オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~

スライム道

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クリスマスローズの花言葉は「私の不安をやわらげて」クリスマスローズの花言葉は「私の不安をやわらげて」

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ホームルームが終わり滞りなく授業は進んでいたのだが美術の授業で甘夏さんとペアを組んだのだが……
甘夏さんの頬がタネをいっぱい入れたリスのように膨らんでいた。
ちなみに授業内容はペアとなった人物を描くことではなくペアとなった人物を自然物に例えて描けということだ。
この時間は先生の持ってきた写真の中から

「蒼汰さん、私は怒っています!」
「えっと甘夏さん?」
「玲菜です!蒼汰さん!私はお・こ・って・い・ま・す!!」
「えっととりあえずごめんなさい玲菜さん」
「そんなごめんなさい要りません!私が何に対して怒っているのか理解してください!!」

プスーと不機嫌そうな甘夏さんであるが蒼汰は特に心当たりは無いので疑問を浮かべるしかないのだが今は授業中であるため、
蒼汰は甘夏さんのことを夜中に来る酔っ払いの客だと思うことにしてそれ相応の対応をすることにした。

「とりあえず今は判らないから授業に集中しようよ」
「ごまかさないでくださいよ。それより今考えてください!」
「それなら玲菜さんの絵は怒った顔をイメージしたものに成るけどいいの?」
「く、仕方ありません。とりあえずお昼休みまでは待ちます」

怒りを一時的にだが収めてくれたらしい。
しかし甘夏さんの顔はプスーっとしたままだった。

蒼汰はとりあえず授業に集中できるので今の状態の甘夏さんを書くことにした。

(蒼汰さんならやはり花を描いてくれるのでしょうか?)

玲菜は蒼汰が忍先生と話していたことに憤りを感じていたが今はとりあえず矛を収め授業の方を優先させることにした。
まあ、パーセンテージは蒼汰49.999999999999%と限りなく蒼汰寄りだが……
授業の課題に向き合った玲菜は蒼汰を自然物に例えるなら何がふさわしいか考え始めた。
あれだけ花言葉を知っているのだ。
花の絵を描くのも不思議ではない。
なら自分は何を描くべきか考えようとしていると蒼汰がじっと顔を見ていることに気が付いた。

(あれはお花屋さんで会った時に似てるようですけど、めんどくさがってる感じではありませんし、集中してみてくれる感じでドキドキしますね)

いまだ恋心を自覚する前に独占欲が前に出てしまった少女は恋だと自覚するときは来るのだろうか。

蒼汰は集中しながらも甘夏さんのことを見ながらイメージに合う自然物を描いていた。
美術の授業は2時間で一つのテーマに6時間使うのが通例のため、この時間で終わるとは思っていないが下書きくらいは終らせようと鉛筆を走らせる。

「ふう、このくらいかな」

授業終了5分前には下書きは既に終わっており形を作ることはできていた。

「蒼汰さん見せあいっこしません?」
「いいけどまだ下書きとか終ったばかりだよ?」
「いいんです今見たいんです」
「まあいいけど」

互いのスケッチを交換すると甘夏さんの描いていたものは花だった。
短時間で書いたとは思えないほど綺麗に描かれておりこのまま提出しても文句は言われないくらいだった。

「これ……マンサクにアイリス?」
「そうですよ、私が蒼汰さんに思った印象をそのままにしてみました。蒼汰さんが花言葉にとても詳しいので自分なりに調べてみたんです」

つまり意図がある。
マンサクの花言葉は「呪文」
対してアイリスの花言葉は「良い便り」「希望」などがある。

「あ、言わないでくださいよ。それはあとで聞きますから……」
「わかったけど絵の感想は大丈夫?」
「そうですね、蒼汰さんのことですから花かと思ったのですがまさか鍾乳洞を描いていただけるとは思っても居ませんでしたよ」

蒼汰が描いたのは鍾乳洞だった。
複雑な形と洞窟っぽさから下書きでも判断できたのだろう。

「今までの玲菜さんをイメージすると花よりもこっちの方が良いかなって」
「どうしてですか?」
「いろんな表情が見えるから…ね」

なにか含みがある言い方をした蒼汰であったが玲菜は気にはしていなかった。
むしろ自分で勝手に都合の良い解釈をする恋は盲目現象が起きていた。
鍾乳洞を構成する石灰岩などに石言葉は存在しないが鍾乳洞自体には各国地方で様々な言い伝えがある。
もちろんその美しさからパワースポット、デートスポットとしても一般開放してあるところもあり玲菜は実際に行ったこともある。
その時ガイドさんに言われたのが鍾乳洞に例えられる女の人は綺麗だと言われていると

「うふふふふふふふ」

ニヤニヤしている。
断じて間違ってない。
笑顔というよりはニヤニヤしているという言葉がぴったりな状態になっている玲菜さんに対して周りは授業に集中することで現実逃避をしていた。

「れ、玲菜さん?」
「あ、すいません。あとこれを余った時間に書いたものです!」

もう一つ手渡されたものはクリスマスローズとイベリスが描かれたメモの切れ端だった。

クリスマスローズの花言葉は「私の不安をやわらげて」
イベリスの花言葉は「心が惹かれている」

恋愛の意味で言ったのかはわからないがどうやら構ってほしいという意味ともとれるメッセージだった。

「甘夏さんもしかして?」
「玲菜ですってば……解ってます。まだ蒼汰さんの中では私が玲菜なの……」

後の方はよく聞こえなかったが伝わってほしくない言葉だったのだろう。

「とりあえず僕は甘夏さ…玲菜さんと話をすればいいのかな?」
「そうですそうです!忍先生とばかり話してズルいんです!!」

甘夏さんの言い分は、蒼汰にとっては子どもがおもちゃを盗られて泣いているくらいのものにしか感じられなかったが、甘夏さんにとってはとても辛いことだと思いとりあえず許しを請うことにした。

「とりあえず僕は何をすれば許してくれるのかな?」
「撫でて!」

ズイッと頭を突き出す甘夏さん。
一瞬「幼児退行」の言葉が頭をよぎったがとりあえず言われた通りに頭を撫でていた。

「おまえら、青春するのはいいがホテルでヤれよ。もう授業終わるけど早退届だすか?」

美術のダンディーな先生はそんなことを言って授業を終えた。

蒼汰に限らずほぼすべてのクラスメイト達は思った。
美術の先生、アンタ教師としてどうなんですか?
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