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アケビの花言葉は「才能」9
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「お前ら色恋沙汰は後にして飯にするぞ」
「ご飯?」
飯にすると言われて来夢さんが反応した。
「そうだぞ、ご飯だ。山の幸を踏んだに使ったジビエ料理だけどな」
「ジビエ?」
「お、なんだ音楽部助っ人は初めてか?まあうちの学園でも食べたことない奴多いからな」
「来夢さんジビエとは野生動物を使った料理のことですよ広義ではクジラやアザラシと言った魚、貝類以外の海洋生物も指すそうですが今回は山で採れたイノシシやウサギ、シカなんかだと思います。本来はヨーロッパの貴族の食卓で狩猟した野生動物を香辛料で食べやすくしたものを指しますがアザラシなどは香辛料が無くても食べれるものなので狭い範囲にするとちょっと異なりますね」
ジビエ料理、ここでは野生動物を狩猟して得た料理全般を差すが地方のお祭りなんかではよく見られるものでよくイノシシの串焼きなどが売られていたりする。
甘夏さんのように世界を飛び回るような人間となれば様々なジビエ料理、正確には野生料理とでも言うべきか、大自然の料理を頂いている。
「それって美味しいの?アザラシとかイノシシとかの肉食動物って臭いって聞くけど……」
「ロシアなどの高緯度地帯だとよく見られる食文化で新鮮なものは脂がのって甘さの中にお肉ともお魚とも取れないような海獣特有の旨味があるんですよね」
「ほら、来夢さんは秋祭りのこと覚えている?あの時に一緒に食べた串焼きが鹿肉の串焼きみたいなものだね。あれはカレー風味にして食べやすかったじゃん」
「あ、あの世紀末のおじさんが出してたやつ」
「「世紀末?」」
「なんだ?秋芽も甘夏もこのネタ知らないのか?特に甘夏は蒼汰に好かれたくて呪詛を吐くようにオタク知識を蓄えていると保護者から連絡があったのにまだまだだな」
「忍先生、本人というか当事者の居る前でそんな話をしないでください」
「なんだ蒼汰?私が話さずにいてよかったのか?実際呪いをかけているわけでもないし実害は皆無だがお前が知っておかないとストッパー役が居ないだろ」
「そうですよ。いずれ夫婦となるんですから互いに支え合っていかないと」
「さらっと言質とろうとするのやめてくれない?」
「玲菜ちゃん!恋に走るのは良いけど!強要は良くないよ!」
「やっといつもの調子に戻りましたね」
「あ!騙したな!そんなことするような親友にはこうだぞ!!」
するっと甘夏さんの後ろに回り込む秋芽さん。
すると
「[Ahahahahahahahahahahahahhahaha!!!!!!]」
なんとも発音の良い笑い声が聞こえてくる。
秋芽さんはこちょこちょを仕掛けていた。
吐息もかかる距離で後輩の男子は思わず二度見しそうになったのを彼と同じ班の先輩と思われる女子に目隠しされていた。
「ちょ、先輩何で隠すんですか!?」
「後輩君、君がもし生徒会長と話題の転校生との逢瀬を見てしまったのなら生徒会メンバーに存在事抹消されてもおかしくないからね」
「なにソレ?」
「甘夏さんに惚れられていてしかも秋芽生徒会長にも惚れられている華道君が知らないのも無理はないかもしれないけど秋芽生徒会長を信仰のような形で崇拝されいるんだよ」
「信仰?」
「まあいっちゃあなんだけど秋芽さんって人を惹きつける能力が高いからね。初めてアドバイスをした華道君もそうだけど秋芽さんの成長に繋がった人間を虐げる行為が良くないみたいな暗黙の了解ができていて、生徒会はそれに教典みたいなものを作ってる人たちの集まりなんだよね」
まあなんというか自分の周りには隠れボッチのような女子が集まっている気がする。
友達は居るがあくまでも表面上というだけというような深みのないただ単なる職場の付き合いに近い友人関係。
「忍先生!すみません遅れました」
「お、科夫アケビを見つけてきたのか?」
「蒼汰、お前俺にいじわるしたろ。アケビが実をつけるのは秋ごろじゃねえか!しょうがねえから近隣の人からアケビの漬物をもらってきたよ」
アケビの皮はミネラルが豊富で油に馴染みやすく取れるところではよく食べられる貴重なミネラル源、そして実や実から絞った果汁は加工したりすることで甘味として食べたり風味付けとして作られたりする。
科夫が持ってきたのは野菜のアケビ漬けだ。
蒼汰としてもこれを持ってこれたのなら文句は無い。
「ある意味才能なのかもね」
「ん、なんだ?」
「何でもないこっちの話」
蒼汰の周りにはもう一つ共通点がある。
それはアケビの花言葉「唯一の恋」のように初恋をずっと背負い続けている人が集まることだった。
「そうだな華道、お前の周りには良くも悪くも純粋で居続ける奴らが集まってくるな。アケビのもう一つの花言葉も説いてやってもいいんじゃないか」
アケビ、またの名を通草、紫宝
一本の道を突き進む宝石のような「才能」
甘味にも酒の肴にもなる万能の食材のように蒼汰は料理される予感がした。
「ご飯?」
飯にすると言われて来夢さんが反応した。
「そうだぞ、ご飯だ。山の幸を踏んだに使ったジビエ料理だけどな」
「ジビエ?」
「お、なんだ音楽部助っ人は初めてか?まあうちの学園でも食べたことない奴多いからな」
「来夢さんジビエとは野生動物を使った料理のことですよ広義ではクジラやアザラシと言った魚、貝類以外の海洋生物も指すそうですが今回は山で採れたイノシシやウサギ、シカなんかだと思います。本来はヨーロッパの貴族の食卓で狩猟した野生動物を香辛料で食べやすくしたものを指しますがアザラシなどは香辛料が無くても食べれるものなので狭い範囲にするとちょっと異なりますね」
ジビエ料理、ここでは野生動物を狩猟して得た料理全般を差すが地方のお祭りなんかではよく見られるものでよくイノシシの串焼きなどが売られていたりする。
甘夏さんのように世界を飛び回るような人間となれば様々なジビエ料理、正確には野生料理とでも言うべきか、大自然の料理を頂いている。
「それって美味しいの?アザラシとかイノシシとかの肉食動物って臭いって聞くけど……」
「ロシアなどの高緯度地帯だとよく見られる食文化で新鮮なものは脂がのって甘さの中にお肉ともお魚とも取れないような海獣特有の旨味があるんですよね」
「ほら、来夢さんは秋祭りのこと覚えている?あの時に一緒に食べた串焼きが鹿肉の串焼きみたいなものだね。あれはカレー風味にして食べやすかったじゃん」
「あ、あの世紀末のおじさんが出してたやつ」
「「世紀末?」」
「なんだ?秋芽も甘夏もこのネタ知らないのか?特に甘夏は蒼汰に好かれたくて呪詛を吐くようにオタク知識を蓄えていると保護者から連絡があったのにまだまだだな」
「忍先生、本人というか当事者の居る前でそんな話をしないでください」
「なんだ蒼汰?私が話さずにいてよかったのか?実際呪いをかけているわけでもないし実害は皆無だがお前が知っておかないとストッパー役が居ないだろ」
「そうですよ。いずれ夫婦となるんですから互いに支え合っていかないと」
「さらっと言質とろうとするのやめてくれない?」
「玲菜ちゃん!恋に走るのは良いけど!強要は良くないよ!」
「やっといつもの調子に戻りましたね」
「あ!騙したな!そんなことするような親友にはこうだぞ!!」
するっと甘夏さんの後ろに回り込む秋芽さん。
すると
「[Ahahahahahahahahahahahahhahaha!!!!!!]」
なんとも発音の良い笑い声が聞こえてくる。
秋芽さんはこちょこちょを仕掛けていた。
吐息もかかる距離で後輩の男子は思わず二度見しそうになったのを彼と同じ班の先輩と思われる女子に目隠しされていた。
「ちょ、先輩何で隠すんですか!?」
「後輩君、君がもし生徒会長と話題の転校生との逢瀬を見てしまったのなら生徒会メンバーに存在事抹消されてもおかしくないからね」
「なにソレ?」
「甘夏さんに惚れられていてしかも秋芽生徒会長にも惚れられている華道君が知らないのも無理はないかもしれないけど秋芽生徒会長を信仰のような形で崇拝されいるんだよ」
「信仰?」
「まあいっちゃあなんだけど秋芽さんって人を惹きつける能力が高いからね。初めてアドバイスをした華道君もそうだけど秋芽さんの成長に繋がった人間を虐げる行為が良くないみたいな暗黙の了解ができていて、生徒会はそれに教典みたいなものを作ってる人たちの集まりなんだよね」
まあなんというか自分の周りには隠れボッチのような女子が集まっている気がする。
友達は居るがあくまでも表面上というだけというような深みのないただ単なる職場の付き合いに近い友人関係。
「忍先生!すみません遅れました」
「お、科夫アケビを見つけてきたのか?」
「蒼汰、お前俺にいじわるしたろ。アケビが実をつけるのは秋ごろじゃねえか!しょうがねえから近隣の人からアケビの漬物をもらってきたよ」
アケビの皮はミネラルが豊富で油に馴染みやすく取れるところではよく食べられる貴重なミネラル源、そして実や実から絞った果汁は加工したりすることで甘味として食べたり風味付けとして作られたりする。
科夫が持ってきたのは野菜のアケビ漬けだ。
蒼汰としてもこれを持ってこれたのなら文句は無い。
「ある意味才能なのかもね」
「ん、なんだ?」
「何でもないこっちの話」
蒼汰の周りにはもう一つ共通点がある。
それはアケビの花言葉「唯一の恋」のように初恋をずっと背負い続けている人が集まることだった。
「そうだな華道、お前の周りには良くも悪くも純粋で居続ける奴らが集まってくるな。アケビのもう一つの花言葉も説いてやってもいいんじゃないか」
アケビ、またの名を通草、紫宝
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