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スイートピーの花言葉は「親離れ」
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「ふうやっと終わった。後は投稿だけだ」
俺は病室に居た。誘拐事件の後警察の事情聴取の取ったのち病院で入院しながら精密検査を行うことになった。一応銃弾を受けたこともあり鉛中毒にならないか確認するためだ。幸い検査では何ともなかった。
「それで君は極めて稀有なヘラクレス症候群の亜種だろうね。体格のわりに体重が80キロと重いし筋肉が硬直して他の筋肉が隆起するのを防いでるんだと思うよ。今痛みを感じてないってことは生まれながらに気が付かなかったんだと思うよ。」
「そうですかヘラクレス症候群って筋肉がムキムキになるものだと思っていたんですけど違うんですね」
ヘラクレス症候群といえば筋肉が膨張している患者が多い。
しかしそれらの筋肉は一切使うことはできずに無用の長物となる。
「それは君だけだから安心しなさい。それに君の場合薬も要らないから体調を見て退院していいよ」
「はい」
「あ、そうそう学校の方から課題が届いているからそれをやっとくようにね」
医者は思い出したようにしてそれを看護師に言い課題を蒼汰に渡した。
「ありがとうございます」
「いやあ私の娘も秀専学園に通っていてね。どうやら君と同じクラスらしいから仲良くしてやってくれると助かるよ」
「僕あんまり友達がいないモノでして話しかける機会があればですが」
公私混同する医者はそこそこ多いがこの人は娘思いのようだ。
「それで構わないよ……あ、後君に面会希望の人が来ているから話を聞くといいよ」
「面会希望ですか?」
「君が助けたご令嬢の家族みたいだよ」
◇◇◇◇
『君が華道君か』
病室で待っていると銀髪の中年外国人男性が部屋に入ってきた。
「えっと……?」
「私の父ですよ。華道さん」
甘夏さんが後から病室に入っていきフォローしてくれた。
『すまない自己紹介がまだだったね。バルタザール・エリクソンだ』
『どうも華道 蒼汰です』
『いやあ娘を助けてくれてありがとう。私は仕事の都合上恨まれることが多くてね。今回の実行犯たちも似たようなものだったよ』
『そうですかとりあえず俺の入院費と慰謝料は裁判で勝ち取れますかね?』
『ああそれはもちろん大丈夫だよ………それで本題なのだが君について少し調べさせてもらった』
金持ちが調べるとはただ事ではない予感がし身構えるとエリクソンさんはクックっと笑っていた。
『身構える必要はないよ。君のやっている副業については娘から聞いては居るが個人を特定するようなことはしないよ』
『じゃあなんですか?』
『君の中学までのことだよ』
『中学まで?』
蒼汰には特に思い立つことは無かったがエリクソンさんは違うようだった。
『君、以前にもそのヘラクレス症候群のトリガーを何回か引いているね』
『トリガー?』
『あーどう説明したものか』
エリクソンさんの言葉がイマイチ飲み込めなかった。
トリガーと言われてもそもそも何にトリガーが必要か理解していなかったからだ。
「華道さん、あの父の言いたいことは怒った原因が起きた回数のことですよ」
「怒った?ああ!記憶無くなってるやつね」
『バルタザール、華道さんには話を理解してもらいましたよ』
今英語で父親の名前を呼び捨てにしたのはヨーロッパの文化だったかなと蒼汰は思っているとエリクソンさんは中々険しい顔をしていた。
『いや、こうも人見知りの激しかった娘と異性が仲良くされるとね。中々親として来るものがあるなと……娘を嫁に出したくない父親の気持ちがわかった気がするよ』
『そんな仲良いですかね?あんまり友達も居たことが無いですけど普通の距離感だと思いますけど?』
『そんなことないよレイナは習い事では多少は話すけど、同年代の子らとは話さなかったんだよ。幼稚園でもそうだし小学校や中学校でもね。これが親離れってやつかな』
玲菜さんは顔を赤くし悶えながら聞いていたがふとエリクソンさんの胸元のブローチに目が入った。
『そのスイートピーのブローチって貰い物ですか?』
『ん?スイートピー?……ああスイートか。これは家で代々大人になったら渡すよう言われてるブローチだけどそれがどうかしたのかな?』
「えっと玲菜さん訳してくれる?」
「はいなんでもどうぞ」
「スイートピーの花言葉は「思春期の喜び」「門出」「優しい思い出」です」
玲菜さんを介してその内容を伝えてもらう。
『一応私も一通り調べたがそれがどうかしたのかい?』
『いえ、その花言葉にはこういう捉え方もできるんですよ。親離れ、親からの卒業って言葉に変えられるんです。それともう一つそのブローチにはもう一つ別の土地の花があしらわれていますよね』
『ああ、私も詳しくは知らないが先祖が航海で見つけた花をイメージしてあしらったらしい。特に意味は無いと思うが………?」
花言葉は組み合わせることによって隠されたメッセージを送りたい場合もある。そしてバルタザール・エリクソンが気が付かなかった花言葉は優しい親愛の表現を残していた。
『その花は和名しか知りませんがカッコウアザミ、花言葉は「信頼」「あなたの返答を待ちます」多分それを作ってもらった人はこんな風に考えたんじゃないですかね。』
蒼汰はそっと課題の紙をなぞり外を見つめた。
『たとえ親元を離れようとあなたの親である私たちはあなたが頼りたいときにいつでも力に成る……そう言いたかったんだと僕は思います』
俺は病室に居た。誘拐事件の後警察の事情聴取の取ったのち病院で入院しながら精密検査を行うことになった。一応銃弾を受けたこともあり鉛中毒にならないか確認するためだ。幸い検査では何ともなかった。
「それで君は極めて稀有なヘラクレス症候群の亜種だろうね。体格のわりに体重が80キロと重いし筋肉が硬直して他の筋肉が隆起するのを防いでるんだと思うよ。今痛みを感じてないってことは生まれながらに気が付かなかったんだと思うよ。」
「そうですかヘラクレス症候群って筋肉がムキムキになるものだと思っていたんですけど違うんですね」
ヘラクレス症候群といえば筋肉が膨張している患者が多い。
しかしそれらの筋肉は一切使うことはできずに無用の長物となる。
「それは君だけだから安心しなさい。それに君の場合薬も要らないから体調を見て退院していいよ」
「はい」
「あ、そうそう学校の方から課題が届いているからそれをやっとくようにね」
医者は思い出したようにしてそれを看護師に言い課題を蒼汰に渡した。
「ありがとうございます」
「いやあ私の娘も秀専学園に通っていてね。どうやら君と同じクラスらしいから仲良くしてやってくれると助かるよ」
「僕あんまり友達がいないモノでして話しかける機会があればですが」
公私混同する医者はそこそこ多いがこの人は娘思いのようだ。
「それで構わないよ……あ、後君に面会希望の人が来ているから話を聞くといいよ」
「面会希望ですか?」
「君が助けたご令嬢の家族みたいだよ」
◇◇◇◇
『君が華道君か』
病室で待っていると銀髪の中年外国人男性が部屋に入ってきた。
「えっと……?」
「私の父ですよ。華道さん」
甘夏さんが後から病室に入っていきフォローしてくれた。
『すまない自己紹介がまだだったね。バルタザール・エリクソンだ』
『どうも華道 蒼汰です』
『いやあ娘を助けてくれてありがとう。私は仕事の都合上恨まれることが多くてね。今回の実行犯たちも似たようなものだったよ』
『そうですかとりあえず俺の入院費と慰謝料は裁判で勝ち取れますかね?』
『ああそれはもちろん大丈夫だよ………それで本題なのだが君について少し調べさせてもらった』
金持ちが調べるとはただ事ではない予感がし身構えるとエリクソンさんはクックっと笑っていた。
『身構える必要はないよ。君のやっている副業については娘から聞いては居るが個人を特定するようなことはしないよ』
『じゃあなんですか?』
『君の中学までのことだよ』
『中学まで?』
蒼汰には特に思い立つことは無かったがエリクソンさんは違うようだった。
『君、以前にもそのヘラクレス症候群のトリガーを何回か引いているね』
『トリガー?』
『あーどう説明したものか』
エリクソンさんの言葉がイマイチ飲み込めなかった。
トリガーと言われてもそもそも何にトリガーが必要か理解していなかったからだ。
「華道さん、あの父の言いたいことは怒った原因が起きた回数のことですよ」
「怒った?ああ!記憶無くなってるやつね」
『バルタザール、華道さんには話を理解してもらいましたよ』
今英語で父親の名前を呼び捨てにしたのはヨーロッパの文化だったかなと蒼汰は思っているとエリクソンさんは中々険しい顔をしていた。
『いや、こうも人見知りの激しかった娘と異性が仲良くされるとね。中々親として来るものがあるなと……娘を嫁に出したくない父親の気持ちがわかった気がするよ』
『そんな仲良いですかね?あんまり友達も居たことが無いですけど普通の距離感だと思いますけど?』
『そんなことないよレイナは習い事では多少は話すけど、同年代の子らとは話さなかったんだよ。幼稚園でもそうだし小学校や中学校でもね。これが親離れってやつかな』
玲菜さんは顔を赤くし悶えながら聞いていたがふとエリクソンさんの胸元のブローチに目が入った。
『そのスイートピーのブローチって貰い物ですか?』
『ん?スイートピー?……ああスイートか。これは家で代々大人になったら渡すよう言われてるブローチだけどそれがどうかしたのかな?』
「えっと玲菜さん訳してくれる?」
「はいなんでもどうぞ」
「スイートピーの花言葉は「思春期の喜び」「門出」「優しい思い出」です」
玲菜さんを介してその内容を伝えてもらう。
『一応私も一通り調べたがそれがどうかしたのかい?』
『いえ、その花言葉にはこういう捉え方もできるんですよ。親離れ、親からの卒業って言葉に変えられるんです。それともう一つそのブローチにはもう一つ別の土地の花があしらわれていますよね』
『ああ、私も詳しくは知らないが先祖が航海で見つけた花をイメージしてあしらったらしい。特に意味は無いと思うが………?」
花言葉は組み合わせることによって隠されたメッセージを送りたい場合もある。そしてバルタザール・エリクソンが気が付かなかった花言葉は優しい親愛の表現を残していた。
『その花は和名しか知りませんがカッコウアザミ、花言葉は「信頼」「あなたの返答を待ちます」多分それを作ってもらった人はこんな風に考えたんじゃないですかね。』
蒼汰はそっと課題の紙をなぞり外を見つめた。
『たとえ親元を離れようとあなたの親である私たちはあなたが頼りたいときにいつでも力に成る……そう言いたかったんだと僕は思います』
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