109 / 119
86
しおりを挟む
「ストレスを発散すると言ったら一人カラオケだよね。」
人にもよるけど、声を出すことでストレスを発散する人は多いはず。
運動などでも発散できるだろうけど、そこは陰キャの捻くれ者で、ケロイド状の傷があった人間。
無理。
カラオケは陽キャのイメージが強いって?
オタクどもはカラオケで日々アニソンを歌っている輩も多いのだよ。
「ま、歌うのはDZだけど。」
アニソンオタクでも知っている人は知っているロックである。
大体お父さん世代が歌っているような曲だけど、ストレスを発散するという点では一番いい曲になるかもしれない。
全力で歌ってもいいし、うまくなりたいから歌っている人は一定数いる。
世代的にも歌っていておかしくない歌だから発散できる。
一人の時間が欲しいと思いながら最近家が侵略されていることを鑑みれば、多少の外出くらいいいだろう。
と鷹をくくり、カラオケ店に入った。
一人で入るのは人生初かもしれない。
家族で入ったことはあった。
「あの時は楽しかったね。」
コンコン。
「あ、はい。」
「ドリンクをお持ちしました。」
明日香さんがいた。
大方、お小遣い稼ぎなのだろう。
ここは無視だ、無視。
いったお店に知り合いがいたら必ず無視。
そのオーラを出せば大抵相手も察する。
が、相手は話すなオーラをものともしない相手だった。
「幹さんがカラオケに来るなんて珍しいですね。
いつも家にはまっすぐ帰っているとお義祖父様がおっしゃっておりましたが、今日は気分転換ですか?」
無視!
次の曲を入れよう!
「もう!
なんで、答えてくれないんですか!
ここで泣き叫びますよ!」
男女平等のかけらも見当たらない冤罪率多々ありの伝家の宝刀。
それやられたら、俺のほうが絶対不利です。
昨今、こういった脅しで金をとる輩は増えておりますし、事情を説明すれば納得してくれると思いますが、圧倒的に不利なのは男性側。
男性側はたとえ裁判を起こしても勝てる確率が非常に低いそうです。
せっかくのオアシスを奪われて、心苦しいが仕方がない。
「ナンデココデバイトシテイルンデスカ。」
他人のふりをしたかったけど、じいちゃんに聞けばわかること。
ここは話さなくてはならない。
「社会勉強です!」
「明日香さん、なら仕事中は知人と出くわしたとしても、多少会釈する程度に収めておかないと業務を怠っているとみられる場合があるから早めに戻ろうね。」
正論で返す。
それで収まってくれ。
世の高校生はこれでは収まらないらしいが、ここは非常識人、常識を取り入れようとしている人間なら素直に言うことを聞いてくれるはず。
ここで退なかったら、このお店にクレームを入れるしかない。
お店側にも迷惑をかけていることを自覚させるにはこれしかないのだ。
頑張れ学ぶ力、こちらは最終奥義を使いたくないんだ。
「ええと?
ここには知り合いが来ることも多いだろうから、しゃべってもいいよってここの店長がおっしゃっておりましたが?」
テンチョー!!
アンタ、何てことしてくれたんだ!
アルバイトって社会勉強でしょう!
社会の厳しさの一端を教えてやってくれよ!
これじゃあ最終奥義使っても意味ないやん!
むしろテンチョー首になっちゃうよ。
たった一度の来店で首を飛ばせるレビュークレームを出す客はどんな客だと言いそうだが、的確なところを言えば警察が動いたりするのである。
カラオケ店の場合密室で完全個室での飲食店ととれるので衛生的な観点でも閉店させる要因で来たりする。
尚、現在はこの状況だと恐喝罪などに問われる可能性がある、会話する意思がないことからできる内容だ。
あくまで、匿名でのタレコミになるけど、訴えればこっちが勝てるかどうかは微妙。
隣人トラブルの延長線上にあるとして、警察が動かない可能性もある。
「僕も歌いたいからここにきているわけだし、時間制限もあるから出て行ってくれる。」
「それは失礼しました。
ではまた、おうちで会いましょう!」
会わなくていいよ。
あー、俺にはオアシスになる場所は存在しないのか。
でも、ドリンクは頼んだ以降何も頼むまいと決めて、それから2時間思う存分歌った。
のどが枯れたけど問題なし。
「あの子は元気にしているだろうか。
よくカラオケに連れて行ったものだが、そろそろお父さんに会いに行ってもいいか聞いてみるか。」
「そうね。
私としても会いたい気持ちでいっぱいだけど。
あの子がそれを許してくれるかしら。」
「わからないが、あそこにいる人と同じくらいの年だよな。
息子は。」
すぐそばに。
かつて失ったものがいることを誰も知ることはなかった。
その双方が会いたいと思いながら会いたくないと思う、相反する感情を持ち続ける限りは決して交わることのない線が出ていた。
「DZを歌っているのは珍しいな。」
「そうかしら?」
「歳が歳だし、まあ私くらいなら当然だが。」
「じゃあ楽しませてもらうわね。」
人影が目に入ったとき。
「あの人たちは....」
無言でじいちゃんにメールを送った。
それが互いのためになると信じて。
人にもよるけど、声を出すことでストレスを発散する人は多いはず。
運動などでも発散できるだろうけど、そこは陰キャの捻くれ者で、ケロイド状の傷があった人間。
無理。
カラオケは陽キャのイメージが強いって?
オタクどもはカラオケで日々アニソンを歌っている輩も多いのだよ。
「ま、歌うのはDZだけど。」
アニソンオタクでも知っている人は知っているロックである。
大体お父さん世代が歌っているような曲だけど、ストレスを発散するという点では一番いい曲になるかもしれない。
全力で歌ってもいいし、うまくなりたいから歌っている人は一定数いる。
世代的にも歌っていておかしくない歌だから発散できる。
一人の時間が欲しいと思いながら最近家が侵略されていることを鑑みれば、多少の外出くらいいいだろう。
と鷹をくくり、カラオケ店に入った。
一人で入るのは人生初かもしれない。
家族で入ったことはあった。
「あの時は楽しかったね。」
コンコン。
「あ、はい。」
「ドリンクをお持ちしました。」
明日香さんがいた。
大方、お小遣い稼ぎなのだろう。
ここは無視だ、無視。
いったお店に知り合いがいたら必ず無視。
そのオーラを出せば大抵相手も察する。
が、相手は話すなオーラをものともしない相手だった。
「幹さんがカラオケに来るなんて珍しいですね。
いつも家にはまっすぐ帰っているとお義祖父様がおっしゃっておりましたが、今日は気分転換ですか?」
無視!
次の曲を入れよう!
「もう!
なんで、答えてくれないんですか!
ここで泣き叫びますよ!」
男女平等のかけらも見当たらない冤罪率多々ありの伝家の宝刀。
それやられたら、俺のほうが絶対不利です。
昨今、こういった脅しで金をとる輩は増えておりますし、事情を説明すれば納得してくれると思いますが、圧倒的に不利なのは男性側。
男性側はたとえ裁判を起こしても勝てる確率が非常に低いそうです。
せっかくのオアシスを奪われて、心苦しいが仕方がない。
「ナンデココデバイトシテイルンデスカ。」
他人のふりをしたかったけど、じいちゃんに聞けばわかること。
ここは話さなくてはならない。
「社会勉強です!」
「明日香さん、なら仕事中は知人と出くわしたとしても、多少会釈する程度に収めておかないと業務を怠っているとみられる場合があるから早めに戻ろうね。」
正論で返す。
それで収まってくれ。
世の高校生はこれでは収まらないらしいが、ここは非常識人、常識を取り入れようとしている人間なら素直に言うことを聞いてくれるはず。
ここで退なかったら、このお店にクレームを入れるしかない。
お店側にも迷惑をかけていることを自覚させるにはこれしかないのだ。
頑張れ学ぶ力、こちらは最終奥義を使いたくないんだ。
「ええと?
ここには知り合いが来ることも多いだろうから、しゃべってもいいよってここの店長がおっしゃっておりましたが?」
テンチョー!!
アンタ、何てことしてくれたんだ!
アルバイトって社会勉強でしょう!
社会の厳しさの一端を教えてやってくれよ!
これじゃあ最終奥義使っても意味ないやん!
むしろテンチョー首になっちゃうよ。
たった一度の来店で首を飛ばせるレビュークレームを出す客はどんな客だと言いそうだが、的確なところを言えば警察が動いたりするのである。
カラオケ店の場合密室で完全個室での飲食店ととれるので衛生的な観点でも閉店させる要因で来たりする。
尚、現在はこの状況だと恐喝罪などに問われる可能性がある、会話する意思がないことからできる内容だ。
あくまで、匿名でのタレコミになるけど、訴えればこっちが勝てるかどうかは微妙。
隣人トラブルの延長線上にあるとして、警察が動かない可能性もある。
「僕も歌いたいからここにきているわけだし、時間制限もあるから出て行ってくれる。」
「それは失礼しました。
ではまた、おうちで会いましょう!」
会わなくていいよ。
あー、俺にはオアシスになる場所は存在しないのか。
でも、ドリンクは頼んだ以降何も頼むまいと決めて、それから2時間思う存分歌った。
のどが枯れたけど問題なし。
「あの子は元気にしているだろうか。
よくカラオケに連れて行ったものだが、そろそろお父さんに会いに行ってもいいか聞いてみるか。」
「そうね。
私としても会いたい気持ちでいっぱいだけど。
あの子がそれを許してくれるかしら。」
「わからないが、あそこにいる人と同じくらいの年だよな。
息子は。」
すぐそばに。
かつて失ったものがいることを誰も知ることはなかった。
その双方が会いたいと思いながら会いたくないと思う、相反する感情を持ち続ける限りは決して交わることのない線が出ていた。
「DZを歌っているのは珍しいな。」
「そうかしら?」
「歳が歳だし、まあ私くらいなら当然だが。」
「じゃあ楽しませてもらうわね。」
人影が目に入ったとき。
「あの人たちは....」
無言でじいちゃんにメールを送った。
それが互いのためになると信じて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる