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孤児院での遊び
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「おねえちゃーん、こっちに来て一緒に遊ぼうよー!」
「早く早く!」
「わかった!わかったからそんなに引っ張らないで~」
小さな手に引かれるままに連れ出される。
毎度のことに苦笑している院長先生にルカはとりあえずペコリと頭を下げておいた。
連れて行かれた部屋にはもう随分使い古された子供達のおもちゃが転がっていた。今までここでみんなで遊んでいたようだ。
「今日はなにして遊ぶの?」
「あれがいい!」
「ポン!ってやつ!」
「違うよーホイ!だよ」
子供たちがあれやこれやと言い合いながら目をキラキラさせて見上げてくる。
「じゃんけんのこと?」
ルカは屋敷のほど近くにある街の孤児院に来ていた。
ここは昔から実家が寄付をしている孤児院で、主に独り立ちできない年齢の身寄りのない子供を引き取っている。小さな時はここで面倒を見て、成長すると領地での事業や工場で働いてもらう持ちつ持たれつの関係だ。…もちろん強制ではなくて本人が望んだらの話だが。でも実際孤児の子たちが良い職場を探すのはなかなか大変なので働かせてほしいという子も多い。
そういう訳で家の事業の一環ともいえる孤児院を視察___という建前で可愛い子供たちの顔を見に来ている。
そうすれば父にも何も文句を言われることはない。護衛という名の見張りを付けられているが、そこは自由な時間を確保すべく、私の言うことが聞けないの?と脅し、院の中でのみ部屋の外に追い出すことに成功した。
素直な子供たちと接しているのは、気楽で思いの外楽しい。自分自身の息抜きにもなる。
初めは人見知りをしていた子供たちもだんだん慣れてきて、気付けば誘われて一緒に遊ぶことが増えていた。
使用人に以前聞いた手遊びをいくつか教えて以来は、ルカが来るのを随分楽しみにしてくれているらしい。
「行くよ~じゃあ隣の人と向かい合ってね」
「はーい」
「準備はいいですかー?」
「はーい」
「せーのっ」
「「じゃんけんポン!!!」」
「あ、負けた」
ルカが近くにいた男の子と向き合ってタイミングよく手をチョキに出せば、相手は手をグーに握っていた。
「やったー!」
男の子は嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねている。ルカは微笑ましくなって、つい頭を撫でた。
「よし、じゃあ今日は新しい遊びをしよう」
「新しい遊び?」
「そう!じゃんけんで勝った人はこうして、好きな方向を指差すの」
ルカはせーのでタイミングを合わせて右を指差した。すると子供たちは何かあるのかとそちらを向く。
みんな揃ってつられているのがおかしくてちょっと笑ってしまった。
「じゃんけんで負けた人は顔だけで好きな方向を向いてね。指で差された方を向いてしまったら負け」
これは「あっち向いてホイ」というゲームらしい。通いのメイドでまだ小さい子供がいるアンナが、子供でもできる簡単な手遊びなので孤児院で使えるのではと教えてくれた。
新しい遊びに子供たちは大盛り上がりで、好き好きに相手を捕まえて遊んでいる。いつも院の中でお人形遊びや追いかけっこをしている子たちにとっては、ルカが持ってくる外の遊びは新しくて面白く感じるらしい。
「わっ」
ルカが様子を見守っていると腰のあたりにどんっと衝撃を感じた。
見ると、まだ5歳くらいの女の子がルカの腰に抱きついている。
「どうしたの?」
「おねえちゃん、まだ帰らない…?」
「まだもう少しいるよ」
お別れをする時のことを考えて今から悲しくなってしまったらしい。女の子はしゃがんだルカの胸に飛び込んできた。
「大丈夫!また来るからね」
___本当は絶対来られる、なんて保証はない。
だけど今はまだルカもそう思っていたかった。
子供たちはルカを貴族だなんだと肩書きに当てはめて見たりしない。ただ純粋に慕ってくれている。
院長先生も最初は遠慮のない子供たちに真っ青になって注意していたが、ルカ自身が気にしていないと何度も伝えると今は好きにさせてくれている。
まだ幼い子が多いので、あまり分かっていないという方が正しいとは理解しているが。
___なんでこんなに嬉しいんだろう。
ルカは腕の中のぬくもりをぎゅっと抱きしめた。
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