換金スキルとショップスキルでバグ技大金持ち〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~

スライム道

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その後恙無くつつがなく賢者の家に帰り帰還した。

「とりあえず時間は変わってないみたいだね。」
「…今度は……停止したものから………。」
「うんなら正常に作動したのかな?」

家に置いてきたスマートフォンの画面から確認が取れたので良しとする。

「じゃあ今日はもう寝るだけだからお風呂に入ってきてね。」

ミウスさんは相槌を打って了解の意を示した。
その間に乳房が3回揺れた。
でも腰や足の重心がぶれていないことから常時身体の把握をしている。
今も人間の身体に慣れようとしているのかわからないが少なくとも自分よりも自身の身体に詳しくなっていると感じられた。

もう並行思考は切っているのでそれをやる気は無いが実戦をする人としては正解の形の一つだと思った。

「さてじいちゃんいるんでしょ。」
「ふむふむ、五覚を極めているようで何より。」
「いつから気づいていたの?」
「最初からじゃのう。
 幹が生まれると同時に神が封印のための人柱になることもな。
 いままで黙っていたのは聞かれんかったからだ。」
「うん。
 ありがとう。」

聞かれなければ答えない。
教えを求めているからと言って教わるために努力しなければ意味がない。
当たり前の行動が優しさに繋がる。
構っておくだけが優しさではない。
自分の考える時間を与えることがじいちゃんの下した判断だった。
自分色に染め上げたい人間ならそこで声をかける。
でもじいちゃんは俺の自我を尊重してくれていた。

「お主の望んだことだ。
 そして儂の望まなかったことだ。
 しかしこの領域に踏み込んでしまったからには後戻りはできない。
 儂には後戻りできないのならせめて護身を教えることしかできぬ。
 許せ、不甲斐ない爺であるばかりにお主の親たちを説得できなかった。」

じいちゃんは深々と頭を下げた。

「うん、許さない。」
「我が娘は一般人であった。
 封印に適さなくなるように施した一般人だ。
 しかしお主の父はそれを知らずにその封印に適した身体に戻し人のため世のために成る方が良いと言ってしまった。
 娘のそれに賛同したが結局全て背負った幹を見ることができなくなってただ逃げ出した。
 儂が戦場に出なければお主は生まれなかったじゃろう。
 殺伐とした親ですまんかった。」

さらに深く頭を下げた。

「うん、許さない。」
「そうか。それでいい。」
「とりあえず今日も良いかな。
 まだ組手をやってないしね。」
「わかったどんと来なさい。」

虚しくも空っぽでもない。
ただ矛を向けるべき場所を明確に覚え続ける。
ささやかな復讐を心の奥底に思い続けることが自我を形成する手助けしていた。
孫がこのような人になってしまって心底後悔している。
もっと優しく育ってほしかった。
でもそれは叶わぬ望みだ。

押し付けられた正義のせいで性格は歪み押し付けた本人たちですら何もすることができなかった。
自分もまた正義を押し付けた。
でも理解してくれない。
むしろ嫌われることをしていたことに気が付いた時には既に遅いことを知っている。
自分の娘たちは後悔していて今も幹に会えないかと連絡してくる。

でも今会って何になると考えている。
そもそもの考え方は幹と根々は似ている。
幹の魔力を会得しなかったことは大衆との齟齬をなるべくなくすため。
根々の封印するための人柱となることを拒ませたのは普遍に近づくため。

そして幹の両親が求めたのは特別な存在。
一人の犠牲で大勢が助かるのなら喜んで捧げるべきという考え。
矛盾してしまったのだ。

娘の方は反面教師にしてしまったかもしれない。
親が子に学ぶのは親の愚かさから学ぶ。
弱点を突き、かつて優位だった人間からその地位を奪うべく相手の弱点を徹底的に分析する。
そして長所を短所と見据えることで親と自分の差別化を図る。

この繰り返しが行われていた。

組手を行いながらこの幹の迷いのような思いの籠った技はどこかに行ってしまうのではないかという焦燥しょうそうに駆られる。
その点で言えばあの神に近しい獣のような少女は幹を引き留めるには無くてはならない存在になりえると思えた。
元々神とは純粋な存在だ。
それに近しい者ならば少しばかりの変化を持つくらいで本能にはとても忠実なのだ。
好きという感情は主に性欲から来ているとは思うがそれでも人の心を読み、気遣う努力をしているから人間としての求愛行動を見せていた。

そして神問 明日香、彼女はどうにも幹が試している気がする。
今まで学校のことは聞かないようにしてきたのが仇になっているが彼女は神に魅入られていた人物だ。
病院であってもおかしくはないし、神に魅入られやすい一族は何かと多才で色々な事業に手を出していることも少なくない。

彼らはその気になれば世界経済を動かすことのできるほどの才を持っている。
実際神問一族は大企業へと進出しているし他所から恨まれない程度に世界にまで市場を伸ばしている。
だから幹が通っている学校程度に入学させるくらい造作もないのだろう。

幹が試しているということはもし気にそぐわないことをした場合幹はまた心を閉ざしてしまうかもしれない。

そんな不安定な状況下で親という爆弾を投下できるほど戦場は甘くなかった。
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