猫かぶり令嬢の婚活〜もう誰でもいいから結婚して〜

微睡

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お茶会での邂逅-前-

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結婚相手を探すのなら、やっぱりお茶会である。

もちろん、この前のように夜会で探すのも悪くはないが、頻繁に夜会に参加していると遊んでいる風に見られてしまうし、夜は一夜限りで、とそういうお相手を探している人もいて変にトラブルに巻き込まれてしまう危険がある。

その点昼に行われていて、ご夫人方が参加者の多くを占めるお茶会はハードルが低い。

もちろん男性はそれぞれの場所で仕事をしているし、そう何人も参加しているわけではない。

なのに出会いへと近づくためにお茶会を外せないのは何故か。

ズバリ!お世話好きなご夫人と仲良くなって良いお相手を紹介してもらうのである。

そういう場合はお互い顔を立てるという意味で、紹介する側も受ける側も前向きなことが多い。縁談がまとまりやすいのだ。

今日の主催はブラウン侯爵夫人である。

ルカが家に届いていた大量の手紙を吟味しまくって見つけてきたとっておきのお茶会だ。

ブラウン侯爵夫人はお洒落好きで社交会ではいつも流行の最先端にいるお方である。王妃様のお喋り相手をされているし、商会や教会にも関わりがあってとにかく顔が広い。

トレンドを掴みたいものにとっても、ルカのようにお相手を探す若者にとっても人気で、正直うちが招待をもらうことが出来たのも奇跡と言って過言でない。

あとは夫人と話すことさえ出来れば。

___いける!


手入れの行き届いたガーデンは花に彩られ、お菓子の乗ったテーブルがいくつも置かれている。

席に着くと皆それぞれ、好き好きにお喋りを始め、
ルカは何度か話したことのあったご夫人に付いて、ブラウン侯爵夫人の近くに陣取ることに成功していた。


「あら、あなたは確かヘルキャット家の…」

「ブラウン侯爵夫人、今日はお招き頂いて光栄ですわ。ルカ・ヘルキャットと申します」

ルカは微笑んで軽くカーテシーをすると、夫人は少し驚いたようだった。

「まあ、噂通りに素敵なお嬢さんね!ルカ様、ここではキャロルと呼んでくださってよくってよ。今日はどうぞ楽しんでいってね」

「ありがとうございます。」

この噂というのは、妙に美化されたルカの噂のことだろう。
よく居る金や茶の髪と違ってこの国では珍しい黒髪は随分目立って見えるらしく、たまにそういう風に言われることがある。

ブラウン夫人はにこやかな優しい雰囲気を持った方で少しホッとした。

参加者の多くは顔見知りか、常連のようで「ごきげんよう」と簡単な挨拶を交わし合っている。


___さあ女が何人も集まれば流行りのドレスの型や、街で人気の恋愛劇の話まで話題は尽きない。
(特にどこそれの吟遊詩人がカッコいいという話の時は、みんな熱が入ってキャーキャーと盛り上がった)

新参者のルカはとにかく微笑んだり、時々相槌を打ったりして過ごした。

会話も大分弾んだ頃、一人のご夫人が声を潜めた。


「そういえばもうお聞きになりまして?…近々、マリアーナ様がご婚約されるそうよ」

「まあ、プリストン侯爵家の?」

「何ですって、マリアーナ様は王太子殿下の妃候補だったはずでは?殿下はまだ妃選びをしていらっしゃらないし」

「ええ、ええそれが…マリアーナ様が隣国に留学された時に、なんとそちらの方と恋に落ちてしまったとか」

「恋!?」「ええ?」


さすがにルカも驚いて目を見開いた。
それが本当ならとんでもないスキャンダルである。

「お2人は本当に愛し合っておられて、マリアーナ様はまだただの候補だから、と我が国で暮らすことを条件に特例で仲を認められたそうよ…」

候補とはいえ、王家に入る可能性があって専門の勉強もしてきただろう女性の恋愛結婚が認められるなんてそうそうあるわけが無い。よっぽどの熱愛だったに違いない。

「もちろん、褒められたことではないけれど、そこまでの方に出会えたのは素敵ね…」

「きっと運命だったのよ!」

きっと望まないとしても家のために政略結婚をしてきたのだろう、ご夫人方がどこかうっとりしている。

確かに良くある恋物語のような話だ。


___運命。運命の相手ね。

本当にそんな相手がいるのなら、勿体ぶらずにさっさと現れて欲しいものである。

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