オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~

スライム道

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ハルジオンの花言葉は「追走の愛」4

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「ただいま」
「おかえりなさい蒼汰さん」
「おかえり蒼汰君」

「「「……」」」

「なんだかこのやり取りも板について来た気がするね」
「まだ私が来てから2日も経ってないのにね」
「私も日が浅いですが蒼汰さんに挨拶するのに新鮮味が無いわけでは無いのですが慣れ親しんだ感じもします」

この挨拶もまだ2日と立っていないのにもう慣れ親しんだ感じがするということはそれほど甘夏さんとの時間は濃密であったともいえるし来夢さんとの過去も忘れられないおもでだったとも言える。

「うんそうだね。あと今日は僕が夕食を作るから待っててね」
「そんな悪いですよ私たちが好き勝手に蒼汰さんの家に上がり込んでいるんですから作りますよ」
「うん(ブンブン)」

二人は自分たちが押し掛けているのに家事をさせているのは悪いと言うが甘夏さんも来夢さんも居候というわけでもない。
増してや甘夏さんは大家だし、来夢さんは許嫁、居候とは違うし専業主婦でもない学生の身分だ。
だからこそ対等であるべきだと思うのは普通だ。

「来夢さんそんなに頭をブンブンされたら僕が料理できないように聞こえるんだけど僕は作っちゃダメなのかな?」
「うんうん(フルフル=(・∀・|・∀・)=)、蒼汰君の料理も食べてみたい」
「じゃあ作っていいね。甘夏さんもそれでいいかい?」
「はい、私も蒼汰さんの料理を食べさせてくれるというのならお願いしたいです」
「じゃあ作るよ」
「何を作るの?」
「そうだね、じゃあ昔よく来夢さんのお母さんに作ってもらったアレを作ろうかな」
「あ、アレね」
「そうアレ」

アレで通じるモノとは一体?
玲菜は二人だけに通じている隠語に対して面白くないと感じていたがここで妬いてしまっては不快にさせるだけだろうと判断しとりあえずわかりきった質問を投げかけることにする。
少々作り笑顔になってしまった気もするが背は腹に変えられない。

「あの、アレとは何ですか?」
「あ~、ごめん僕にもアレの料理名を知らないんだ。ほんとに隠してるとかそういうわけじゃなくて甘夏さんが無理して笑顔作ってるのはわかってるけどほんとに来夢さんも知らないはずだし葵さんもおばあちゃんに習ったとしか言ってくれなかったから……」

玲菜は来夢の方に視線を移すと来夢も肯定の意を示した。

「ママに聞いても私もわからないとしか言ってなかったしおばあちゃんも昔教わった料理としか言ってくれなかったよ」

特に二人とも言動や表情に怪しい点が無いことから本当なのだろう。
料理名が無い料理というのはまずこの情報社会ではありえないと思うのだが二人なりに調べてわからないのならしょうがない。

「わかりました。では楽しみに待っていますね」
「うん任せてよ」

今までの胸のモヤモヤが嘘のように晴れていく。
意中の人の笑顔とはそれだけで幸福感と満足感を与えてくれる。
だが玲菜はそれだけに飽き足らず更なる”愛”を追い求めていた。

蒼汰が料理を作っている間は玲菜と来夢は一緒に雑談をすることにした。
まだまだ引っ越し仕立てのリビングには玲菜が買っておいたソファーとカーペット以外に物はない。
そもそも蒼汰の性格上必要なもの以外買わないのだろう。
パソコン関係はごちゃついていたが基本的にケーブルがどこにあるかが解らなくっていたくらいのもので配線のみを見れば撮影や録画に必要な機材が全てそろえられていた。
だからリビングやダイニングについては無頓着なのだろう。

「ねえ玲菜さん」
「はい?」
「やっぱり蒼汰君のこと追い求めてるよね」
「その質問は愚の骨頂ですよ」
「うん知ってる。でも聞いた」
「?」
「今日の河川敷で咲いていた花の名前は解る?」

それはもちろん学んでいる。
玲菜は蒼汰に好かれたいがために花言葉も勉強してきているしとりあえず日本に生息している今の時期の花はある程度覚えていた。

「タンポポにハルジオンなんかが生えていましたね」
「うん、タンポポの花言葉は春菊さんあたりから聞いたと思うけどハルジオンの花言葉は覚えてる?」
「えっと……」

脳内検索エンジンにかけヒットさせる。

「確か「追走の愛」もしくは「追想の愛」でしたね」
「私たちにピッタリだと思わない?」
「……………………そうですね」

追走
読んで字のごとく追いかけ走ること

追想
過去を思い出し偲《しの》ぶこと。または懐かしむ。

片や狩人のように獲物を追いかけ続ける愛を捧げる者と過去に囚われているかのようにも見える愛を捧げる者

確かに自分たちにピッタリの花言葉かもしれない。

「ごめんね。なんか気分悪くさせちゃって、そういえば玲奈さんってどうして蒼汰君のこと好きになったの?」

来夢は玲菜の顔が曇ったことから触れては行けない話題だと思い話をそらした。

「いいですよ、あれは私が親友の秋芽さんに自分が育てた花を渡してみたいと思い蒼汰さんのご実家を訪ねた時のことです」

物語は紡がれていく。
誰でもない「追想の追走の愛」を持ったただの雑草が見ている。
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