちゃん!この世界なら!なら!恋も結婚もできるかもよ?」

 さっきまで、自分の科学知識が何の価値もないものだと落ち込んでいたが、前世で与えられなかったキラキラな夢見る少女生活が送れるかもしれないと期待に胸がふくらんだ。

 ズルいかもしれないが、この!フル活用で生き抜こう!そう思った。

「タマチャン!私、この世界でも頑張って生き抜いてみせるわ!」と、そう言いながら拳を握りしめた!

『それでこそ綺羅様です!私もサポートいたします。綺羅様、これをお受け取り下さいませ』

 そう言ってタマチャンは、モニターしたのボックスを出した。

 ボックスの中には小さな輪っかを受け取る。
 腕輪型の通信機のようだ。

「これは…通信機?」

『そうです。これは、この”卵”とつながっていますので私とのコンタクトや遠隔操作が可能になりますし、私との音声会話が可能です。それに、これを腕に装着することにより脈拍、血圧、心拍数など、常にチェックし記録されますので、体調管理も兼ねています。この腕輪が赤く光ったら体調異常のサインですので直ぐに卵にお戻りください。治療致します』

「それは、便利ね、あっ、それにこれ、ちゃんと隕石のコーティングしてあるのね?」

『はい、左様でございます』

「核爆弾でも破壊できないわね。頼もしいわ!」私はそう言ってその腕輪を装着した。

 ちなみに腕輪に腕を通すとサイズが自動調整され腕にぴったりフィットした。
(うん、匠の技ですね。ロイス博士!どこまでも凄いわ!)

 さぁ、とにかく、目覚めた以上、ここから出て生きていかなくては!
 私には、諦める何て事出来ないんだから、頑張るしかないのだ!

 そして私は”卵”のドアを再び、自らの意思で開きこの世界への一歩を踏み出したのだった。
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