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「わたし、あんぶやめたいでちゅ。
 もうこわいことしたくないでちゅ。」

「ミウスさん。」
「てへぺろ。」

てへぺろで幼児退行進んでる人を作り上げられるとは哀れな。
人の恋路を邪魔をするものは馬に蹴られて死んでしまえと言うが牛を怒らせると碌なことが無い。

「もうおうちかえりゅう。」

泣き出す暗部。

「ほい、《ペンギンハート》」
「は、申し訳ございません。」
「なんでペンギンハート?」
「誰とでも仲良く無警戒心。」

うんそうですね。
警戒心ってどこに行ったのって感じで絶滅しましたね北極ペンギンさん。
精神を強くすると言うよりも集団性を利用した魔法なのかもしれない。

「かの伝説の魔法《ペンギンハート》をかけていただけるとはとても嬉しい限りでございます。」
「伝説の魔法?」
「ペンギンはもう絶滅してる。」
「象形魔法では絶滅した生物を模すことができるのは過去を除ける偉大な魔法使い様か永劫を生きる神獣様のみでございます。」
「それで。」
「は、私としたことが申し訳ございません。
 どうか私めの主に会っていただけませんでしょうか。」
「あの王女か。」

あの人も明日香さんみたいに世間知らずで自分の思い通りにならないとどうやってでも言うことを聞かせようとするから人間としてあまり嫌なんだよね。
簡単に言うと我が儘な人、妥協点が無い。
俺もそこそこ面倒な人間だけど、妙なところでこだわりを持つタイプ。
いわば妥協点はまだ持ってる分マシ。

我が儘が二人合えばそんなの対立するにきまってる。
決まったことを回避したくなるのだが問屋がそれを許さぬか。

「聞こえなかったか、王に伝えろ。
 私の怒りを再度買われたくなければな。」

常日頃この威圧を出していれば神獣、もしくはそれに近い存在と思えるのにいつもが発情期のようなだけにもったいない。
でも常時そんなことすれば肩がこるし、だらけるときは精いっぱいだらけるって感じか。

「し、失礼いたしました。大魔導士様。」
「貴様の目は節穴か!主に聞かなかったのか!」

ミウスさんは久しぶりに牛の姿になった。
久しぶりに見る牛の姿は筋肉の率が上がっていて歩く筋肉。
強者としての理想像だ。

これは某民族集合国の話だが超戦隊モノをそちらの国で作った場合は、筋肉ムキムキのゴリマッチョたちがヒーローになるとのこと。
昔の仮面を被ったヒーローもそうだが文化の上で強さとヒーローはわかりやすいものが選ばれる。

前者は筋肉の持つ強さ、後者は当時一家を支えていた大黒柱を教えるために選ばれたと幹は考えている。

ミウスさんは角を持たない、筋肉の闘牛。
もし突っ込んでこられたら命は無いと言わんばかりの威圧感を打ち勝つのは無知しかないように思えた。
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