換金スキルとショップスキルでバグ技大金持ち〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~

スライム道

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かかってこいと言われては居るが一歩、間合いに踏み出した瞬間拳が眼前に迫る未来が見えている。

「どうした?」
「どうしたもこうしたもいくら攻撃しても解らないよ。」
「ふむ、視えるか。」
「なら及第点と言ったところかのう。
 しかしそれでは組手にならん。
 戦争じゃあるまいし。
 引いて駄目だとわかっていてもやらなければならないときがあるんじゃ。
 それの練習くらいに思っておけばいいんじゃよ。」

当たって砕けなければいけないとき。
そんなのこの現代には起こりえないことだと思っている。
でもじいちゃんはそういう経験を幾度となくしているから迫力が誰よりも違う。

戦いのたの文字も知らない人間に話しかけても解らない迫力が祖父にはあった。

「来る気が無いのならこちらから行くしかあるまい。
 護身術なら受け身が基本じゃろうしまずは一般的な襲われ方から教えるとするかのう。」

一般的な襲われ方なんて野暮なものではないくらいの威勢で砂、石を思いっきり投げつけられた。
一切分散することなく振るわれた一撃はそこらの野球ボールほどの小石以上の破壊力。
さながらミキサーのように細かく傷つけ削り取られ散る姿が容易に想像できた。

だから身を低くかがめて避けつつもじいちゃんの間合いに踏み込んだ。

「ふむふむ、良い護身の仕方だな。」

下がることはせずに踏み込んだ。
真の安全地帯は敵の中にあり

「しかしその歩法はまるで蛇のようだな。柔術の中に確かそのような歩法があった気もする。」

音もなく静かに忍び込み正面なのに死角から入るその歩法を知っている祖父はすぐに対処してきた。

正確には石砂を投げた時に既に仕掛けていた。

本来前に出る筈の足が蹴り成っていたのだから。

「ほれ、これで終わりじゃ。すまんかったのう、突《付》き合わせて。」

俺は思考が固まっていた。
じいちゃんに負けたことではなく。
じいちゃんに仕掛けられたときに数千の選択肢が頭の中に流れ込んできたから。

あの状況を打破するための手が数千にも及んで、自分の身体で行えることがこんなにもあったということに驚きを通り越して顔が無になっていた。

「まあ、今ので動けるのが分かったがまだまだ判断が甘いな。
 これからは少しばかり稽古をつけてやるから夜にはまた付き合いなさい。」

弄ばれ、見透かされる。
このおじいちゃんはいつもそうだ。
俺がいじめられて親にも諦めれたとき、
言葉を一切語りかけることもせずに
散歩がてら山に誘ったり、
焚火遊びをさせたり、
何も考えることをしないように配慮をしていたのだ。

でもそんなじいちゃんにも欠かせない日常の一部だけは自分のことがちっぽけに思えたことを覚えていた。

「わかったよじいちゃん。」

じいちゃんは自室に戻っていた。
そこで必ず線香をあげる。
もういないばあちゃんと数千人の遺髪が入れられた壺の前にずっとたたずんでいた。

戦争に巻き込まれたモノ
自分が殺めたモノ
犠牲になったモノ

全てに涙をこらえながらずっとたたずみ続ける。

それを毎日行っていた。

俺の心はじいちゃんに比べたら遥かに劣り弱いだろう。
ずっと見つめ続けることなんてできない。
目を逸らし続けている現状に何も変化が起きることは無い。

何故か、今になって変化に対する選択肢が見えた気がした。

この傷を治しても見えていたものが隠されてしまう。
だからこの傷を残してみよう。
それでも綺麗事を並べられる人が居たら。
きっと楽しいかもしれないな。

でもその期間を考えることができないでいた。

「答えは得たのかな。」

もう季節は初夏、天の川が見れる季節。
その星雲はおおぐも座、大マゼラン星雲の比ではないくらいの大きな星雲の集合体。

決して北半球で見ることのない星座よりも美しいもののはずなのに

「面白くない。」

大冒険家マゼランのように冒険心を持ってもう少しだけ前に進もうと思った。

「換金。」

劣等感
材料費0円
技術費 神貨 1枚

一枚コインが落ちてきた。

「購入。」

『ショップから神貨一枚を消費して昇華を購入されました。』

《牛の獣鬼一族の祝《呪》い》→《牛の獣鬼一族の祝い》

痣が消えたように感じた。
でもないと困ると思うと感覚が戻ってきた。

「ハハハハハ、コンプレックスが無くなると無くなるで本当にどうでも良いって思うんだな。」

以前は人と違うのがコンプレックスになっていたのに今はもうどうなっても良いと感じられるようになった。

『霊体の向上により並列思考が2倍の性能に成りました。』

もう一人の俺も増えた。

「じゃあ、今日も金を貯めてみるか。」

金が人を変えるというのなら既に持っていればいいだけのことだ。

「お休み。」

もうこの世界での目標は決まった。
世界を旅する。
ただ漠然と世界を旅する。

そのための貯蓄を異世界から貴金属を取って換金していこうと思った。
学園生活なんかどうでもいいと思えるくらいの世界を見に行こうと思った。

そう学園生活を脅かす神に匹敵する存在のことが来ていることを彼は知らない。

「moumou」

見つけた。
逃さない。
絶対私と一緒。
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