51 / 119
51
しおりを挟む
「お初にお目にかかります。
私(わたくし)、メアリー・クロスと申します。
ポジタット王国王族直轄近衛兵団騎士で現在はリザベル・マリア・ボジタット様の近衛騎士となっております。」
ヘルムを被ったままではあるが声の色と名前からして女であることは間違いないと思われる。
王女付きの騎士とのことだったのでそう言ったお世話も兼ねていると考えられる。
前回に居た騎士にはここまでの実力者は居なかったことから今日は本気でここに交渉しに来たのかもしれない。
気になったので盗賊の兄ちゃんに小声で聞くことにした。
「なんかまともそうですね。」
「ああ、前回は住んでいるところを確認するところまでが目的だったんだが結局発見できなかったこともあってな。
それにあの姫さんもお転婆だろ。
しかも王の末っ子でな。」
なんとなく察した。
末っ子は可愛がる親が多い。
ボジタット王国の王やその妃もその例に漏れなかったようだ。
「ねえメアリー彼は何を話しているの?」
「姫様には伝えなくても良いことです。
それよりも姫様、今回の要件を言うのが先では?」
「あ、そうだわ。
えっと命の恩人さん。
あなたを私のお家に招待したいのだけども良いかしら?」
「お断りします。」
「え?どうして?」
「姫様。いきなりこちらに来いと言っては相手側も何も準備も出来ていないですし本来こちらから謝礼の品を渡すのが礼儀です。
王宮にお招きするのは相手の生活に影響しない場合のみです。」
この騎士は他の人の生活をよく見ている。
辺境の方にも従軍か遠征にでも行ったことがあると見た。
「お金を渡せばいいんじゃないの?」
「姫様、都会で生活をしているモノにはそれでいいでしょう。
ですが田舎の生活はそんなに甘いものではありません。
もしもの時のために備蓄を常に作りモンスターに畑や食料を取られないようにするための罠を作成したりすることは幾らでもあるのです。
それにこの土地のような大変物流が薄い賢者の深淵大森林には戦闘商人しか訪れません。
ですので完全自給自足の生活を送っていると見られます。
服も上質な御召し物をご着用していることから技術は何から何まで職人クラスと見受けられることから
もし王宮に起こしいただ行くようなことが有ればボジタット王国オリハルコン貨幣を持ち出すかもしれないほどの損失を起こす責任があるんですよ。」
「ご、ごめんなさい。」
この騎士凄い勘違いしている気もするがそれだけ調べていることの証拠でもあるからそのまま勘違いしていただこう。
実際俺も面からシャツを作ることくらいのことは俺もできるので後で設備を整えないと面倒だなと思いつつこの場をそのまま乗り切れと思っていた。
「で、でもあなたにお礼をしたい気持ちは本物ですのでどうかお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
名前を聞くと来たか。
名を名乗るというのは相当なリスクだ。
特にこの世界では名前を知られると呪われる可能性のある呪術師なる職業が存在しているらしく用心深い人はほとんど偽名を使って生活をしているらしい。
「名前くらいいいと思うなかれですよ。
お嬢様。
申し訳ございませんが賢者の深淵大森林にすむ御方。
偽名で構いませんの御教えお願いできませんでしょうか。」
「何故名前を聞くのが行けないのですか?」
「メアリー上官俺も気になるんだが?」
「名前を知られるということは呪術師に呪われる可能性を秘めています。
だからそれを知っている人物はおいそれと名前を教えたりしないのです。
私ども貴族はそれらに屈しないという意味も込めて名を大々的に公表します。
ですが呪術師に名を知られる恐れがある以上一部の傭兵団などは貴族に名を明かすときは偽名でいることもあるそうです。
今では呪術師の数も減っており警戒する必要のないと言われてきていることですが先ほどからずっと我々の警戒している範囲を遥かに上回る規模で把握している御仁がこのことに気が付かないわけがありません。
元盗賊の彼からも聞きましたがこの賢者の深淵大森林には我々の予想を遥かに超える存在が数多く存在します。
隙をみせるような真似をすれば死ぬようなところに生きることを望んだ方々の誇りを汚さぬようにお願いします。」
誇りも何もないのだが。
まあ常時戦闘脳であることには変わりない。
元々いじめが過激化してきたころにはいつ暴力的なモノが来ても良いように身のこなしで対策をしていなければ当の昔に命を絶っていた状況であった。
「そうだな、名はドウジとでも言ってくれ。」
「……私…は…ミウス…でいい……。」
ミウスさんはそのままで通すようだ。
まあ神に近しい存在のようだし呪いごときにやられるような人ではないということだろう。
『お前も俺らがいる限り他の呪いにはかからねえがな。』
『餓鬼か。』
『俺様たちの呪いは人間どもの使うちんけなもんとは違う。
あのクソ牛に浄化されかけたが俺らの怨念は甘くねえ。』
『そんなふうに喋れたんだな。』
『っけ!俺はてめえの身体を乗っ取ることしか考えてねえよ。』
『それ言っていいのか?』
『どうせその牛が気づくからな。』
餓鬼と会話をしていると姫様は目を細めてこちらを注視していた。
「ミウスさんは実名なのにドウジさんは偽名なのが解せませんが名乗ってくれてありがとうございます。」
私(わたくし)、メアリー・クロスと申します。
ポジタット王国王族直轄近衛兵団騎士で現在はリザベル・マリア・ボジタット様の近衛騎士となっております。」
ヘルムを被ったままではあるが声の色と名前からして女であることは間違いないと思われる。
王女付きの騎士とのことだったのでそう言ったお世話も兼ねていると考えられる。
前回に居た騎士にはここまでの実力者は居なかったことから今日は本気でここに交渉しに来たのかもしれない。
気になったので盗賊の兄ちゃんに小声で聞くことにした。
「なんかまともそうですね。」
「ああ、前回は住んでいるところを確認するところまでが目的だったんだが結局発見できなかったこともあってな。
それにあの姫さんもお転婆だろ。
しかも王の末っ子でな。」
なんとなく察した。
末っ子は可愛がる親が多い。
ボジタット王国の王やその妃もその例に漏れなかったようだ。
「ねえメアリー彼は何を話しているの?」
「姫様には伝えなくても良いことです。
それよりも姫様、今回の要件を言うのが先では?」
「あ、そうだわ。
えっと命の恩人さん。
あなたを私のお家に招待したいのだけども良いかしら?」
「お断りします。」
「え?どうして?」
「姫様。いきなりこちらに来いと言っては相手側も何も準備も出来ていないですし本来こちらから謝礼の品を渡すのが礼儀です。
王宮にお招きするのは相手の生活に影響しない場合のみです。」
この騎士は他の人の生活をよく見ている。
辺境の方にも従軍か遠征にでも行ったことがあると見た。
「お金を渡せばいいんじゃないの?」
「姫様、都会で生活をしているモノにはそれでいいでしょう。
ですが田舎の生活はそんなに甘いものではありません。
もしもの時のために備蓄を常に作りモンスターに畑や食料を取られないようにするための罠を作成したりすることは幾らでもあるのです。
それにこの土地のような大変物流が薄い賢者の深淵大森林には戦闘商人しか訪れません。
ですので完全自給自足の生活を送っていると見られます。
服も上質な御召し物をご着用していることから技術は何から何まで職人クラスと見受けられることから
もし王宮に起こしいただ行くようなことが有ればボジタット王国オリハルコン貨幣を持ち出すかもしれないほどの損失を起こす責任があるんですよ。」
「ご、ごめんなさい。」
この騎士凄い勘違いしている気もするがそれだけ調べていることの証拠でもあるからそのまま勘違いしていただこう。
実際俺も面からシャツを作ることくらいのことは俺もできるので後で設備を整えないと面倒だなと思いつつこの場をそのまま乗り切れと思っていた。
「で、でもあなたにお礼をしたい気持ちは本物ですのでどうかお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。」
名前を聞くと来たか。
名を名乗るというのは相当なリスクだ。
特にこの世界では名前を知られると呪われる可能性のある呪術師なる職業が存在しているらしく用心深い人はほとんど偽名を使って生活をしているらしい。
「名前くらいいいと思うなかれですよ。
お嬢様。
申し訳ございませんが賢者の深淵大森林にすむ御方。
偽名で構いませんの御教えお願いできませんでしょうか。」
「何故名前を聞くのが行けないのですか?」
「メアリー上官俺も気になるんだが?」
「名前を知られるということは呪術師に呪われる可能性を秘めています。
だからそれを知っている人物はおいそれと名前を教えたりしないのです。
私ども貴族はそれらに屈しないという意味も込めて名を大々的に公表します。
ですが呪術師に名を知られる恐れがある以上一部の傭兵団などは貴族に名を明かすときは偽名でいることもあるそうです。
今では呪術師の数も減っており警戒する必要のないと言われてきていることですが先ほどからずっと我々の警戒している範囲を遥かに上回る規模で把握している御仁がこのことに気が付かないわけがありません。
元盗賊の彼からも聞きましたがこの賢者の深淵大森林には我々の予想を遥かに超える存在が数多く存在します。
隙をみせるような真似をすれば死ぬようなところに生きることを望んだ方々の誇りを汚さぬようにお願いします。」
誇りも何もないのだが。
まあ常時戦闘脳であることには変わりない。
元々いじめが過激化してきたころにはいつ暴力的なモノが来ても良いように身のこなしで対策をしていなければ当の昔に命を絶っていた状況であった。
「そうだな、名はドウジとでも言ってくれ。」
「……私…は…ミウス…でいい……。」
ミウスさんはそのままで通すようだ。
まあ神に近しい存在のようだし呪いごときにやられるような人ではないということだろう。
『お前も俺らがいる限り他の呪いにはかからねえがな。』
『餓鬼か。』
『俺様たちの呪いは人間どもの使うちんけなもんとは違う。
あのクソ牛に浄化されかけたが俺らの怨念は甘くねえ。』
『そんなふうに喋れたんだな。』
『っけ!俺はてめえの身体を乗っ取ることしか考えてねえよ。』
『それ言っていいのか?』
『どうせその牛が気づくからな。』
餓鬼と会話をしていると姫様は目を細めてこちらを注視していた。
「ミウスさんは実名なのにドウジさんは偽名なのが解せませんが名乗ってくれてありがとうございます。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる