換金スキルとショップスキルでバグ技大金持ち〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~

スライム道

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「ふう、今日も病院か。行ってきます。」

学生服に袖を通す。
もう新学期の春だ。
勉学に専念する青春の花の高校生1年生だ。

花の高校生は誰もいないマンションを後にする。
今日は定期検診に行く日だった。

俺は特に命に関わるような病気を持っているわけでも無ければ大きな怪我をしているわけでもない。
ただ世間で見れば白い目で見られる傷を負っている。
簡単にいえば俺の背中には鬼がいる。

刺青?

確かに刺青を彫る際にできる傷でもあるが俺の場合刺青などは一切していない。
医者が言うには帝王切開で生まれてきた俺はどうにもその際に小さな医者も見逃すような傷を負いそれが火傷跡のよう広がったらしい。

日に日に傷跡は大きくなり背中を覆った。
そしてあってはならない奇跡は起きた。

傷跡が虎を狩りし鬼のようにかたどられたのだ。

医者も手術を施そうにもあまりにも大きく広がってしまった傷跡は切り取るにはあまりにも切除箇所が多く埋める皮膚が足りなかった。
もちろんドナーカードも存在する。

「俺の場合はね…………」

家族とすら組織が適合しなかった。

DNA上は確かに親子のはずなのに一切受け付けない。

拒絶反応の方が大きかった。

「このまま化け物のまま生きていくさ。」

皮肉を込めてずっと自分に言い聞かせてきた。
そして今日も又定期検診で病院に行く。
皮膚科の先生は気のいいおばちゃんで見た目に対しては特に気にしない。
医者という信頼感もあり心が許せる人物の一人だ。
おばちゃんが言うには何百何千もの患者を診てきてはいるが俺みたいな広がり方をするのはレアケースみたいだ。

「ほいほい、刀赤(とうせき) 幹(みき)君ですね。いつもの定期健診ですね。
 リザペンとステロイドを使用してるけど頻繁に小さい方が多く出るとかの症状は無い?」

「特にありません。」

「じゃあいつもの薬出しておくね。
 状態はいつもと変わらないみたいだし悪化はしてないから治療できてるとはいえるけどこのまま完全に消滅するかは正直言って解らないかな。」

「大丈夫ですよ。生涯独身と決めていますから。」

「最近の若者にしては枯れてるね。ま、他の人のところでも見てきな。
 それと今転院してきたんだけど可愛い子が来てるよ。屋上に居るだろうし拝んできたらどうだい。」

おばちゃんあんたは色恋沙汰ぜってえ風のように広がらせるだろ。
いくら美少女だからってお近づきに成れると思うほど俺の神経は図太くない。

「興味ないですよ。」

「ま、あんた以上に苦しい子だから少し見てやってきて欲しいってのが本題さ。
 あんた学校行っているんだろう?あの子はそれすらできない子なんだ。
 だから聞かせてやるくらいのことはできるだろうよ。」

「話しかけることはしませんよ。」

「いいんだよ。学生服着てるあんたが居るだけであの子は興味持ちそうだからね。
 ああ、あと言い忘れてたけど私は心療内科も受け持ってるからね直感は当たるもんだよ。」

そうですかと思いつつ屋上へと足を進めていく。

「うーん、なんで病院の屋上ってシーツ干してるイメージあったけどここは最新鋭だから乾燥機でもあるのかね?」


どことなく大きな鉄格子を連想される大きく隙間がとても小さな柵を見ながらさながら監獄だなと感想を抱くと件の美少女と呼ばれる人物を見つけた。
正面を見れてはいないが確かに美少女だった。
なんとなく見ただけで分かったがアレはカツラをしている。
若干茶色がかかった眉毛をしていることと髪が黒過ぎた。

「ふーん。」

まあ拝むだけ拝んだし帰ろうかなと思っていると彼女は顔を上げた。

「あの、あなたは?」
「ん?ここに通院してる人だよ。」
「こんな大きな病院に来てるなんて…………見たところ怪我はしていませんけど何かご病気で?」
「病気といえば病気だし怪我と言えば怪我かな。」
「あの大変不躾なのですがどのような病気なのか教えていただけますか?」
「言わない。」

何が楽しくて病名を言わなければならないのか自分とそう大して変わらない学生に病名を言ったところで理解しようとする人なんていない。
所詮は他人だから。
他人の心配をしてる暇があったら自分の心配をする。
大人だってそうなんだ。
下手な同情なんて期待をしてしまうだけ。
何にもないんだ。
何にも。

「そうですか。私は16歳まで生きられるかどうかわからない身体で生まれてきました。
 病名も私には難しすぎてわかりません。
 なので私があなたの病名を聞いてもわからないかもしれません。」

「そっか。」

「…………同情はしないんですね。」

「するわけないじゃん。
 するだけ無駄だし君には君の人生がある。
 ある意味喜ばしいことになるんじゃないかな。」

「喜ばしいですか?」

「たった16年で人生を楽しめるんだから。」

「そんなこと言う人は初めてでしたよ。」

当然だろうに医者はあくまでも国民の中でも公務員というカテゴリに入っている。
個人の感情を持っているとはいえお金のためになることが大切なのだから仕事はやって当然。

「ならさ、君は望みもしない、誰も悪くないのに指を刺される人生を残り65年、生きたいと思うかな。」
「え?」

俺はそういって抜け出した。
もうこの子に話すことは無いと思いながら。

「ま、待ってください!
 もし、もし、私が次の誕生日、明日の4月29日を迎えて生きていられたら、16歳になれたら私とまたお話ししてください!」

歩みは止めることなく
振り向くことも無く
ただ
ただ
足を進めていった。

シャツの後ろからうっすらと見える鬼の影を虚ろわせながら。

「私の名前は加藤 明日香です。ずっとあなたを待っています。」
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