猫かぶり令嬢の婚活〜もう誰でもいいから結婚して〜

微睡

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お茶会での邂逅-後-

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「ギルバート様は今日はお仕事がお休みなのですか?」

「ええ、まあ。とは言っても王宮には行かずとも、うちでこき使われているのですよ」

冗談まじりにそう言ってギルバートは肩をすくめた。

「まあ、きっとご家族も頼りにされているのね。学園でだって成績は一番だったとお聞きしましてよ」

「ほんとですわ。うちの息子にも見習ってほしいくらい」

「いやいやそんな…母にはいつも気が利かない、可愛げがないとまだまだ怒られてばかりです」

「ふふ」「キャロル様ったら」

ご夫人方はギルバートをとり囲んで次々に会話を繰り広げている。
先程までの、お茶を啜ってゆったりのんびりしていた優雅な姿はどこへやらである。

ルカは気圧されて、会話に入ることを早々に諦めた。

身分の高くて若い男性とはいっても、ギルバートには由緒正しきお家の婚約者がいたはずなので、婚約者候補にはならない。

___まあ仮に婚約者がいなかったとしてもたぶんいろいろと無理だっただろうけど。

だから学園で騒がれていたといっても、婚約者のことは周知の事実だったのでほとんどみんな遠巻きに黄色い声援を送っていた。

その分、ギルバートの隣にいたアシュリー公爵にお手紙やら愛の告白やらが殺到していたが、大体は氷のような視線で女の子を泣かせていた。

友人が一度だけでも声を掛けてみようよ、などと言った時、ルカは必死に拒否したものである。
あの絶対零度の視線を進んで浴びたくはない。


「___ルカ嬢もやはり花束が良いと思われますか?」

昔のことを思い出していたルカは突然声をかけられて固まった。ちょっと考え事をしていましたとは言えない。

「あ…え、えーと」

「婚約者へのプレゼントは花束が喜ばれるとお聞きしたのですが、迷っているので他の方のご意見も伺いたくて」

「…」

思わず口ごもるとギルバートがわざわざ言い直してくれた。

___ウッ聞いていなかったのがバレているような…
ルカはとりあえず今考えていたかのように取り繕った。

「プレゼントですよね……そうですね、花束も素敵ですけど形に残るものもきっと嬉しいと思いますわ」

「形に残るもの…?」

「ええ、花は綺麗ですけど枯れてしまいますもの。せっかくのプレゼントがなくなったら悲しいですわ……普段身につけられるアクセサリーなど喜ばれるのではないかと思います」

「なるほど、確かにそうですね。アクセサリーも豪華なものではなくて、服を選ばないもっと気軽なものがいいかもしれないのですね」

とっさに口を出た言葉はどうにか間違ってはいなかったようで、ギルバートは納得してくれたようだった。

___あー焦った…

ルカはほっと息をつく。


「そうだ、ルカ嬢は今一番何が欲しいですか?」

「……わたくしですか?」

何を思ったか、ギルバートはまたルカに質問を投げてくる。この中では歳が近いので親しみを感じているのだろうか。

___うーん、いま欲しいもの。

「良い人かな…」

「え?」

欲しいもの、と聞いてぱっと頭に浮かんだのは今まさに探している最中の理想の結婚相手である。
でもまさか「結婚相手が欲しいです!」なんて大声で言えるわけがない。

「あ!いや、良いペンが欲しいと言ったのですわ!最近お気に入りのものが壊れてしまって。おほほ」

「それは残念でしたね…」




そうしている間に用事を済ませたブラウン夫人がまた戻ってくると入れ違いにギルバートは去っていき、しばらくしてお茶会は無事に幕を閉じた。

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