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柏の花言葉は「愛は永遠に」1
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あれから数日たち五月五日こどもの日を迎えた。
「こどもの日だね」
「うん、約束通り餡無し餅を作るね」
「来夢さん私にも教えてください」
「もちろん」
来夢さんは前日のうちに買ってきた上新粉ともち米を取り出し調理を開始する。
「お母さんが作ってくれたことはありましたが今回の作り方は粉よりもち米の割合が多いんですね」
「うん基本は7から10割くらいは上新粉で作る家庭や和菓子屋さんも多いんだけどそれだと粉っぽさが多いから好みに分かれやすいし蒼汰君も好きじゃないけど餡子は甘すぎて敬遠する人たちのためにご飯に近い御餅にしたかったみたいだよ」
「あーエリクソンもあまり餡子が好きではなかったのでお母さんは砂糖ではなく塩を入れた大豆の餡を入れいましたね」
「ずんだかな?」
「でもずんだは甘いよね」
「大豆の餡子のことはずんだというんですね。お母さんは父に怒れた日には必ずずんだの春巻きを出していたんですよね。許したときはしょっぱいもので許さなかったときは甘いもので私にだけ教えてくれていたんですけど中々面白い夫婦喧嘩でしたね」
「「ずんだ春巻き」」
美味しそうに聞こえるが何も知らされずに食べさせられるのならばただのトラップにしか見えないだろう。
よく考えてみて欲しい。
コーヒーとコーラを間違えた時の苦さ!
海苔の佃煮と胡麻餡を間違えた時の衝撃!!
知は人に予測を与える。
予測があるからこそ衝撃が少ない。
しかし予測が外れた時衝撃は大きくなる!
それ即ち不意打ち
不意打ちは衝撃以上に傷が酷くなる。
バルタザールさんの味覚もやられている気もする。
「春巻きだけでは無いですよ。いろんなもの味付けを全く別のものにしたりしてエリクソンを困らせていましたし怒っているってすぐに分かるからエリクソンの行動の変化にも思わず笑ってしまうくらいの仲のいい夫婦だと思いますよ」
「そうだね、きちんと怒ってることに気付いてほしいって示してるけどただでは教えないっていうのは春菊さんらしいと思う」
「来夢さんも春菊さんのこと知ってるんだよね。僕はあまり知らないけど来夢さんの印象でいうとどんな人のなの?」
「一言でいうと学級委員長、詳しく説明するならお節介なおばさんって感じ。世話焼きな人だし考え方を聞いたうえで話をするから一般的な常識を説いてくれる人ってイメージかな」
「正にその通りといったところですかね。お母さんは日本文化の勉強をさせるときは最低限しか教えてくれませんでしたし海外に居ることが多かったのもあったんでしょうけど蒼汰さんと関わるようになってからは日本文化を深く教えてくれましたから環境に合わせた教育をしてくれていたと思います」
確かに学級委員長だと思った。
その場状況や環境に対する常識に合わせて動けるのは教師ではなく学級の人間、教師と学生では年代差もあるしどこかに線を引いている。
春菊さんはあくまでもその架け橋になれる存在になっていた。
「そろそろ話を終わりにしなくても大丈夫?もち米は蒸すから時間かかると思うんだけど……」
「そうだね、玲菜さん手伝って」
「はい!」
一応今日は祝日なので勉強と動画編集に専念する。
休日に掃除はしているので部屋はある程度綺麗にはなっている。
使わない部屋は甘夏さんと来夢さんが掃除をしてくれるので大助かりだ。
「えっと昨日のレイズの体験版での検証動画のトリミングと……あれ?まったりが起動しない?Winアプデ入ったか?、じゃあ今回は裏技使うか、文字入れ先にしておかないと……」
動画編集に使っていたまったりソフトが動かなくなったので公式サイトに飛んでみるとアプデが入ったらしく今はそれに対応しているとのことだった。
しょうがないので音源が同じスマホアプリの方から多少のめんどくささはあるが音声ファイルのみを作成してそれから文字入れを行っていく。
「やっぱりめんどくさいね。えっとこれは何秒再生だ?文字の出現時間はこれくらいにして……」
「蒼汰さん、お茶飲みますか?」
「あ、もうそんな時間?」
「ええもう柏餅も出来ましたから御呼びしようとしたんですけど蒼汰さんがあまりにも集中していらしたのでご迷惑をかけて悪いと思ったのですが来夢さんも私も出来立てが食べて欲しかったのでお呼びしてしまいましたがよろしかったでしょうか?」
「うんありがとう行き詰っていたから丁度良かったよ」
「じゃあ来夢さんが待っていますからもう少し経ったら行きましょう」
動画編集に関しては行き詰ってはおらず甘夏さんもお世辞と気づいたのか終わるまで待ってくれていた。
「あ、蒼汰君ごめんね。お仕事中に呼んじゃって、でも柏餅は美味しくできたからいっぱい食べてね」
「うんありがとう」
大皿いっぱいに柏餅が盛られていた。
「後で春菊さんや夏芽さんにもお裾分けする分は取ってあるからこのお皿にあるやつは全部食べていいよ」
「こんなには食べれないかな……」
「(´∀`*)ウフフそうだね私たちが多く作っちゃったからお昼が食べれなくなるかもしれないね。でもこれがお昼も食べれるでしょう」
来夢さんはキッチンからもう一皿、筑前煮を持ってきた。
「ほんと来夢さんには叶わないなあ。実家のこと全部知ってるもん」
「そうかな?私よりも玲菜さんの方が凄いと思うけど柏餅もすぐにマスターしちゃったしね」
「来夢さん、それは少し嫌味ですよ。でもまあ来夢さんの教えが良いからですよ」
「こどもの日だね」
「うん、約束通り餡無し餅を作るね」
「来夢さん私にも教えてください」
「もちろん」
来夢さんは前日のうちに買ってきた上新粉ともち米を取り出し調理を開始する。
「お母さんが作ってくれたことはありましたが今回の作り方は粉よりもち米の割合が多いんですね」
「うん基本は7から10割くらいは上新粉で作る家庭や和菓子屋さんも多いんだけどそれだと粉っぽさが多いから好みに分かれやすいし蒼汰君も好きじゃないけど餡子は甘すぎて敬遠する人たちのためにご飯に近い御餅にしたかったみたいだよ」
「あーエリクソンもあまり餡子が好きではなかったのでお母さんは砂糖ではなく塩を入れた大豆の餡を入れいましたね」
「ずんだかな?」
「でもずんだは甘いよね」
「大豆の餡子のことはずんだというんですね。お母さんは父に怒れた日には必ずずんだの春巻きを出していたんですよね。許したときはしょっぱいもので許さなかったときは甘いもので私にだけ教えてくれていたんですけど中々面白い夫婦喧嘩でしたね」
「「ずんだ春巻き」」
美味しそうに聞こえるが何も知らされずに食べさせられるのならばただのトラップにしか見えないだろう。
よく考えてみて欲しい。
コーヒーとコーラを間違えた時の苦さ!
海苔の佃煮と胡麻餡を間違えた時の衝撃!!
知は人に予測を与える。
予測があるからこそ衝撃が少ない。
しかし予測が外れた時衝撃は大きくなる!
それ即ち不意打ち
不意打ちは衝撃以上に傷が酷くなる。
バルタザールさんの味覚もやられている気もする。
「春巻きだけでは無いですよ。いろんなもの味付けを全く別のものにしたりしてエリクソンを困らせていましたし怒っているってすぐに分かるからエリクソンの行動の変化にも思わず笑ってしまうくらいの仲のいい夫婦だと思いますよ」
「そうだね、きちんと怒ってることに気付いてほしいって示してるけどただでは教えないっていうのは春菊さんらしいと思う」
「来夢さんも春菊さんのこと知ってるんだよね。僕はあまり知らないけど来夢さんの印象でいうとどんな人のなの?」
「一言でいうと学級委員長、詳しく説明するならお節介なおばさんって感じ。世話焼きな人だし考え方を聞いたうえで話をするから一般的な常識を説いてくれる人ってイメージかな」
「正にその通りといったところですかね。お母さんは日本文化の勉強をさせるときは最低限しか教えてくれませんでしたし海外に居ることが多かったのもあったんでしょうけど蒼汰さんと関わるようになってからは日本文化を深く教えてくれましたから環境に合わせた教育をしてくれていたと思います」
確かに学級委員長だと思った。
その場状況や環境に対する常識に合わせて動けるのは教師ではなく学級の人間、教師と学生では年代差もあるしどこかに線を引いている。
春菊さんはあくまでもその架け橋になれる存在になっていた。
「そろそろ話を終わりにしなくても大丈夫?もち米は蒸すから時間かかると思うんだけど……」
「そうだね、玲菜さん手伝って」
「はい!」
一応今日は祝日なので勉強と動画編集に専念する。
休日に掃除はしているので部屋はある程度綺麗にはなっている。
使わない部屋は甘夏さんと来夢さんが掃除をしてくれるので大助かりだ。
「えっと昨日のレイズの体験版での検証動画のトリミングと……あれ?まったりが起動しない?Winアプデ入ったか?、じゃあ今回は裏技使うか、文字入れ先にしておかないと……」
動画編集に使っていたまったりソフトが動かなくなったので公式サイトに飛んでみるとアプデが入ったらしく今はそれに対応しているとのことだった。
しょうがないので音源が同じスマホアプリの方から多少のめんどくささはあるが音声ファイルのみを作成してそれから文字入れを行っていく。
「やっぱりめんどくさいね。えっとこれは何秒再生だ?文字の出現時間はこれくらいにして……」
「蒼汰さん、お茶飲みますか?」
「あ、もうそんな時間?」
「ええもう柏餅も出来ましたから御呼びしようとしたんですけど蒼汰さんがあまりにも集中していらしたのでご迷惑をかけて悪いと思ったのですが来夢さんも私も出来立てが食べて欲しかったのでお呼びしてしまいましたがよろしかったでしょうか?」
「うんありがとう行き詰っていたから丁度良かったよ」
「じゃあ来夢さんが待っていますからもう少し経ったら行きましょう」
動画編集に関しては行き詰ってはおらず甘夏さんもお世辞と気づいたのか終わるまで待ってくれていた。
「あ、蒼汰君ごめんね。お仕事中に呼んじゃって、でも柏餅は美味しくできたからいっぱい食べてね」
「うんありがとう」
大皿いっぱいに柏餅が盛られていた。
「後で春菊さんや夏芽さんにもお裾分けする分は取ってあるからこのお皿にあるやつは全部食べていいよ」
「こんなには食べれないかな……」
「(´∀`*)ウフフそうだね私たちが多く作っちゃったからお昼が食べれなくなるかもしれないね。でもこれがお昼も食べれるでしょう」
来夢さんはキッチンからもう一皿、筑前煮を持ってきた。
「ほんと来夢さんには叶わないなあ。実家のこと全部知ってるもん」
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「来夢さん、それは少し嫌味ですよ。でもまあ来夢さんの教えが良いからですよ」
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