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魔法のある世界で
75.残されし者達は困惑す!
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ロード邸の一室…ラーラの部屋に、先王ロード、現王バート、ラーラの護衛騎士サラ、家令のセイバス、三人の侍女ドレン、ミーファ、ソラの七人が集まっていた。
サラからラーラが現れた時の話と、娘としたロードの大体の事情を聞いて尚の事、色々と納得のいかないバートは愕然としながら膝をついているロードの胸倉を掴み声を荒げる!
「父上!大体の事は分かった!ラーラを守ろうと娘と偽り連れ帰った事を責める気はないが何故だ!何故、ラーラを出て行かせた!何故、ラーラは王家の縛りにも捕らわれなかったのか?」
ロードは力なく答える。
「…だ」
「「「「「え?」」」」」
「ラーラは、キラ・キリィなのだ」
「「「「「はぁ?」」」」」」
サラ以外の皆が何を言ってるのかという反応だった。
「キラとは直系の王家の名だしキリィは王族の意味では?」
セイバスがそう言うとロードは首を振った。
「それは王家が女神の名からちなんでそう名乗ってきたにすぎないのだ」
「父上は王家の伝承にある…女神キラの再来の事をいってるのか?世が泰平を迎えた時に再び現れると言う…父上はまだそんな夢物語をこんな時にまで!」
バートは呆れた様に言った。
そうなのだ、ロードは『泰平の世がくれば女神キラが再来する』とバートがまだ幼い頃からずっとまるで少年のように瞳を輝かせながら語っていたのだ。
そんな子供っぽい父がバートは好きだったが今はそんな迷信めいた話は関係ないだろうと思った。
だが、ロードは大まじめに言葉を続けた。
「…がう!夢物語などではない!…いや、正直、私もあの三歳のラーラと女神キラが同一とはおもえなかった。あの子が自らキラ・キリィと名乗ってもだ…しかし、あの子は消える前に言ったのだ。自分には大人だった記憶があるのだと…」
「え?ラーラ自身がキラ・キリィと名乗ったと言うのですか?」
バートの言葉にロードだけではなくサラも頷いた。
「わたしはその伝承が真実だと思っていたからこそこの世を泰平の世にすべく尽力した!そして退位した後も文献や遺跡に残された謎を紐解き必ずや女神の再来に待見えるのだと…そう思ってきていたのに…再来した女神を…ラーラを望まず悲しませ出て行かせてしまった」
ロードは苦し気にそう呟いた。
「し…信じられない…いや、しかし、それが本当なら”王家の縛り”にも何にも捕らわれない事も…そうだな…王家直系の我らの魔力よりも純粋なあの白金・白銀の光にも納得できるかも…」
バートがそう呟くと周りの皆はそれぞれに思い当たる節があったのか考え込むように黙り込む。
あの人とも思えぬ美しさ。
あの魔力の輝きと魔力量。
あの優しさ。
あの大人顔負けの賢さ。
「あの子はわたしの事が異性として好きだと…だが私は娘としか思えないと…」
ロードがそう言うとサラが間髪入れずに言葉を挟んだ。
「っ!何故、ラーラ様を受け止めて差し上げなかったのですかっ!」
「「「「えええええっ?」」」」
これにはサラ以外の皆が逆に驚いた!
いや!これはロードの言うのも仕方がないではないかと皆は思った。
「なっ!だって娘だと思っていたのだぞ!たとえ、まだ日は浅くとも私はあの子を真実我が子として愛しんでいたんだぞ!いきなり女性として受け止められるかっ!」ロードもっともな事を言った。
しかしサラは納得しない。
「中身は大人だったのでございましょう?もともと王族の結婚なんて二十や三十の歳の差だってありなのですからラーラ様がそれで幸せなら受け入れて差し上げれば良かったのですわ!娘も
嫁も家族になり同じ家名を名乗るのに対した違いはないでしょうにっ!」
「「「「「い!いやいやいやいや!」」」」」
これには王も家令も侍女ズも声を揃えて異を唱えた!
「サラ!ラーラが居なくなって狼狽えているのは分かるがそれはどうかと思うぞ?」とバートが言う。
「息子よよくぞ言ってくれた!そうだよな!」
「当然です!あの天使のようなラーラと強面の父上では見た目からして耐えがたいものがあるし、私としては出来ればそんな夫婦は見たくない!それだったらまだ弟のテリュアスとの方がまだ許せると言うものだ!」とバートが本音で言うとロードはむっとした。
「何だと!強面で悪かったな!俺だってラーラが幼子から少女に育ってしまった時には、お前かテュリアスの許嫁になれるようにした方がよかったのかと悩んだわ!だけどな!ラーラは中身が大人だったんだよ!大人なラーラはお前らじゃなくて大人の俺様がいいんだとよっ!」
売り言葉に買い言葉…というべきか…。
「そうですわっ!分かってらっしゃるじゃないですかっっ!ラーラ様は誰でもないルゼルジュ様!いいえ!ロード先王陛下が好きだとおっしゃったのでしょう?今からでも探し出してラーラ様をお嫁さんにしてくださいませっ!」
サラがたたみこむようにまた、のたまう!
「「いや!ちょっと待てっ!そもそも娘と嫁では大分違うぞっ!」」
さすが親子というべきか一糸乱れぬ一言一句違いなくロードとバートがサラの言葉に反論した!
この不毛な会話に家令と侍女ズは、半ば呆れながらもラーラの身を案じていた。
「セイバスさん、ラーラ様はあんなにも美しいのですものいくら瞳の色や髪色を変えたところで目だってしょうがないと思いますわ!」とソラが言う。
「そうそう!あんなに美しいラーラ様ですもの危ないですわ!だって、サラ様のお話では長い間あの卵の中で何百年とも何千年とも分からない程の長い時を眠りにつかれていらっしゃってきたらしいではないですか…今のこの世界の事はまだ何も分かってらっしゃらないのですもの」ドレンの言い分ももっともだった。
「すぐにでも手分けして探しましょう?セイバスさんは警備の騎士さま達にお声掛けして下さいませ!」とミーファが言うと家令のセイバスは大きく頷いた。
「そうだな、お前たちの言う通りだ。わたしは早速、警備の方に捜索の届を出して自分でも探そう。お前たちは侍女連盟の仲間たちにも声をかけて姫様の捜索に力をかしてもらってくれ!侍女連盟はとにかく情報源の宝庫だから人探しには強力な助けになるだろう?」
「さすが!セイバス様!じゃあ侍女連には私から!」ミーファが胸をたたき、部屋を飛び出た。
「私達も暗くなる前に、街にでて探してみますわ!」そういってドランもソラも飛び出していった。
そしてセイバスも!
駄目もとでも何でもすぐに動い他召使たちの行動は早かった。
そしてこの時、この瞬間、この国の先王と現王と騎士の三人は、ラーラは意外にも、現状、役立たずだった。
サラからラーラが現れた時の話と、娘としたロードの大体の事情を聞いて尚の事、色々と納得のいかないバートは愕然としながら膝をついているロードの胸倉を掴み声を荒げる!
「父上!大体の事は分かった!ラーラを守ろうと娘と偽り連れ帰った事を責める気はないが何故だ!何故、ラーラを出て行かせた!何故、ラーラは王家の縛りにも捕らわれなかったのか?」
ロードは力なく答える。
「…だ」
「「「「「え?」」」」」
「ラーラは、キラ・キリィなのだ」
「「「「「はぁ?」」」」」」
サラ以外の皆が何を言ってるのかという反応だった。
「キラとは直系の王家の名だしキリィは王族の意味では?」
セイバスがそう言うとロードは首を振った。
「それは王家が女神の名からちなんでそう名乗ってきたにすぎないのだ」
「父上は王家の伝承にある…女神キラの再来の事をいってるのか?世が泰平を迎えた時に再び現れると言う…父上はまだそんな夢物語をこんな時にまで!」
バートは呆れた様に言った。
そうなのだ、ロードは『泰平の世がくれば女神キラが再来する』とバートがまだ幼い頃からずっとまるで少年のように瞳を輝かせながら語っていたのだ。
そんな子供っぽい父がバートは好きだったが今はそんな迷信めいた話は関係ないだろうと思った。
だが、ロードは大まじめに言葉を続けた。
「…がう!夢物語などではない!…いや、正直、私もあの三歳のラーラと女神キラが同一とはおもえなかった。あの子が自らキラ・キリィと名乗ってもだ…しかし、あの子は消える前に言ったのだ。自分には大人だった記憶があるのだと…」
「え?ラーラ自身がキラ・キリィと名乗ったと言うのですか?」
バートの言葉にロードだけではなくサラも頷いた。
「わたしはその伝承が真実だと思っていたからこそこの世を泰平の世にすべく尽力した!そして退位した後も文献や遺跡に残された謎を紐解き必ずや女神の再来に待見えるのだと…そう思ってきていたのに…再来した女神を…ラーラを望まず悲しませ出て行かせてしまった」
ロードは苦し気にそう呟いた。
「し…信じられない…いや、しかし、それが本当なら”王家の縛り”にも何にも捕らわれない事も…そうだな…王家直系の我らの魔力よりも純粋なあの白金・白銀の光にも納得できるかも…」
バートがそう呟くと周りの皆はそれぞれに思い当たる節があったのか考え込むように黙り込む。
あの人とも思えぬ美しさ。
あの魔力の輝きと魔力量。
あの優しさ。
あの大人顔負けの賢さ。
「あの子はわたしの事が異性として好きだと…だが私は娘としか思えないと…」
ロードがそう言うとサラが間髪入れずに言葉を挟んだ。
「っ!何故、ラーラ様を受け止めて差し上げなかったのですかっ!」
「「「「えええええっ?」」」」
これにはサラ以外の皆が逆に驚いた!
いや!これはロードの言うのも仕方がないではないかと皆は思った。
「なっ!だって娘だと思っていたのだぞ!たとえ、まだ日は浅くとも私はあの子を真実我が子として愛しんでいたんだぞ!いきなり女性として受け止められるかっ!」ロードもっともな事を言った。
しかしサラは納得しない。
「中身は大人だったのでございましょう?もともと王族の結婚なんて二十や三十の歳の差だってありなのですからラーラ様がそれで幸せなら受け入れて差し上げれば良かったのですわ!娘も
嫁も家族になり同じ家名を名乗るのに対した違いはないでしょうにっ!」
「「「「「い!いやいやいやいや!」」」」」
これには王も家令も侍女ズも声を揃えて異を唱えた!
「サラ!ラーラが居なくなって狼狽えているのは分かるがそれはどうかと思うぞ?」とバートが言う。
「息子よよくぞ言ってくれた!そうだよな!」
「当然です!あの天使のようなラーラと強面の父上では見た目からして耐えがたいものがあるし、私としては出来ればそんな夫婦は見たくない!それだったらまだ弟のテリュアスとの方がまだ許せると言うものだ!」とバートが本音で言うとロードはむっとした。
「何だと!強面で悪かったな!俺だってラーラが幼子から少女に育ってしまった時には、お前かテュリアスの許嫁になれるようにした方がよかったのかと悩んだわ!だけどな!ラーラは中身が大人だったんだよ!大人なラーラはお前らじゃなくて大人の俺様がいいんだとよっ!」
売り言葉に買い言葉…というべきか…。
「そうですわっ!分かってらっしゃるじゃないですかっっ!ラーラ様は誰でもないルゼルジュ様!いいえ!ロード先王陛下が好きだとおっしゃったのでしょう?今からでも探し出してラーラ様をお嫁さんにしてくださいませっ!」
サラがたたみこむようにまた、のたまう!
「「いや!ちょっと待てっ!そもそも娘と嫁では大分違うぞっ!」」
さすが親子というべきか一糸乱れぬ一言一句違いなくロードとバートがサラの言葉に反論した!
この不毛な会話に家令と侍女ズは、半ば呆れながらもラーラの身を案じていた。
「セイバスさん、ラーラ様はあんなにも美しいのですものいくら瞳の色や髪色を変えたところで目だってしょうがないと思いますわ!」とソラが言う。
「そうそう!あんなに美しいラーラ様ですもの危ないですわ!だって、サラ様のお話では長い間あの卵の中で何百年とも何千年とも分からない程の長い時を眠りにつかれていらっしゃってきたらしいではないですか…今のこの世界の事はまだ何も分かってらっしゃらないのですもの」ドレンの言い分ももっともだった。
「すぐにでも手分けして探しましょう?セイバスさんは警備の騎士さま達にお声掛けして下さいませ!」とミーファが言うと家令のセイバスは大きく頷いた。
「そうだな、お前たちの言う通りだ。わたしは早速、警備の方に捜索の届を出して自分でも探そう。お前たちは侍女連盟の仲間たちにも声をかけて姫様の捜索に力をかしてもらってくれ!侍女連盟はとにかく情報源の宝庫だから人探しには強力な助けになるだろう?」
「さすが!セイバス様!じゃあ侍女連には私から!」ミーファが胸をたたき、部屋を飛び出た。
「私達も暗くなる前に、街にでて探してみますわ!」そういってドランもソラも飛び出していった。
そしてセイバスも!
駄目もとでも何でもすぐに動い他召使たちの行動は早かった。
そしてこの時、この瞬間、この国の先王と現王と騎士の三人は、ラーラは意外にも、現状、役立たずだった。
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