不死(黒騎士)ですがPT入ってもいいですか?おまけに駄女神(アイテム士)ついてきます。

比菜々芽

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1章

喧嘩してもいいですか?

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 ――落ちていく最中、

下の方に視線を向けると穴が見えた。
ああ、このままあの穴に入ると、現世に戻れるのであろう。

 穴を出ると、恐らくだが森林上空に俺は浮いていた。

「あーうん、これは……落ちてるな」

 浮いてるのではなく、正確には現在進行形で下に向かって落下を開始していた。

「うわあああああああああああああああああ」

「ぐはっ!?」

 木々を経由しつつ、見事に地面に体を激突させる。

上空と言ってもそこまで高くはなかったのか、
丁度真下にあった木々が衝撃を緩和したのか、
思ったよりは軽症の様だった。

「いたたっ……、不死じゃなかったら即死だったぜ――ぐふっ!?」

「ふぎゃっ!」

 落ちてまもなく、遅れ気味に駄女神が俺の腰目掛けて落下してきた。

「…………ッッッ!!!!」

 予期せぬ衝撃に、声もだせずその場にのたうち回ってしまう。

「いっってぇ!? どこ落ちてんだよこのアホ!」

 俺は立ち上がり、痛みの元凶に文句を垂れる。
目の前には俺を生き返らせてくれた、もとい余計な呪いを押し付けた、
アルマドール……なんだっけ、アルマがいた。

「うるさいのじゃ! 元はと言えばおぬしのせいじゃ!」

「あのときお前がワシに引っ付いたせいでなあ、

おぬしの不幸が移ったんじゃ! 絶対おまえのせいじゃこの疫病神!」

 顔を真っ赤にして、こちらを指さし、地団駄を踏む女神。
この駄女神様は、自業自得という言葉を知らないらしい、
俺も巻き込まれた怒りを我慢できず、反論する。

「人を疫病神扱いしやがって! どうみてもお前の日ごろの行いが悪いんだろうが! この泣き虫チビ女神!」

「き、貴様! 言ってはならんことを……っ!」

 顔をぷるぷると震わせ、完全に怒りに震える女神。
その表情には恥ずかしさも感じられたようだった。
どうやらお互い相容れない状況のようだ。

 両者睨み合い、まさに一食触発の危機だった……

「こうなったら、戦うしかないようだな?」

 背中から剣を抜き、剣先をアルマに向ける。
だがアルマも臆する事なく、にやりと笑う。

「おぬしとは気が合わんと思ったが、どうやらそこだけは馬が合うようじゃなぁ!
じゃがいくら不死になったとは言っても、所詮低レベルの雑魚が、
このレベル1000の女神"アルマ・ドール・ディザスター"様に勝てるかなぁ? あぁん?」

 メンチを切り、こちらを睨み付けるアルマ
だが自分より小柄な少女のメンチなどまったく恐怖を感じなかった。
何がレベル1000だ。こっちは不死だぞ。舐めるなと言いたい。

「ふっ、死すら超越した俺にレベルなどという概念は通用せん。駄女神よ、ここが貴様の墓場だ」

 若干恥ずかしいが、
俺はかっこいい台詞セリフを言いながら、剣を両手で構える。

「足めっちゃ震えとるけど……」

 だが俺の足は限りなく、そして激しく震えていた。

「こ、これは武者震いというやつだ!」

 だってしょうがないよね!俺レベル15ですよ!レ・ベ・ル・15!
レベル1000!?めちゃくちゃ高くありません?985レベル差あるんですけど!

 いくら不死とはいえ、常識的に考えてレベル差がありすぎる。
啖呵を切ったのはいいが、勝利の目はかなり薄かった。
チャンスがあるとすれば――

「あ、上空に女神のお母さんが!」

 明らかにバレバレの嘘だが、もはや一か八か不意打ちに賭けるしかなかった。

「ひっ! 母上!?」

 だがアルマもお母さんの存在には抗えなかった。
一瞬の生まれた隙に、俺は一気に距離をつめ大剣を横なぎに振るう。

「くたばりやがれ邪神!」

 天使のような美しい容姿をした少女だが、
中身は残忍で人を騙す邪神、一切の躊躇はない。
食らうがいい、俺のの一太刀を!

「ふんっ! やはり俗物は俗物じゃのう? 人間の猿知恵など読み読みじゃ! ガハハ!」

 油断していたと思ったアルマは、余裕の笑みを浮かべて魔法陣を展開した。

「何っ!?」

「この反射型機雷魔法陣はなあ! 殴った相手にワシの魔力をそのままぶつける魔法じゃ!」

(まずい、このままではやられる!)

 そう心の中で思ったが、もう既に剣は止められない。
剣先がアルマの魔法陣に触れた時、俺は死を覚悟した……。

「このまま吹っ飛ぶがいいわ! このぞくぶ――」

 爆発とともに白煙が舞い、周りを包み込む。

「って……あれ?」

 だが俺は怪我もなく無傷で、ていうかむしろあいつがいなかった。
 視界が開けるとそこには思いっきり飛ばされるアルマの姿が見えた。

「ぬわあああああああああああああああああっ! ぐふっ!」

 どうやら右腕から出した魔法壁で、斬撃を受け止めようとしたアルマは、
剣の勢いを押しとめれず、吹き飛ばされ木の幹に打ち付けられていた。

「ぐええ……」

「えっ、弱」

 一か八かの不意打ちがまさかの成功し、
しかもわりと効果的なダメージを与えてることに驚きを隠せない。

「あ、あれ? ワシめっちゃ弱くなってない?」

跪き頭を垂れるアルマ、彼女も予想外の自体にショックを隠せないようだった。

「そ、そんなはずは……、ら、らいぶらり!」

 顔を上げ、ライブラリを唱えるアルマ。

「う、嘘じゃろ……?」

 ステータスを確認した彼女の顔は、
先ほどよりもさらに重苦しい表情をしていた。

「ワ、ワシ、レベル1になっとるううううううううううううう!」

 少女の悲痛な叫びが森全体に響き渡った。

「あ、あのーディルムさん……ワシ母上に力全部取られたっぽい」

「えぇ……」

 先ほどの態度とは打って変わって、
左手を頭の後ろに当て、物腰低そうに話すアルマ。

「あのー提案なんじゃがー?」

「やっぱりお互い手と手を取り合い、この世界を生き抜かんか……?」

「ほ、ほら! 一人よりパーティのほうが効率いいじゃろ? ワシが後方で魔法支援してやるぞ?」

 明らかに低姿勢な少女の姿を見て、悪戯心に火がつく。

「えぇー!? どうしようっかなー? 

「さっきアルマさんに疫病神とか、雑魚とか言われたんだけどなぁ!?」

「うぅ!」

 自分の発言を悔いてるのだろうか、うつむく女神。
もちろんこいつに悪戯心で済ませるつもりはない

「そのまま許すってのもなんだかねぇ? 

「レベル1000の最強アルマさんだからこそできる誠意てのがみたいなぁ……?」

「くぅ……ど、どうしたらいいですか、ディルムさん……」

 もじもじしながらどうみても慣れない敬語を使うアルマ

「物知りの爺さんに聞いた話だが、遠い遠い東にある和の国では、

「謝罪をするとき土下座というものをするらしい、勿論女神のアルマさんなら知ってるよな?」

 土下座とは、ひれ伏して、地面に頭を着けて行うことらしい、
実物を見た事はないが、プライドが高そうな人間にやらせるのは結構羞恥だろう。

「ま、まさかっ!? その土下座をワシにやれと……?」

 アルマはものすごい嫌そうな顔で尋ねる。
予想通り土下座というものは、彼女にとって屈辱的なもののようだ。

「土下座が見れないと、アルマさんには協力できないなぁ」

「ぐぅ……き、貴様この女神にそんな羞恥をさせるとか! 何様のつもりじゃあ!」

 顔を赤らませ、怒号を散らすアルマ

「――じゃあこの話はなかったということで」

 交渉は不成立ということで、その場から立ち去る事にした。

「わ、わかったわかった! やるから! 待ってほしいのじゃ!」

「よし、じゃあお願いします! いやーレベル1000の土下座、さぞ立派だろうなぁ」

 なんだか、すごい屈辱的な顔をした人間から、
殺気のようなものを感じるが気のせいだろう。
彼女のためにも、盛り上がるだろうし、手拍子で土下座を急かす。

「どーげーざ! ハイ! どーげーざ!」

「ぐぅうっ……!!!」

 歯軋りを立てながらアルマは足を地につけ、頭を地面につける。

「えぇー……このたびは……――ませんでした……のじゃ」

「んー? なんて?」

「……レ、レベル1の最弱女神が……ぐぅぅ……調子乗ってす、すみませんでした……のじゃ」

 表情は見えないが、地面に爪を突き刺して、
必死に怒りを押さえ込もうとしてるあたり相当なもののようだ。
プライドの高い女神の土下座も見られて、俺としてはかなり満足できた。

「よし、満足したし帰るかー」

 ひれ伏しているアルマはそのままにして、とりあえず帰る事にした。

「なぁ!?」

 呆気にとられて、口をポカーンと開けるアルマ

「ま、待つのじゃあ! ちゃんと土下座したじゃろ!」

 非力な少女が足元に必死にしがみつき、地面に引きずられていくのがわかる。

「いやあ――土下座したら仲間にするとは言ってないしなぁ」

「後生じゃぁ……、一生のお願いじゃぁ、ワシを置いていかんといてくれぇ……」

 俺は悲痛な呼び声など無視して、少女を引きずっていく。

「うぅ……ひどいのじゃぁ……鬼畜悪魔……うぅ! うわああああああああん!」

「うるさっ!」

 挙句の果てには泣き始める始末だ……。
悲痛な叫び声が森全体に響き渡る。
うるさい……そしてこのままだと魔物に感づかれてしまう。

「はぁ……もうわかったから……仲間にするから……泣くのはやめてくれ……」

 騒音という名の音響兵器に俺の心は折れてしまう。
というか英雄を目指すこの俺が、
少女(元女神)を置き去りにしては目覚めが悪い。
俺は足を止め、アルマの方向を振り向く。

「ぐす……うぅ……ほ、ほんとかぁ?」

 涙を手で拭い、うるうるとした目でこちらを見つめるアルマ

「ああ、お前にかけられた呪いもあるしなぁ――」

「うぅ!」

 そうだ。こいつには不死者という加護を受け取ったが、
その代償として、とてつもなく運が悪くなる呪いを受けている。
で恐らく現在進行形でこいつに絡まられてるのがまさに不幸だろう。
早いところ治したいのが現実だ……

「正直一人でどうにかしようと思ったが、こうなったらお前にも協力してもらうぞ」

「ま、任せるのじゃ! 今は無理じゃが……な、なんとかしてみせるぞ!」

「お、おう……」

 アルマは自信なさげな表情で答える。
あまり期待はしてないが、大丈夫だろうか?

 一悶着あり、ようやくディルムは帰還のため街へと歩き始めた。
後ろに駄女神を引き連れて……
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