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「ごめん、ちょっと気絶してた。」

「可愛かったからいいよ!」

「もしかして気絶している間に落書きとかしてた?」

「してないよー。
 身体を蹂躙しただけだよー。」

 それ大丈夫ではないよね。
 服は多少乱されている。
 確実にまさぐられたであろうに、下着もしっかりとずれていた。

 どこまで蹂躙されたかが気になる。

「大丈夫だよ。
 エレンツォの体力が減るようなことはやってないから。」

 えっと、出すものは出していないと。
 そうおっしゃられるのでしたら、構いませんが。
 口元についている白い液体は何でしょうか。
 持ち物に牛乳や羊乳は持ってこなかったはず。
 その白い液体がどうなのか気になるものは気になります。

「口元についているそれはなにかな?」

「えっと?
 ミルク?」

「ダウト。」

 R指定喰らう。
 この業界ではNG。

「はーい。」

 なんかどっと疲れた気がした。
 
「はあ、話を戻すけどそれは何?」

 ツボのような土台が作られ、焚火がいくつも炊かれている。

「さて、ではその質問に答えるために必要なことをお聞きしても?」

「なんか、始まった。
 ではどうぞ。」

「むむー。」

 ノリが悪いと言われたいのだろうか。
 このくだりはなんとなくわかる。
 アニメではなく、ある男の人生映画ってところか。

「じゃあ、こう言おうか。
 このタンドリーコウモリはどこに盛る?」

「皿が無い。」

「はい。」

 紙皿を渡した。

「ありがとう。」

「需要と供給だ。」

「ムムムー。」

「はいはい。」

「なんでわかったー。」

「私はこれでも元王族で、社会人歴がアンズさんよりも長い人ですよ。
 商人としての基本中の基本の映画見なくてどうするんです。
 それに、面接ではこの手の質問が沢山出てきます。
 その分勉強を行いましたし、覚えていないわけがないでしょう。」

 面接時の常套句として、その場にあるモノを売ってくれとの質問がある。
 社会科で習ったことを瞬時に紐づけることが出来れば、すぐでも正解に近しい答えが出てくるはずだ。
 そこのあたりは営業マンとして、一社会人として引き出すやり方は理解しておかねば矜持が果たせない。

「僕の負けだー。
 でもあれってR18の映画だったよね。
 僕以外の女の人の裸を見たんだね。」

「あ、ハイ。」

「ふーん。
 今日は寝かさないから。」

「ハハハ、お手柔らかにね。」

 そうこうしている内に、アンズさん特製のタンドリーコウモリは出来上がった。
 風味はタンドリーチキンそのもの。
 給食などで出されるスパイスを抑えた物とは違い、本場のお店と同じような刺激的な香りが食欲をそそる。
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