17 / 84
クローバーの花言葉は「約束」
しおりを挟む
「は?」
俺は今日、衝撃的な出来事に陥っていた。
今日は土曜日なので動画を録ろうと思っていた矢先、大家さんが詰問し世にも不思議な一言を言われた。
「ごめんさいね。このペンション丸ごと全部突然買われちゃったのよ。それで悪いんだけど次の大家さんが建て直しを検討しているらしくって3か月以内に他の賃貸を同じ値段で貸すから引っ越してほしいらしいのよ。もちろん此処と同じように回線も既に引いてあってインターフォンも最新式のが付いてるところだから生活に支障が出るのは多少交通の便が変わるくらいかしらねえ。あ、引っ越し代金はあっちで全額持ってくれるらしいわ。しかも家具の保証付きよ」
聞くだけで凄い怪しい業者に見えてきた。
引っ越し代金は時期にもよるがこの手の単身タイプでも20万はかかるところが多い。
アパート全体の部屋数を加味すると20室はある。
つまり計算すると400万の損失を請け負うと言うのだ。
「それ大丈夫な会社ですか?」
「なんでも海外の企業でそうそう此処らしいわ」
「海外ですか?」
スマホで見せられてもわからない企業だったがここ数年で急成長を遂げている企業ということはわかった。
疑問に思っていたがとりあえず考えても仕方が無いので夏休みに入った時期に引っ越すことにした。
「あ、ごめんなさい。華道さんの部屋の方を工事の検討事務所にしたいみたいで華道さんの部屋だけ1週間以内が良いって言ってたわ」
「は?」
「ほらこの部屋階段も近いし敷地を見やすいからみたいよ」
まるで見てきたかのように言われた。
そして昨日自分を襲おうとした人物の顔が浮かんで仕方がなかった。
「もしかしてだけどさ、このグループの人の名前って玲菜って人だったりする?」
「ちょっと待ってね……うんそうみたいよレイナ・エリクソンさんが大株主みたいね」
うおーい
と叫びたくなる気持ちを抑え
「じゃあ俺別の引っ越し先探しますんで……」
「保証人の親御さんにも相談したら?契約はそのまま引き継ぎされるし面倒なのが無いから親御さんたちは反対するかもよ」
「く…」
大家さんの言うことは最もだ。
契約の更新と新規契約のどちらがめんどくさいかと思えば確実に後者であり金もかからないなら確実に今の契約を更新する方を選ぶ。
つまりはあの肉食、否超肉食ヤンデレ系の人物の巣に行くということだったりする。
「わかりましたよ。じゃあ最短で引っ越します」
「わかったわ。多分明日になると思うけど荷物包みとかもやってくれる業者さんだからもしかしたら今日にでも頼むかもしれないしその時は連絡するから、本当に迷惑かけてごめんなさいね」
大家さんは謝りながら他の住民たちに報せに行ったが…
大家さんは何も悪くありませんよ。
悪いのは猛突直進な社長令嬢様のせいです。
「止められぬ 恋の盲目 女怖し、字余り、変な川柳ができたよ」
怖すぎるわ。
そんなことを思いながら蒼汰は入院の際に貰っていたバルタザールさんの電話番号を打つ。
『もしもし?』
『あー娘さんに住む場所を強制されたものです』
「あ、蒼汰君?」
「日本語で大丈夫なんですね」
「ああ、妻に日本語で話せる人とは日本語で話せと言われてね。それで君のアパートをレイナが買い上げたことかい?」
「ええもちろんです」
俺はほぼ怒り気味に話していた。
春菊さんの性格なら確実に止めただろうし何より資産の管理をしていると思われる人物はこの男しか該当しない為確信していたから本気で怒っていた。
「まあレイナの総資産は私を超えているから私にはどうすることもできないとだけ言っておこう。管理に関しては私は一切口を出していないレイナ自身が行った結果だよ。1年で私の資産を上回る成果を見せたものだから末恐ろしいよ」
「へ?」
回答は予想の100歩先を行くモノだった。
ヨーロッパの最先端技術に該当するメーカーであるバルタザールさんよりも多くの資産をたった一年で築き上げただと…
「それっていくらから始めたんですか?」
「ん?日本円にして1千万円ほど自由に使えるお金を渡したらあっという間に事業を拡大して行ってね。最初は農業系を買い取っていたらしいけど普通は売れないモノを瞬く間に売れるものにしたんだよ」
「それで何故日本への進出を?」
「それはレイナに聞いてくれたまえ。多分レイナのことだから了解さえ取れれば今日にでも引っ越しさせると思うぞ」
ピンポーン!
オワタ…
多分大家さんである。バルタザールさんの言っていることは正しかった。
「所用のようだね。じゃあ電話を切るよ」
プツン
「おーい華道さん?引っ越し業者の方が来ましたよ」
俺に言えるのは一つだけ金による力ってすげえ
己の育てたクローバーは青々と花言葉の通りに「約束」は守れよと言っているようだった。
「コンチキショー!!」
契約という約束は引き継がれるのだった…超肉食ヤンデレ令嬢に
俺は草食動物の最後のように現状を受け入れるしかなかった
獲物は狩猟者の罠に嵌った。
後は調理されるのを待つだけだ。
俺は今日、衝撃的な出来事に陥っていた。
今日は土曜日なので動画を録ろうと思っていた矢先、大家さんが詰問し世にも不思議な一言を言われた。
「ごめんさいね。このペンション丸ごと全部突然買われちゃったのよ。それで悪いんだけど次の大家さんが建て直しを検討しているらしくって3か月以内に他の賃貸を同じ値段で貸すから引っ越してほしいらしいのよ。もちろん此処と同じように回線も既に引いてあってインターフォンも最新式のが付いてるところだから生活に支障が出るのは多少交通の便が変わるくらいかしらねえ。あ、引っ越し代金はあっちで全額持ってくれるらしいわ。しかも家具の保証付きよ」
聞くだけで凄い怪しい業者に見えてきた。
引っ越し代金は時期にもよるがこの手の単身タイプでも20万はかかるところが多い。
アパート全体の部屋数を加味すると20室はある。
つまり計算すると400万の損失を請け負うと言うのだ。
「それ大丈夫な会社ですか?」
「なんでも海外の企業でそうそう此処らしいわ」
「海外ですか?」
スマホで見せられてもわからない企業だったがここ数年で急成長を遂げている企業ということはわかった。
疑問に思っていたがとりあえず考えても仕方が無いので夏休みに入った時期に引っ越すことにした。
「あ、ごめんなさい。華道さんの部屋の方を工事の検討事務所にしたいみたいで華道さんの部屋だけ1週間以内が良いって言ってたわ」
「は?」
「ほらこの部屋階段も近いし敷地を見やすいからみたいよ」
まるで見てきたかのように言われた。
そして昨日自分を襲おうとした人物の顔が浮かんで仕方がなかった。
「もしかしてだけどさ、このグループの人の名前って玲菜って人だったりする?」
「ちょっと待ってね……うんそうみたいよレイナ・エリクソンさんが大株主みたいね」
うおーい
と叫びたくなる気持ちを抑え
「じゃあ俺別の引っ越し先探しますんで……」
「保証人の親御さんにも相談したら?契約はそのまま引き継ぎされるし面倒なのが無いから親御さんたちは反対するかもよ」
「く…」
大家さんの言うことは最もだ。
契約の更新と新規契約のどちらがめんどくさいかと思えば確実に後者であり金もかからないなら確実に今の契約を更新する方を選ぶ。
つまりはあの肉食、否超肉食ヤンデレ系の人物の巣に行くということだったりする。
「わかりましたよ。じゃあ最短で引っ越します」
「わかったわ。多分明日になると思うけど荷物包みとかもやってくれる業者さんだからもしかしたら今日にでも頼むかもしれないしその時は連絡するから、本当に迷惑かけてごめんなさいね」
大家さんは謝りながら他の住民たちに報せに行ったが…
大家さんは何も悪くありませんよ。
悪いのは猛突直進な社長令嬢様のせいです。
「止められぬ 恋の盲目 女怖し、字余り、変な川柳ができたよ」
怖すぎるわ。
そんなことを思いながら蒼汰は入院の際に貰っていたバルタザールさんの電話番号を打つ。
『もしもし?』
『あー娘さんに住む場所を強制されたものです』
「あ、蒼汰君?」
「日本語で大丈夫なんですね」
「ああ、妻に日本語で話せる人とは日本語で話せと言われてね。それで君のアパートをレイナが買い上げたことかい?」
「ええもちろんです」
俺はほぼ怒り気味に話していた。
春菊さんの性格なら確実に止めただろうし何より資産の管理をしていると思われる人物はこの男しか該当しない為確信していたから本気で怒っていた。
「まあレイナの総資産は私を超えているから私にはどうすることもできないとだけ言っておこう。管理に関しては私は一切口を出していないレイナ自身が行った結果だよ。1年で私の資産を上回る成果を見せたものだから末恐ろしいよ」
「へ?」
回答は予想の100歩先を行くモノだった。
ヨーロッパの最先端技術に該当するメーカーであるバルタザールさんよりも多くの資産をたった一年で築き上げただと…
「それっていくらから始めたんですか?」
「ん?日本円にして1千万円ほど自由に使えるお金を渡したらあっという間に事業を拡大して行ってね。最初は農業系を買い取っていたらしいけど普通は売れないモノを瞬く間に売れるものにしたんだよ」
「それで何故日本への進出を?」
「それはレイナに聞いてくれたまえ。多分レイナのことだから了解さえ取れれば今日にでも引っ越しさせると思うぞ」
ピンポーン!
オワタ…
多分大家さんである。バルタザールさんの言っていることは正しかった。
「所用のようだね。じゃあ電話を切るよ」
プツン
「おーい華道さん?引っ越し業者の方が来ましたよ」
俺に言えるのは一つだけ金による力ってすげえ
己の育てたクローバーは青々と花言葉の通りに「約束」は守れよと言っているようだった。
「コンチキショー!!」
契約という約束は引き継がれるのだった…超肉食ヤンデレ令嬢に
俺は草食動物の最後のように現状を受け入れるしかなかった
獲物は狩猟者の罠に嵌った。
後は調理されるのを待つだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる