オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~

スライム道

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クローバーの花言葉は「約束」

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「は?」

俺は今日、衝撃的な出来事に陥っていた。
今日は土曜日なので動画を録ろうと思っていた矢先、大家さんが詰問し世にも不思議な一言を言われた。

「ごめんさいね。このペンション丸ごと全部突然買われちゃったのよ。それで悪いんだけど次の大家さんが建て直しを検討しているらしくって3か月以内に他の賃貸を同じ値段で貸すから引っ越してほしいらしいのよ。もちろん此処と同じように回線も既に引いてあってインターフォンも最新式のが付いてるところだから生活に支障が出るのは多少交通の便が変わるくらいかしらねえ。あ、引っ越し代金はあっちで全額持ってくれるらしいわ。しかも家具の保証付きよ」

聞くだけで凄い怪しい業者に見えてきた。
引っ越し代金は時期にもよるがこの手の単身タイプでも20万はかかるところが多い。
アパート全体の部屋数を加味すると20室はある。
つまり計算すると400万の損失を請け負うと言うのだ。

「それ大丈夫な会社ですか?」
「なんでも海外の企業でそうそう此処らしいわ」
「海外ですか?」

スマホで見せられてもわからない企業だったがここ数年で急成長を遂げている企業ということはわかった。
疑問に思っていたがとりあえず考えても仕方が無いので夏休みに入った時期に引っ越すことにした。

「あ、ごめんなさい。華道さんの部屋の方を工事の検討事務所にしたいみたいで華道さんの部屋だけ1週間以内が良いって言ってたわ」
「は?」
「ほらこの部屋階段も近いし敷地を見やすいからみたいよ」

まるで見てきたかのように言われた。
そして昨日自分を襲おうとした人物の顔が浮かんで仕方がなかった。

「もしかしてだけどさ、このグループの人の名前って玲菜って人だったりする?」
「ちょっと待ってね……うんそうみたいよレイナ・エリクソンさんが大株主みたいね」

うおーい
と叫びたくなる気持ちを抑え

「じゃあ俺別の引っ越し先探しますんで……」
「保証人の親御さんにも相談したら?契約はそのまま引き継ぎされるし面倒なのが無いから親御さんたちは反対するかもよ」
「く…」

大家さんの言うことは最もだ。
契約の更新と新規契約のどちらがめんどくさいかと思えば確実に後者であり金もかからないなら確実に今の契約を更新する方を選ぶ。
つまりはあの肉食、否超肉食ヤンデレ系の人物の巣に行くということだったりする。

「わかりましたよ。じゃあ最短で引っ越します」
「わかったわ。多分明日になると思うけど荷物包みとかもやってくれる業者さんだからもしかしたら今日にでも頼むかもしれないしその時は連絡するから、本当に迷惑かけてごめんなさいね」

大家さんは謝りながら他の住民たちに報せに行ったが…
大家さんは何も悪くありませんよ。
悪いのは猛突直進な社長令嬢様のせいです。

「止められぬ 恋の盲目 女怖し、字余り、変な川柳ができたよ」

怖すぎるわ。
そんなことを思いながら蒼汰は入院の際に貰っていたバルタザールさんの電話番号を打つ。

『もしもし?』
『あー娘さんに住む場所を強制されたものです』
「あ、蒼汰君?」
「日本語で大丈夫なんですね」
「ああ、妻に日本語で話せる人とは日本語で話せと言われてね。それで君のアパートをレイナが買い上げたことかい?」
「ええもちろんです」

俺はほぼ怒り気味に話していた。
春菊さんの性格なら確実に止めただろうし何より資産の管理をしていると思われる人物はこの男しか該当しない為確信していたから本気で怒っていた。

「まあレイナの総資産は私を超えているから私にはどうすることもできないとだけ言っておこう。管理に関しては私は一切口を出していないレイナ自身が行った結果だよ。1年で私の資産を上回る成果を見せたものだから末恐ろしいよ」
「へ?」

回答は予想の100歩先を行くモノだった。
ヨーロッパの最先端技術に該当するメーカーであるバルタザールさんよりも多くの資産をたった一年で築き上げただと…

「それっていくらから始めたんですか?」
「ん?日本円にして1千万円ほど自由に使えるお金を渡したらあっという間に事業を拡大して行ってね。最初は農業系を買い取っていたらしいけど普通は売れないモノを瞬く間に売れるものにしたんだよ」
「それで何故日本への進出を?」
「それはレイナに聞いてくれたまえ。多分レイナのことだから了解さえ取れれば今日にでも引っ越しさせると思うぞ」

ピンポーン!
オワタ…
多分大家さんである。バルタザールさんの言っていることは正しかった。

「所用のようだね。じゃあ電話を切るよ」

プツン

「おーい華道さん?引っ越し業者の方が来ましたよ」

俺に言えるのは一つだけ金による力ってすげえ

己の育てたクローバーは青々と花言葉の通りに「約束」は守れよと言っているようだった。

「コンチキショー!!」

契約という約束は引き継がれるのだった…超肉食ヤンデレ令嬢に

俺は草食動物の最後のように現状を受け入れるしかなかった
獲物は狩猟者の罠に嵌った。
後は調理されるのを待つだけだ。
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